香港が平均寿命世界一

ここ数年は香港が平均寿命世界一

つい最近まで日本人(女性)の平均寿命が長年世界一だと思っていました。そのように思っていた方々も多いのではないでしょうか。

まずは厚生労働省が公表している最近3年間の資料から作った次の表をご覧ください。世界各国・地域の平均寿命の2015年~2017年のランキング上位です。

2015年 女性 男性
1位 香港 87.32歳 香港 81.24歳
2位 日本 87.05歳 アイスランド/スイス 81.0歳
3位 スペイン 85.58歳
4位 日本 80.79歳
2016年 女性 男性
1位 香港 87.34歳 香港 81.32歳
2位 日本 87.14歳 日本 80.98歳
3位 スペイン 85.42歳 キプロス 80.9歳
4位 フランス 85.4歳 アイスランド/スイス 80.7歳
5位 韓国 85.2歳
2017年 女性 男性
1位 香港 87.66歳 香港 81.70歳
2位 日本 87.26歳 スイス 81.5歳
3位 スペイン 85.84歳 日本 81.09歳
4位 韓国 85.4歳 ノルウェー 80.91歳
5位 フランス/スイス 85.3歳 スェーデン 80.72歳

ご覧のように、ここ3年間は香港に1位の座を譲っています。

それでは少し過去を振り返って見てみましょう。

日本の女性の平均寿命は、1985年~2010年まで26年間連続世界1位、2011年は2位でしたが、2012年~2014年までの3年間も連続世界1位というすばらしい成績でした。

一方、日本の男性の平均寿命は、2010年が4位、2011年が8位、2012年が5位、2013年が4位、2014年が3位という成績でした。

ここで2011年に日本の男女共に平均寿命の世界ランキングがよくなかったのは、東日本大震災の影響だと言われています。

このように過去、日本女性は当たり前のように世界1位の平均寿命を誇っていました。

ところが、最近2015年~2017年では香港が連続で世界1位しかも驚くことに男女共に揃っての世界1位です。日本の男女が揃って世界1位になった話は過去には聞いたことがありません。

余談ですが、WHO(世界保健機関)が発表している統計では、香港は中国の一部に含まれてデータが集計されているようで表には出てきていません。

このような事情を知ってしまうと、なぜ香港の人々が男女を問わずそんなに平均寿命が長いのかその理由や背景を探りたくなります。

     

九龍・彌敦道のにぎわい  ビクトリア湾100万ドルの夜景  ビクトリアピークからの眺望

なぜ香港の人たちの平均寿命がそんなに長いのか?

それでは、香港の人たちの平均寿命が長くなる理由や背景を探ってみたいと思います。

次のような要因が考えられます。

  1. 食べ物・飲み物
  2. 運動
  3. 家族・人・社会との関わり
  4. 経済的豊かさ
  5. 教育水準
  6. 医療水準
  7. 気質・性格
  8. 気候
  9. 自然災害
  10. 交通事故死者率・自殺者数
  11. 喫煙率
  12. 行政主導の施策

これらの要因について一つずつ見ていきます。

1.食べ物・飲み物

香港ではいわゆる「医食同源」にもとづき、食べることで健康を回復し、維持し、増進するのが基本になっています。そのため薬膳料理がとても盛んです。

また、「冷えは万病のもと」ということで冷たいものを避けて、体を温めるものや、消化がよいものを好みます。実際私たちも冷たいものを食べたり飲んだりすると血圧が上がってしまうそうです。逆に温かいものだと血圧は下がるそうです。

香港の人は朝食に温かいお粥をよく取ります。これは朝起きたばかりで内臓の働きが弱いときでも消化・吸収がよいからだそうです。共働きが多い香港の家庭では朝から外食となりそのため街にはたくさんのお粥のお店があります。

また昼食などには、多くの人が食事の前に温かいスープを欠かさないそうです。その日の気候や体調に合ったスープを選んでいるそうです。レストランでもたくさんの種類の薬膳スープが用意されています。

香港での定番の薬膳スープ「老火湯」には果物、野菜、肉類、漢方など、さまざまな具材が用いられ、様々な健康効果が期待できるそうです。

これは欧米などのスープと違い、数時間も煮込んで作るので食材から充分なミネラル分が溶け出しているということです。たとえば、基本といわれているチキンスープは新鮮な鶏、丸一羽でとるのが香港流だそうです。

また香港ではよくデザートに亀ゼリーを食べます。これはカメの腹甲を干して粉にしたものと、土茯苓(ドブクリョウ)、甘草、仙草などの生薬を一緒に煎じ、抽出液を蒸して作ったものです。そのままでゼリー状に固まったものです。

