日本人にはなぜハワイ旅行が人気なのか

海外旅行といえばまずハワイ?

日本人に人気の海外旅行先といえば、かなり以前からまずハワイが思い浮かぶ人も多いと思います。私が子供のころから周りの人たちの海外旅行の話題には必ずといってよいほどハワイが出てきました。

「南国ハワイで優雅なバカンスを!」、「ハワイでゴルフ!」、「ハワイで結婚式!」、「ハワイでロングステイ!」などのキャッチフレーズは皆さんもお馴染みだと思います。

今日はなぜハワイが日本人にそれほど人気があるのかを探ってみたいと思います。

ダイヤモンドヘッドとワイキキの町並み

ほんとうにハワイは日本人に大人気なのか?

まず日本旅行業界(JATA)の発表による夏休みの旅行人気ランキングを見てみます。

2017年は1位:ハワイ、2位:台湾、3位:グアムでした。2018年は1位:台湾、2位:ハワイ、3位:韓国でした。

実際にハワイは人気ランキング上位の定番のようです。

一方、ハワイ側から見た各国からの渡航者数割合を見て見ると、

ハワイ州観光局発表の2017年度のデータですが、アメリカ国内からの渡航者数が約63%を占めて断然1位ですが、外国からは日本が断然1位で全体の約17%で約159万人となっています。

ちなみに、同じアジアの韓国は2.8%、中国・台湾は1.8%と予想外に少ないです。ワイキキではよく見かけますのでもっと多い感じでした。

このように、実際のデータを日本側から見てもハワイ側から見ても、やはりハワイは日本人にとって大人気の旅行先だということになります。

中には渡航歴10回~30回などとリピーターになる人も多いようです。

日本人にはなぜハワイ旅行が人気なのか

それでは理由や背景について考えて見ましょう。

考えられる理由・背景を挙げると次のようになります。

  1. 比較的狭いエリアに大自然、都会、伝統の観光要素が凝縮されている
  2. 日本語がほとんど通じる
  3. 一年中気候がよい
  4. 南国のリゾートとして風景がすばらしい
  5. 色々なアクティビティが楽しめる
  6. 治安が比較的良い?
  7. 自然保護、町並み整備、伝統保護が行き届いている
  8. 小さな子供からシニアまで楽しめる
  9. 観光都市、リゾートとして常に発展し続けている
  10. ハワイ在住の人たちの気質・性格
  11. 日本との過去からの結びつきと日系人
  12. 海外の南国リゾートとして比較的距離が近い
  13. 旅行会社や航空会社などの宣伝・広告
  14. 直行便が多い
  15. 観光地としての情報、口コミの多さ
  16. テレビ番組での紹介、映画/ドラマ、TVコマーシャルなどの舞台

次に上記のことを順番に具体的に説明していきます。

1.比較的狭いエリアに大自然、都会、伝統の観光要素が凝縮されている

最も観光施設が充実したオアフ島内では、車で30分~1時間程度でほとんどの観光ポイントへ行くことができます。また主要ハワイ5島間でも飛行機を使えば日帰りでたっぷり楽しめます。

狭い範囲に色々なものがコンパクトにまとまっている状態です。そして大自然のビーチや山、ホテル、お店、美術館・博物館などの町並み、伝統施設・パワースポットなどがうまく区分されて、決して混沌と雑然に混ざり合っていないところがすばらしいと思います。

たとえばワイキキビーチやアラモアナビーチはにぎやかな町並みの大きな道路を挟んですぐ傍にありながら、透明度、美しさ、清潔さを高いレベルで維持できています。

近くで人が泳いでいるビーチのごく浅瀬にも、良く見るとたくさんの魚が泳いでいるのを発見したときは感動しました。

また、マカプウ岬のトレッキングコースは、手付かずの大自然のままの風景の中に非常に整備が行き届いた広めの舗装道路があります。実際に行って見るとその厳密な区別に驚かされます。

2.日本語がほとんど通じる

これは英語が苦手な人にはとてもありがたいお話です。

アメリカ合衆国のハワイ州でありながら、ホテル、レストラン、ショッピングなどほとんどの場面で日本語表記があり、また現地の方は日本語が話せます。

「人生初めての海外旅行はハワイがいい」とか「新婚旅行をハワイにすれば新郎が英語のことで恥をかかなくて済む」などとよく言われる所以です。

これは過去のハワイへの日本人移民の影響が大きいと思われます。日本からの移民は1885年頃から1924年まで行われ合計約22万人が入植したようです。当時ほとんどの人がサトウキビの栽培や加工などに従事したそうです。

