中国の九寨溝と黄龍を観光旅行

はじめに

もう15年以上も前にNHKスペシャルというテレビ番組で初めて中国の九寨溝がお茶の間に紹介されたとき、とんでもなく美しい森、湖、川、滝の姿にとても驚き、是非いつか一度は訪れてみたいと思っていました。

今回九寨溝と黄龍をゆっくりと時間を取って巡る適当なツアーを見つけたので思い切って参加してみました。

中国・四川省の西北部の奥地にある九寨溝(きゅうさいこう)は、2,000~3,500メートルの山岳地帯にあり、原生林が生い茂った森や林の中に大小100に及ぶ湖沼、渓流、瀑布が50kmにもわたって連なる神秘的な秘境を形作っています。ここは1992年に世界遺産に登録されました。

また九寨溝から山を隔てさらに高所に位置する黄龍(こうりゅう)は美しい湖沼群が龍のように横たわる約7.5kmの大峡谷となっています。世界有数のカルスト地形で黄金色の岩肌とエメラルドグリーンに輝く水がすばらしい絶景を作り出しています。

九寨溝の観光概要

まず成都から飛行機で一気に九寨溝・黄龍空港へ行きました。空港の高度が約3,000メートルあるので早々に高山病に注意する必要があります。

成都からバスでゆっくり登ってくるほうが高山病対策には良いのですが、何しろ片道10時間以上かかるので時間を有効に使うということでは厳しいです。

九寨溝の入り口からは現地の環境保護用のエコバスに乗り換えてさらに奥地へと進みます。旅程中バスを乗り降りしながら途中はきちんと整備された木製の遊歩道を歩いて観光します。

黄龍の観光概要

まず麓からロープウェイに乗ってほぼ一番高い海抜約3,500メートルの場所まで登ります。そこからやはり立派な木製の遊歩道の階段をゆっくり歩いて下りながら各所の観光スポットを訪れます。

今回の観光地はどちらともとにかく標高が高いうえ、歩く距離もなかり長いので高山病にはくれぐれも注意する必要がありました。念のため麓で各自1本ずつ携帯用酸素ボンベを準備しました。

九寨溝の観光

私たちのツアーバスに乗って現地エコバスの発着所に着くとそこはすでに大混雑でした。ほとんどの観光客は中国各地からの人々だということです。近年中国の人々の収入が増え、多くの人が海外旅行とともに国内旅行にも積極的に行くようになってきたようです。

それでは訪れた観光スポットを順にたっぷりとご紹介します。

  

水の透明度が最も高いといわれている五花海

   

よくパンダが水を飲みに来ていたという熊猫海

  

ちょっとした滝と流れ落ちる水流

  

木製の遊歩道のすぐ下にこのような渓流が流れています

  

ブルーの水面、水中、向こうの山の反射が融合したとても幻想的な景色

 

水中の古木がとても印象的な風景です

  

川の流れに沿って広がるブルーのラインがとても面白い風景です

  

九寨溝には黄色に比べ赤く紅葉する樹木が比較的少ないようです

光の当たり具合によってさらに神秘的な風景になります

  

水の色が場所や光の関係でコバルトブルーからエメラルドグリーンへと変わります

九寨溝には大小100に及ぶ湖沼、渓流、瀑布が50kmにも及び広大な範囲に広がっているのでエコバスを使っても観光ポイントに沿って歩く距離はかなりのものになります。

そのためグループでの徒歩観光ではそれぞれのポイントにそう長い時間は留まれず、ましてや途中で自分が素敵な風景に出会っても立ち止まってゆっくりと鑑賞したり、写真撮影したりする時間はまずありません。

自分流にゆっくりと観光したい自然派の人や、写真愛好家の皆さんであれば、やはり個人旅行で訪れることをお勧めします。

エコバスの乗り降りや観光ポイントの効率のよい巡りかたはやはり現地に詳しい中国人でないと難しいので、個人旅行の場合は現地の中国人ガイドを雇えばよいと思います。もちろん料金は日本語ガイドより割安です。

最近は片言の日本語を話す中国人ガイドも多いですし、いざとなればスマホの自動翻訳アプリで日中・中日翻訳をすればかなり複雑な会話もできます。実際私も最近スマホアプリで問題なく会話した経験があります。びっくりするほど世の中は便利になりました。

  

諾日朗瀑布のすぐ上流部分の水の流れ

  

落差20m、幅270mの石灰岩でできた九寨溝最大の滝、諾日朗瀑布

  

湖の水面に山々の木々が反射して美しい鏡海

  

鏡海の周辺の山岳地帯の様子

五彩池を見に行く遊歩道は最後のアプローチで下りになっていて、高い位置から林の木々の間からちらほらと五彩池が見えてきます。

今まで見たこともないような鮮やかなブルーの水面が一部見えてきたときには本当に感動しました。

近づくにつれて上の方から見え始めた頃の五彩池の写真が左です。自然が造り出した色とはまったく信じられないファンタジックな素晴らしい色合いです。

  