香港では飲み物も冷たいものは避けて、たとえばマイボトルに温かいまたは常温の中国茶やお白湯を入れて持ち歩き、飲んでいるそうです。

このように香港の人は、温かいかまたは常温の飲食物、薬膳料理・スープを毎日欠かさず取ることでしっかりと健康を維持しているのでしょう。

2.運動

香港では朝、公園や広場などでは多くの人が太極拳、体操、逆歩き、ウォーキングなどに励んでいます。その多くはシニアの皆さんです。毎日体をできるだけ動かす習慣がすっかり身についているようです。

朝の運動の後、皆で飲茶をいただくことが楽しみのようです。運動後の飲茶は豚肉やシーフードなどのたんぱく質が多く含まれていて筋肉の修復や増強にとても良いそうです。

また香港のシニアは自宅の部屋が往々にして狭いということもあり、男女を問わずとにかく外出が大好きなようです。狭い街に人口が密集しているので公園などに行けばすぐに友達に会えることもその一因のようです。

香港は平地が少なくすぐ山が迫ってきていて坂道が多くあります。またアパートの階段を上り下りする人も多く、一度外出するとかなり良い運動になります。

ところで坂道と長寿の相関についてはよく日本のテレビ番組などで紹介されています。

イタリアの長寿村などでは、坂や階段が多い地形が特徴的で、シニアが毎日上り下りすることで日常生活に運動が組み込まれていると考えられるそうです。

日本でも以前、山梨県棡原村は「日本一の長寿村」と呼ばれていて、平野が少なく山の急斜面の畑で一日中農作業をして足腰が鍛えられていたのが良かったという意見もありました。

このように香港では皆が体をできるだけ動かす意識・習慣がしっかりと身についており、また外出することで自然に筋肉が鍛えられるような環境だということが長寿に貢献しているのでしょう。

3.家族・人・社会との関わり

人が健康に生きていく上で、身体の健康と共にもちろん心の健康もとても大切です。

多くの人は家族、親族、友人や他人、そして社会(会社、組織、グループなどいわゆる世間)との関わりの中から、生きがい、平和で安心できる心、元気になれる刺激、好奇心への刺激、よくしゃべりよく笑うことによるストレス解消などの貴重な恩恵を得られます。

香港の人々は家族親戚をとても大切にし、季節のお祝い、お誕生日、長寿のお祝い、その他何かにつけて皆で集まってにぎやかに食事を楽しみ大いにお喋りをし笑うそうです。

イタリア人も家族の結びつきがとても強いとよくいわれます。その理由でよく挙げられるのは「最後に信頼できるのは家族しかいない」という考え方です。

歴史上、生きていく上で様々な国の様々な人と付き合っていかなければならないダイナミックでバラエティに富んだ環境では至極当然の考え方のように思えます。

また、香港の人々はシニアを含めて皆外出が大好きで、狭い平地に人口が密集しているので公園などにいけばすぐに友人が見つかり、食事やお喋りを楽しむそうです。

たとえば、香港のシニアが早朝公園や広場で友人と太極拳をして汗を流した後、美味しい飲茶を囲んでお喋りに花を咲かせることは日常茶飯事だそうです。

特に友人、子や孫などとの関わりの中で、知らなかったこと、新しい流行のこと、新しい革新技術のことなど大いに良い刺激ももらっていることでしょう。

4.経済的豊かさ

2017年の一人当たりの名目GDPの世界ランキング(190ヶ国対象)は、香港は46,080.48USドルで16位、日本は38,448.57USドルで25位です。[世界経済のネタ帳 ホームページより]

超富裕層といわれる3000万ドル(約33億4000万円)以上の資産を持つ住民の数は2017年、香港が1位で約1万人、ニューヨークが2位で9000人弱、3位が東京で約6800人だったと報告されています。[Bloombergホームページより]

また超富裕層でなくてもいわゆるお金持ち(1億円以上の資産を持つ人)の割合も日本よりかなり多いそうです。

このように香港は世界的に、日本よりもさらに裕福なのです。

香港の住民がなぜこのように裕福なのかという理由は、大金持ちが海外からタックスヘイブンの香港へ移住してくるからというのもあると思います。

しかし、もともと普通の住民が、長期に資産を増やしていってシニアになる頃にはかなり裕福になっているということだそうです。平均年収は日本のほうが香港よりも1.5倍ほど多いといわれているのにです。