移民から始まる日系人の間で日本語や日本文化・伝統などが受け継がれていったのだと思われます。

3.一年中気候がよい

太平洋のほぼ真ん中にあるハワイでは、気候は穏やかな熱帯性で、ホノルルの年平均気温は25℃弱、年間降水量は約600ミリメートルとのことです。一方日本の年間降水量は約1700ミリメートルですのでハワイのほうがはるかに少ないです。

季節は、夏と冬があり、5月~10月の夏は乾季で最低気温23℃~最高気温31℃で、11月~4月 の冬は雨季で最低気温20℃~最高気温27℃だそうです。

月平均気温の一年間での差は4℃ほどと小さく、雨は冬にやや多く降りますが一日中降ることはまれで、「シャワー」(いわゆるにわか雨)が降る程度です。

気温は暖かいものの日本の夏よりも湿度が少なく、1年を通じてとても過ごしやすい気候になっています。

実際ワイキキではとても爽やかな風を感じることが多いです。

この風は北東方面から来る湿った貿易風がオワフ島を縦断するコオラウ山脈に当たってそこで雨を降らし、ワイキキには乾いた爽やかな風を送り届けるからだといわれています。

ハワイ好きな人の中には、その第一の理由を「暖かくて風がとても爽やかだから」という人もいるようです。

私も以前、ワイキキのホテルの部屋で窓をいっぱいに開けて、ゆれるやしの木の葉を眺めながらこの爽やかな風に当たる時間をゆったりと楽しんだことがあります。

4.南国のリゾートとして風景がすばらしい

ハワイは南国として各所にすばらしい大自然の景色が広がっています。コバルトブルーの海、真っ白な砂浜、真っ青な空、緑豊かな熱帯雨林、珍しい形の山脈、荒々しい火山、赤や黒の溶岩などです。

そのためオアフ島のクアロア牧場やカウアイ島などで、映画やドラマそしてTVコマーシャルのロケに使われ続けています。

このような風景や穏やかな天候のためなのか、ハワイを希望してロングステイするシニアや病気療養する人、さらに癒しを求めて来る人など後をたたないようです。

私も以前一度だけですが、ワイキキのビーチに沿った遊歩道をのんびりと散歩し、ときどき木陰のベンチに腰掛けて美しい海を眺め、それだけで数時間を過ごすという贅沢な時間を持ったことがあります。

5.色々なアクティビティが楽しめる

大自然、都会、伝統の観光要素が狭い範囲にコンパクトまとまっているハワイでは、そこで予想以上の色々なアクティビティが提供されています。主なものとしてはつぎのとおりです。

  • ショッピング(アロハシャツなどの南国の衣服や用品、世界的ブランド品)
  • グルメ(特にロコモコやポキなどのハワイ料理、世界的グルメ、スィーツ、トロピカルフルーツなど)
  • 海水浴、日光浴、フィッシング、サーフィン、ウィンドウサーフィン、水上スキー、ウェイクボード、バンパーチューブ、カヌー/カヤック、ジェットスキー、ジェットボート、バナナボート、シュノーケリング、スキューバーダイビング、セーリング/クルージング、パラシューティング、潜水艦で海中遊覧
  • ホエールウォッチング、ドルフィンウォッチング
  • トレッキング、ウォーキング、登山、ゴルフ、マラソン、サイクリング、4輪バギー、ジップライン、セグウェイ、ガン・シューティング
  • ヨガ、スパ/エステ/マッサージ
  • 星空観測、サンライズ/サンセット鑑賞
  • 火山・溶岩見学
  • パラグライダー、セスナ/ヘリ遊覧飛行、セスナ/ヘリ/グライダーの体験操縦、スカイダイビング
  • 絶景巡り(ハワイ各島に海、山、渓谷、滝などの見所あり)
  • 南国ショー(フラダンス、各種伝統的な踊り・パフォーマンスなど)
  • 動物園、植物園、水族館、シーライフ・パーク、ドールプランテーション
  • 美術館/画廊、各種博物館、プランテーション・ビレッジ
  • 戦争博物館/記念館/資料館(パールハーバー、アメリカ陸軍博物館など)
  • ハワイ伝統文化紹介施設、パワースポット
  • 美しい景色を眺めながらただゆったりと過ごす!

これだけたくさんあると何をするか迷ってしまいそうです。子供からシニアまで楽しめる所以です。またハワイ旅行のリピーターが多いのもうなづけます。

6.治安が比較的良い?