九寨溝で水の色が最も美しいと言われている五彩池

五彩池は一日に時間帯によって5回も色合いが変わるといわれていてそのような名前が付けられたそうです。この池は九塞溝の中で最も小さな池で、一見浅く見えますが水深は約7メートルもあるということです。

五彩池の周りには立派な木製の遊歩道と鑑賞スペースが整備されていてさすがにいつも人が途絶えることなく賑わっていました。混雑がすごいので良い位置から写真を撮ろうとするのに苦労しました。

  

落差40m、幅163mの滝、珍珠灘瀑布

  

大小数十個の湖が連続していて、段々畑のように見える樹正群海

途中にある小さな滝

  

樹正群海の下流にある静かな雰囲気の池

  

樹正群海の下流にある古木が沈んだ静寂に包まれた渓流

今回の九寨溝観光では2日間かけて見て回りましたが、それでも各観光ポイントでは鑑賞や写真撮影の時間が不足気味でした。

周囲の大自然も素晴らしくまた何といっても水の色が多様に変化していたのには驚かされました。

黄龍の観光

当日はツアーバスで九寨溝のホテルを出て峠を一つ越えて黄龍へ向かいました。その峠の海抜は約4,000メートにもなりました。持っていたお菓子の袋がパンパンに膨れてしまいました。

黄龍の麓のロープウェイ乗り場は海抜約3000メートルで、そこからロープウェーで一気に約3,500メートルまで上がりました。黄龍観光は高山病が最も心配でした。

ロープウェイを降りてからは、ほぼ平坦な木製の遊歩道をひたすら歩いて観光スポットまで行きます。周囲は静かな林でまさに森林浴しながらのゆっくりとした楽しい散歩になりました。

一番奥にある五彩池までの階段では、多くの人が道端に座り込んでいて、中には酸素ボンベを吸っている人もいました。みな中国の人のようでした。

立派な遊歩道の途中には休憩のベンチコーナー、トイレ、救急用酸素吸入小屋などが整備されていて海抜が高いということで万全の観光施設となっていました。トイレは便座のビニールシートが移動して入れ替わる方式で気持ちよく使わせていただきました。

  

黄龍の周囲の山岳地帯            黄龍の石灰岩の棚段の遠景

  

黄龍の一番奥にある五彩池の石灰岩の棚 ー 様々な表情を見せています

     

黄龍の麓のほうに遊歩道を下りながら鑑賞した様々な石灰岩の棚田

  

途中には珍しい黄色や赤茶色の石灰岩の滝があります

  

黄龍の一番麓の方にある石灰岩の棚田

今回黄龍の上の方から麓まで数時間かけて快適な遊歩道を歩きながら観光し、各種各様の色々な色合いの石灰岩、石灰華とブルーの水のすばらしい大自然の造形美をたっぷりと堪能できました。

黄龍の観光では遊歩道を歩きながら足元や周りの石灰岩、石灰華を眺めるのが主目的であるために、上を見上げて周辺の山岳地帯の景色を同時に楽しむ観光客が少ないように感じました。

黄龍の海抜ですでに3,000メートルを超えているので回りの山々の風景はは麓から見るのとはまた違った趣で楽しむことができます。

今回の観光中に見た周りの高い山岳地帯の写真を数枚下に掲載しておきます。

     

黄龍の周辺の山岳地帯

今回の黄龍・九寨溝観光の後、成都までもどり大熊猫繁育研究基地というパンダ基地を訪れました。ここは中国で初めてパンダの生息地外保護を行う目的で建設された基地だそうです。

  

成都にあるパンダ基地、大熊猫繁育研究基地のパンダの様子

パンダ基地では広い基地内に観光ルートが整備されていて、各所で遊んだり、昼寝をしたり、また餌を食べたりしているパンダを観察することができます。

日本人観光客にとって一番の人気は、子供のパンダをだっこできるという有料サービスです。1人1回12,000円くらいで少し高いなと思いましたが同じツアーの数名の女性が体験し、大変喜び興奮した様子でした。

また基地内には竹林がたくさんありますが、ガイドさんによるとこの竹は食料用ではなく、パンダの食料に適した竹は別の場所で栽培されているとのことでした。

最後に

NHKスペシャルというテレビ番組で初めて中国の九寨溝の存在を知って以来、今回ようやくその訪問の機会に恵まれました。

九寨溝は予想以上のすばらしい大自然が残っている場所でした。今回は2日間という他の一般的なツアーより長く滞在する九寨溝を巡るツアーに参加しましたが、それでもゆっくり鑑賞したり写真を撮ったりする時間が足りませんでした。

今回は秋に訪れましたが、次回は是非、山や林の緑が綺麗で、色々な高山植物の花が咲き乱れ、また水量も一番豊富な夏に来てみたいと思っています。

九寨溝、黄龍ともに同じようにカルスト地形が長年かけて生み出した奇跡の絶景だと思いますが、九寨溝は美しい森、湖、川、滝という静寂で優しい大自然、黄龍は黄色の石灰岩や石灰華が階段状に麓まで連なりまさに黄金色の龍の鱗のような荒々しい様子で、両者対照的でした。

日本からすぐ近くにこのような世界でも珍しい場所があることに驚かされた感動的な楽しい旅行となりました。

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