香港では子供の頃から投資に関してしっかり学習するそうで、いわゆる金融リテラシーが非常に高いそうです。これはイギリスの教育制度を取り入れている恩恵のようです。

日本と違って「お金儲け」に関して躊躇することはまったくありませんし逆に極めて積極的です。

人々は若い頃から長期で投資を継続し複利効果を最大限に生かして、財産を増やすのだそうです。香港にはこれをしっかりと支えるお得な金融商品がたくさん用意されています。

またタックスヘイブンといわれている香港では税金がシンプルでお安いです。たとえば次のようです。

  • 法人税:15~16.5%
  • 個人の所得税:2~17%
  • 住民税・事業税のような地方税:無し
  • 消費税:無し
  • 相続税:無し
  • 贈与税:無し
  • キャピタルゲイン(株、配当、不動産売買、FXの利益など)への課税:無し

日本に住む人々にとってまさに天国のような税制です。毎月の給与が少なくても出費を抑え、かつお金をどんどんと増やしていくことができるお膳立てが用意されています。

経済的に裕福であることは言うまでもなく健康維持、長生きにとても有利です。また税金が安いこと、どんどんお金がたまっていくのを眺めることは精神衛生上とてもよいのではないでしょうか。

すぐにでも香港へ移住したいと思われる方も多いのではないでしょうか。

5.教育水準

自分の健康を守るには、食べ物・飲み物、運動、ストレス・コントロール、生活習慣など色々なことの知識を得ることがとても大切です。

たとえば、ジャンクフード、甘いもの、塩辛いものをたくさん食べたり、野菜不足が如何によくないかはこれらの知識があればおのずと分かるはずだと思います。

そのため高い学習意欲、高い学習能力、実際の学習努力、そして良い教育システムなどに支えられた高い教育水準にあることが望ましいです。

OECD学習到達度調査(PISA)による世界の15歳の生徒を対象にした結果は下記のとおりです。

2012年 数学的リテラシー 読解力 科学的リテラシー
1位 上海 上海 上海
2位 シンガポール 香港 香港
3位 香港 シンガポール シンガポール
4位 台湾 日本 日本
5位 韓国 韓国 フィンランド
7位 日本
2015年 数学的リテラシー 読解力 科学的リテラシー
1位 シンガポール シンガポール シンガポール
2位 香港 香港 日本
3位 マカオ カナダ エストニア
4位 台湾 フィンランド 台湾
5位 日本 アイルランド フィンランド
8位 日本 香港

これらの結果を見てわかるように、香港はトップグループに入っていますし、日本よりも総じて優秀であると考えられます。

香港はイギリス統治時代からイギリス式の優れた教育システムを取り入れてきたこともあって現在の高い教育水準を保っているものと思われます。

6.医療水準

香港では公立病院、私立病院、個人クリニックを核とした医療システムがあり、日本と同様に世界トップレベルの医療水準にあります。

また、世界224の国と地域を対象とした乳児(1才未満)1千人あたりの死亡数について見てみましょう。

2014年の世界ランキングでは、香港は2.71人で少ないほうから並べて第8位で、1位のモナコ1.81人、2位の日本2.13人と並んで世界でもかなり死亡数が少ないほうのグループに入っています。[世界ランキング・国際統計格付けセンターのホームページより]

高い医療水準は長寿を支える不可欠な要素です。

7.気質・性格

香港の人々はよくバイタリティがあり、活発で、行動力・実行力があり、判断・動きが早く、現実的であるなどといわれます。また、色々な国籍、言語、信条など幅広く受け入れる柔軟さがあり、そして自由であることを最も尊重しているように見えます。

過去を振り返ると、中国大陸で発生した各地の動乱、戦争、抑圧・規制などを不満に思って、わざわざ香港へ移住してきた人たちが作ってきた場所だといわれています。

香港ではイギリス統治時代から、関税がない自由貿易で、法人税や所得税も安く、相続税や贈与税がなく、比較的自由な環境で経済は大いに発展してきたのだと思います。

香港の人々は少しでも不遇があれば、我慢することなくすぐに積極的にそれを改善したり、もしも無理であれば外国にでも避難するような強い行動力が備わっているようです。

これらのことを見てくると、香港の人々は色々な局面で、他の国の人々よりも比較的うまくストレスを避け、またすぐに発散させて、上手にストレス・コントロールできているのではないでしょうか。

ご存知のようにストレスは血圧の急上昇を招くなど健康の大敵です。

8.気候

香港は、ユーラシア大陸の南東部、広東省の深圳市の南側に位置していて亜熱帯性気候帯に属しています。年間で最低気温13度~最高気温31度、平均気温が16度~29度で穏やかな四季もあります。