2019年の外務省海外安全ホームページによると「ハワイ州は,米国の中では比較的治安が良いとされています。しかしながら,日本と比べれば,一般的に犯罪発生率は高く,また,特に観光客を狙った財産犯罪(ひったくり,車上荒らし,置き引き,スリ等)は頻繁に発生しており,銃器を使用した強盗事件等の凶悪な事件の被害も報告されています。」とのことです。

近年ワイキキでは、アラワイ運河沿い、クヒオ通り、カピオラニ公園などは日没後は注意するようにとよく言われています。また、タンタラスの丘のからの夜景を見るためにレンタカーで行くときは車上荒らしに要注意と言われています。

さらに外務省海外安全ホームページでは、「なお、ハワイ州では,ホームレスの増加が深刻化しており,州全体で7,600人以上のホームレスがいると見られ,人口比では全米で最も多くなっており,彼らによる犯罪も発生しています。」とあります。

ハワイのホームレスですが気候が暖かく冬でも過ごしやすいのでアメリカ本土から入ってきているようです。

日本人の多くの人は、「ハワイは日本語も通じるし、日本人も多いのできっと日本のように治安が良いだろう」と思い込んでいるのではないでしょうか。

ハワイの観光を楽しく過ごすために十分に注意したいものです。

7.自然保護、町並み整備、伝統保護が行き届いている

ハワイの場合大自然の中にある観光スポットには、お店などの人口施設がほとんどないところが多いと思います。また観光客が多く集まる場所などは道路などきれいに清掃が行き届いているようです。

ラニカイビーチなど環境保護のために観光用車両の駐車規制が厳しく敷かれている箇所もあります。さらに、伝統的なパワースポットなどもきちんと整備されているようです。

色々な保護が行き届いており、気持ちよく安心して観光ができます。

8.小さな子供からシニアまで楽しめる

ワイキキの通りを歩いていると、小さな子供やシニアの人と一緒の家族連れが目に付きます。これは世界の他の観光地ではあまり見られない光景だと思います。

ハワイには気軽に身体的負担もほとんどなく楽しめる観光スポットも多くあり、子連れやシニアの人とってやさしい観光地だと思います。もちろん体力があるシニアや若者は、トレッキングやマリンスポーツなどを存分に楽しめます。

ワイキキから車で30分で行けるオアフ島南東部のマカプウ岬にあるシーライフ・パークは、イルカなどの海洋生物と遊べると特に子供たちに大人気の施設のようです。

9.観光都市、リゾートとして常に発展し続けている

意外と知られていないのがハワイ州のお金持ち事情です。実はハワイは富裕家庭の比率が全米で4番目に高いそうです(2016年)。メリーランド州、コネチカット州、ニュージャージー州がトップ3だそうです。

お金持ちが多ければ、それだけたくさん税金を払い、高額商品を含めてたくさん消費してくれて、ハワイ州の財政や経済・産業に貢献していると思われます。このようなお金が回りまわってハワイの継続的な発展に一役かっていると思います。

ハワイのお店などはハイレベルの商品・サービスを提供するべく努力するでしょうし、町並みもハイセンスなものが求められると思います。

ハワイのお店では、後に大きな流行となるような新たなグルメをたびたび発信しているようです。

オアフ島のあらたな再開発で今最も注目されているのが、ハワイ初の高架鉄道ホノルル レールトランジットとカカアコ地区のワードビレッジです。

ホノルル レールトランジットが開通すればたとえば、ダニエル・K・イノウエ国際空港からアラモアナセンター駅までわずか16分で結び、道路の交通渋滞の解消の切り札になると考えられているそうです。

ワードビレッジは15年以上かかる巨大プロジェクトで生活、ビジネス、観光の中心エリアを再開発で作るというものだそうです。

ハワイの不動産価格は過去約20年間上昇を続けているそうですが、このようなハワイの活力と発展がより多く観光客を呼び込む原動力になっているのでしょう。

10.ハワイ在住の人たちの気質・性格

ハワイの人々は、穏やかで、人懐っこくて、開放的な性格だと言われています。実際ハワイで出会うホテルの人、レストランの人、バスの乗客、ガイドさんなど全般的にとても接しやすく、気軽に話せて、親切です。

また観光業にかかわるほとんどの人が、流暢な日本語を話すのでより親近感が沸くのかもしれません。

このような出会いを一度でも経験すれば、観光客はより気軽にハワイに来ることができるでしょう。

11.日本との過去からの結びつきと日系人

現在の日本人が、過去に約22万人もの日本人がハワイに移民したという事実やその後日系人がハワイで幅広く活躍し続けているという事実を聞くと、ハワイに対してかなり強い親近感を抱くことは間違いありません。