もちろん日本より温暖です。一年中温暖な気候がもたらす恩恵を見てみましょう。

まずは、血圧についてです。

日本では血圧は普通夏に下がり冬に上がります。気温が高いと血管が拡張し血圧が下がります。また夏は汗で塩分と水分が体外に排出され、体内の血液量が減ることも血圧を下げるように働きます。

冬になり気温が低くなると、交感神経の働きが活発になり、血管を収縮させ、血圧を上昇させて体温を保とうとします。収縮期血圧で6~7mmHg上昇するといわれています。

大きなリスクに繋がるのが、いわゆる冬のヒートショック(急激な温度変化による血圧の急変動などが身体に及ぼす衝撃)です。

日本では一年間に全国で2万人弱の人々がヒートショック関連で入浴中に急死していると推計され、そのほとんどが冬場で大半が高齢者だそうです。この数字は交通事故死者数の4倍ほどにもなります。

このように血圧が上がりやすい冬は心筋梗塞や脳卒中などによる死亡が増えるようです。

次は雪のお話です。

日本では特に冬に雪の被害をこうむっています。

降雪による災害は、雪崩、除雪中の転落などの豪雪地帯特有の災害だけでなく、路面凍結による交通事故や歩行中の転倒など、豪雪地帯以外でも発生しています。

日本の雪害による一年間の平均死者数は約100名、7~8割が除雪作業中だといわれています。

香港のような一年中温暖な場所に住めばこのような血圧や雪害のリスクはとても少なくなるでしょう。

世界のシニアが退職後は健康的にゆったりと過ごしたいと温暖な南の地域へ移住するのをよく見かけます。日本ですと石垣島やハワイ、米国ですとフロリダあたりが有名です。香港のシニアはもともと気候が温暖なのでそのまま香港に住み続けることができるのでしょう。

9.自然災害

自然災害といえばまず地震が思い浮かびます。

香港では毎年平均2回の有感地震を観測しているものの、観測を始めた1905年以降、地震による人的被害(死亡、負傷)の報告はないということです。

また津波の被害についてもあまり聞きません。

香港は地震活動が活発な地震帯から離れた場所にあり、中国大陸などで起こった地震の振動が伝わってくる程度で済んでいるそうです。

日本はご存知のように全国的に地震が多く、時には一度の巨大地震で数千人、数万人が亡くなることもあります。

台風は、香港にもやってきますが、死者が出ることはまずないようです。理由のひとつに政府が適切にほぼ強制的な避難・待機命令を発令するからだと言われています。

たとえば、2018年9月16日にフィリピン、香港、マカオ、中国・広東省を襲った香港史上最大級の台風22号の際は、フィリピンで数十名、中国で数名の死者が出る中、香港は死者ゼロでした。

土砂崩れはやはり香港でも発生しています。香港は平地が少なく山のすぐ近くに住宅が多く建てられていますので死者がでるほどの被害を過去から経験しています。

なお、自然災害に襲われた際、建物が倒壊したり、物の下敷きになったり、流されたり、火災に巻き込まれたりするような直接的な被害だけでなく、避難生活の中で起こる災害関連死も大きな問題だと思います。

香港は比較的自然災害を受けにくいと言えると思います。

10.交通事故死者数・自殺者数

下の表は少し年度は古いですが香港の交通事故件数と死者数を日本のものと比較したものです。

香港 日本
件数(件) 死者数(人) 死者数/10万人(人) 件数(件) 死者数(人) 死者/10万人(人)
2010年 14,943 117 725,773 4,863 3.80
2011年 15,541 130 1.84 691,937 4,612
2012年 15,894 120 665,138 4,411

(交通事故の件数、死者数は平成25 年度 日本大学理工学部社会交通工学科 卒業論文概要集「日本・韓国・台湾・香港に       おける交通事故発生状況の比較と安全対策の提案」より抜粋)

注目していただきたいのは10万人当たりの死者数です。香港の1.84人に比べて日本は3.80人で、香港の方がはるかに少ないです。

グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト のデータによると、2015年の数字ですが、10万人当たりの交通事故死者数は、米国12.60人、韓国11.20人、フランス4.80人、日本/スイス3.6人、ノルウェー3.20人、イギリス2.90人などとなっています。

この香港の10万人当たりの交通事故死者数が1.84人というのは他の国々と比べてもかなり少ないということが分かります。

香港ではマイカーの所有率が日本の1/8と先進国ではかなり少なく、多くの人が便利な公共交通機関を利用するそうです。

MRT(地下鉄)、バス、タクシーなど、交通網が行き届いており、一部バスの24時間運行や、日本より料金が安いということでとても利用しやすいのだと思います。

そのような理由で10万人当たりの交通事故死者数が少ないものと思われます。また、自分で車を運転するときは血圧が高くなりやすいとも言われています

このように多くの人が公共交通網を利用することが香港の人々の平均寿命を長くすることに貢献しているのでしょう。

次に10万人当たりの自殺者数について見てみます。

香港は2017年は12.4人でした。

一方日本の10万人当たりの自殺者数は2017年は16.8人で、年度が多少ずれますがフランス15.1人(2013年)、米国13.4人(2014年)、ドイツ12.6人(2014年)、カナダ11.3人(2012年)、イギリス7.5人(2013年)、イタリア7.2人(2012年)となっているようです。[ニッポンドットコムのホームページJapan Dataより]

香港は他の先進諸国の中間くらいに位置づけていますが、日本は最も多くなっています。

11.喫煙率

香港の喫煙率は2017年で10%、一方日本は同年で18.2%となっているそうです。[NNA ASIA,日本たばこ産業(株)のホームページより]

またOECDのデータによると2015年のOECD諸国の平均喫煙率は19.7%となっています。

これらを見ると、香港は他の先進国に比べてかなり禁煙が進んでいるということになります。一方日本は中間位置くらいでまだまだのようです。

香港で禁煙が進んでいる背景の一つとして、たばこの価格が高いことが挙げられます。

たとえば、マルボロ1箱の値段は794円だそうです。これに対して日本では460円とかなりお安く売られているようです。この価格は世界ランキングでは、香港が20位で日本が47位だそうです。[news from nowhereのホームページより]

12.行政主導の施策

行政が主導して行う健康促進の様々な活動はそれなりの成果が期待されます。自分からは積極的に活動しない人でも皆と一緒に背中を押されて行動を起こすからです。

香港では2000年から行政主導で健康増進の活動が開始され、「毎日運動して身体を丈夫に」をスローガンに、公園や体育館などの公共施設を増設し、また食生活の改善や禁煙運動など、様々な健康意識を高める運動を行ったということです。

その結果、かつては7割を超えていた高血圧の人の割合が、2013年には37.6%まで下がったということです。日本では60代の高血圧の人の割合は59.8%ですが、香港は37.6%で、日本よりはるかにに少ないといわれています。[TVでた蔵・「高血圧」に関するテレビ情報より]

この健康増進プログラムは大きな成果をあげたようです。

一方、日本の新潟県でも県主導で、高血圧・胃がん対策として「にいがた減塩ルネサンス運動」という県民運動が平成21年度から平成30年度まで10年間実施されました。

10年間で1日1人あたり「食塩2g減少」「野菜2皿の増加」「果物1個の増加」を達成することで、最高血圧の平均値を2mmHg低下させ、脳卒中や虚血性心疾患の患者数や死亡者数を減らすことが目標となっています。[新潟県ホームページより]

この活動は平成30年に終わったばかりなのでまだ成果は公表されていないようです。日本ではその他長野県での健康増進活動がよく知られています。

最後に

今までのことを一枚の絵にまとめておきます。絵の中のそれぞれの項目の後ろに付いている番号は、上で書いた長生きの要因の番号です。

長寿に大切なのは身体の健康と心の健康で、それをしっかり支えるのが、経済的豊かさ、教育、医療、環境などです。その結果として、本来の寿命を全うできるかどうかということになります。

もしも健康であればだれでも125歳くらいまでは生きられるという話も聞きます。

今まで見てきたように香港がなぜ平均寿命が世界一になったのかそれなりに理解できたように思います。むしろ香港は条件がかなり整っており世界一になるべくしてなったということでしょうか。

日本もまた世界一位に返り咲くことがあるでしょうか?

長生きのために自分ですぐに始められることもありますし、また行政に期待する面もありますし、どうしようもない面もあります……。とにかく出来ることから始めるとよいでしょう。

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コメント

  1. メグ より:

    はじめまして。
    平均寿命について、興味があったので閲覧させていただきました。ずっと日本が世界一だと思っていたのですが、意外に香港とは!税金対策も素晴らしいものなんですね。
    とても勉強になりました。

    • ようれん ようれん より:

      めぐさん、

      この1月から初めてブログを作ってみました。まだほんの初心者です。

      早々にブログを見ていただきありがとうございます。
      平均寿命については、日本も延び続けているのですが、香港の伸びがそれを上回っているようですね。

      • メグ より:

        平均寿命について、興味があったので閲覧させていただきました。ずっと日本が世界一だと思っていたのですが、意外に香港とは!税金対策も素晴らしいものなんですね。