また多くの日系人の顔がどことなく日本人に似ているということも心理的な距離を縮める原因だと思います。

このような理由から多くの日本人が、海外であるにもかかわらずハワイへ旅行することに抵抗がほとんどなくなっているのだと思われます。

12.海外の南国リゾートとして比較的距離が近い

休暇を取って南国の暖かいリゾートでゆっくりと過ごしてみたいと思う人は国を問わず多いとおもいます。

日本からでは飛行時間約4時間のグアム(時差1時間)やセブ島の約5時間(時差1時間)があります。ハワイへは飛行時間約7時間(日を考えなければ時差5時間)と少し離れていますが、昔から有名な他の本格的南国リゾートであるタヒチの約11時間(日を考えなければ時差5時間)、ニューカレドニアの9時間弱(時差2時間)、フィージーの約9時間(時差3時間)よりは近いです。

ハワイへは飛行時間約7時間でまあまですが、時差が19時間(日を考えなければ5時間)あり人によっては少しつらいかもしれません。

13.旅行会社や航空会社などの宣伝・広告

このことは特に説明するまでもなく、JTB、HIS、阪急交通、クラブツーリズムなど日本の旅行会社、JAL、ANAなど航空会社などがパンフレット、チラシ、WEB、テレビなどでハワイ旅行を頻繁に宣伝し、広告を出しています。

そもそもハワイが大人気だったので旅行会社や航空会社が力を入れ始めたのか、あるいは各会社の宣伝・広告が功を奏してハワイが大人気になったのか。

これは「鶏が先か卵が先か」の問題ですが、どちらが先というわけでなく、お互いが刺激しあって益々ハワイに人気が出てきたのだと思います。

ハワイ行き旅客数の最大シェアを獲得し、JALホノルルマラソンを主催しているJAL関連の宣伝は特に目立っています。

14.直行便が多い

主な直行便は、成田~ホノルルは毎日約10本、羽田~ホノルルと中部~ホノルルは毎日2本、関空~ホノルルは毎日3本、福岡~ホノルルは毎日1本などとなっています。この他にも毎週数日の便もあります。

この直行便の数は驚きの数字です。

さらに直行便を就航している航空会社は9社にもおよびます。日本~ハワイ路線は以前から「ドル箱路線」と呼ばれており、各社力を入れています。

このような競争が熾烈な路線なので、当然航空運賃もお安くなり、これだけ選択の幅があれば、旅行計画もとても柔軟に立てられ、これでハワイ旅行がより楽になります。

15.観光地としての情報、口コミの多さ

WEBで検索すると、ハワイについての膨大な情報、口コミが得られます。これによりハワイの現状、ホテル事情、ホットなグルメや品物、観光情報など簡単に調べられ、また評判も確認することができます。

きれいな写真や動画も豊富で、これらによりハワイ旅行への衝動が掻き立てられ、旅行計画が立てやすくなり、また敷居が低くなります。

これも、「13.旅行会社や航空会社などの宣伝・広告」で書いたように、「鶏が先か卵が先か」の問題ですが、どちらが先というわけでなく、お互いが刺激しあって益々ハワイに人気が出てきて、同時に情報発信する人や会社が増えてきたのだと思います。

16.テレビ番組での紹介、映画/ドラマ、TVコマーシャルなどの舞台

ハワイでの生活、滞在、観光などをテーマに番組が収録されテレビで頻繁に放送されています。ハワイ在住やログステイ中の日本人の生活紹介やJALホノルルマラソンの紹介などもあります。

これらの番組では、多くの場合、同時にハワイの現状、ホテル、グルメ、アクティビティ、美しい風景などが紹介されます。

また過去より繰り返し、ジェラシックパークやキングコングなどの映画やロストなどのドラマのロケ地、TVコマーシャルの背景として利用されてきました。特にすばらしい絶景が背景として好んで使われています。

このような映画やテレビでのハワイの露出はインパクトが大きく、多くの人のハワイ旅行への憧れを助長していると思います。

最後に

ここまでハワイが日本人に大人気の理由や背景を書いてきましたが、もちろん個々の人によって重きの置き方が違うと思います。中には「天候が一年中穏やかで暖かく、さわやかな風が吹くから」という理由を第一に挙げる人もいるようです。

ともあれ、このように見てくるとハワイはなるべくして大人気になったのだと納得できます。今後も世界の有名リゾートとして益々発展し、観光客を魅了し続けると思います。

最後に興味ある話をひとつ紹介したいと思います。

世界中に頻繁に旅行に出かけている、いわゆる旅慣れした人、旅行マニアと呼ばれている人たちの中には、「ハワイは敬遠する」という人も少なくないようです。

理由は簡単で、「ハワイはあまりにも日本語で溢れ、日本人が多く、またあまりにも気軽に行けるので」ということだそうです。

旅の一番の醍醐味はやはり「非日常」ということでしょうか。

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