中国の桂林と龍勝棚田へ観光旅行

はじめに

数十年ほど前に中国の桂林へ旅行した知人から、桂林は風景がすばらしかったと聞いたとき、初めて桂林という観光地があることを知りました。それ以来いつか訪れてみたいと思っていましたが最近ようやくその機会に恵まれました。

桂林は中国広西チワン族自治区にあり、カルスト地形の奇峰が樹立し、水墨画のように美しい景色で世界的に有名な観光地です。

典型的な楽しみ方は、大きな遊覧船に乗って漓江下りをしながら両岸に見えるいくつもの石灰岩の奇峰を眺めるというものです。また近郊にある棚田などの観光スポットにも足を伸ばします。

まず桂林の位置を見ておきたいと思います。下の地図(Google地図)のように桂林は香港から北西方向に約500キロメートル離れた所に位置しています。

今回桂林を訪問した季節は初夏でしたがかなり蒸し暑い気候でした。桂林および近郊の次のような観光スポットを訪れました。

  1. 畳彩山景区
  2. 七星公園
  3. 龍勝棚田
  4. 漓江下り
  5. 桂林世外桃源郷

それでは訪問順にご紹介していきます。

1.畳彩山景区

最初に桂林市内が見渡せるという畳彩山に登りました。少し息が切れる登山道の階段を20~30分徒歩で上がる必要がありましたが森林浴を兼ねた良い運動になりました。

山の中腹あたりに天然の風洞があり、常に涼しい風が通り抜けているとのことです。中には仏像や壁に彫られた漢詩などがあります。

左の写真はその風洞の入り口です。上の壁に「畳彩山」と彫られています。

360度見渡せる頂上の見晴台からは漓江、桂林市街、カルストの奇峰の景色が展望できました。当日はあいにく曇っていました。

     

帰りに有料のスロープ(滑り台)がありましたが、みたところちょっと危なそうな感じでした。当時それを利用している観光客は見かけませんでした。

2.七星公園

七星公園は漓江の東に位置し敷地面積が82万平方メートルあって桂林最大の公園です。今回は短時間ですが、駱駝山などの公園内の山水の景観を楽しみました。

  

4つの峰のラクダのような形をした「駱駝山」と公園内の池に咲いていた可憐な睡蓮の花

3.龍勝棚田(龍脊棚田)

龍勝棚田は、桂林の北西約90kmのところにある龍脊山を中心とした山岳地帯に開拓され、「世界の棚田の冠」と称えられています。海抜約300~1100メートル、約30度の急勾配の山肌に約60キロメートルにわたり美しい棚田景区が広がっています。

約650年前の元の時代から、チワン族やヤオ族等地元の少数民族が生活のために開拓し、絶え間ない努力を続けて現在に至っています。頂上部には展望台があり付近の棚田の全景を展望することができます。

観光バスで棚田景区に入ってすぐに反対側の山の斜面に作られた美しい棚田が見えました。

私たちが歩いて登っていくのはまた別の棚田です。

私たちが棚田の麓の入り口に到着すると、その付近には足に自信のない方のために駕籠かきがたくさん待機していました。ツアーのグループの中の数名が籠に乗って棚田を登ることになりました。

私は最初のうちは先頭を行く籠の後について登っていっていましたが、かなり早く歩いていたので気がつくと途中から一人になっていました。頂上の展望台への道は分かりにくく途中人に尋ねながらなんとか展望台まで登りました。

後のグループの人たちがなかなか到着しないので、ガイドさんに携帯電話で様子を尋ねたところ、私は当日の目的地の展望台ではない別の展望台に来ていることが分かり少し慌てました。

あとで分かったのですが、この付近には複数の棚田の展望台があるということでした。一人で登る場合には特に注意が必要です。

私が登った棚田は途中、観光客にもほとんど出会わず、地元の人々のそのままの生活が分かる興味深いのぼり道で、それなりに多いに楽しむことができました。途中唯一アメリカ人のご婦人とその子供たち三人連れに出会い、お互いに相談しながら頂上を目指しました。

道はところどころとても狭くなっていて、片方は棚田の急斜面ですのでスリルもありましたし、もちろんその頂上の展望台からの棚田の景色も素晴らしいものでした。

  

棚田の斜面がかなり急勾配であるのがよく分かります。幅も予想以上に狭いです。このように狭くて急勾配の田んぼで1日中農作業をするのは想像以上に大変だと思います。

     

歩いて棚田を登って行く途中の幾何学模様の美しい景色です。

棚田のすばらしい造形美です。まさに芸術です。

私が登った展望台からの眺望です。向こう側にもう一つの展望台が見えます。

左は上の写真の一部を拡大したものです。

中心付近の赤い旗がたなびいている場所が本来の目的地である展望台です。その左下にもさらにもう一つ別の展望台のような場所も見えます。

グループの人たちはちょうど今現在そこで棚田の眺望を楽しんでいるものと思われます。

上で紹介した風景は、私が道を間違えたために偶然に出会えた、一般の観光客がめったに足を踏み入れない貴重な棚田の風景となりました。

当日お昼は棚田の中腹の古風なレストランで龍勝竹筒飯を食べることになっており、私はその場所でグループの皆と合流し一緒に昼食を取りました。

4.漓江下り

今回の中国旅行の最大の目的である漓江下りへ行きました。桂林の竹江埠頭から陽朔まで遊覧船に乗って漓江の流れに沿って川くだりをのんびりと楽しみました。昼食時間を含めて約4時間の船旅でした。

外国からの観光客は船内設備が整った豪華客船に乗り、一方中国国内からの観光客は普通客船や遊覧距離が短い竹筏に好んで乗るということです。

この川くだりでは、両側に見えるたくさんの様々な形をしたカルスト地形の奇峰が川と織り成す姿がとても美しく、まさに水墨画の世界に飛び込んだような感覚を味わえます。

この風景は右の写真にあるように中国の20元紙幣の裏の絵にも採用されています。絵の場所は興坪の漓江沿いです。

私たちが訪れた初夏は川の水量も豊富でまた奇峰や林の緑も鮮やかで、漓江下りにはとてもよい時期でした。

それでは遊覧船で通過した順番に周りの風景をご紹介します。

  

竹江埠頭を出発したすぐの風景。たくさんの遊覧船で込み合っています。

桂林らしいすばらしい風景が現れてきました。

     

周りの林も鮮やかな緑でした。

  

途中の川岸に竹筏の発着場が見えます。大勢の観光客で賑わっています。

  

景色が良い場所は竹筏で込み合っています。

  

川辺に生えている竹がとても立派で生命力の強さを伺わせます。

  

桂林の川くだりのすばらしい風景です。なぜか雄大な気持ちになり心が落ち着きます。

この後まもなく遊覧船は近くの陽朔の埠頭に到着し、約4時間の遊覧が終了しました。

それにしてもカルスト地形の奇峰の形が予想以上に千差万別なのには驚かされました。四季それぞれで川くだりを味わうとまた楽しいのではないかと思います。

次は大きな遊覧船ではなく小さな竹筏に乗ってみたいと思いました。水面に近くまた少人数で気兼ねなく遊覧を楽しめそうです。

5.桂林世外桃源郷

桂林世外桃源郷は、遊覧船が到着した陽朔から約15キロの場所にあり、自然のカルスト地形の風景や田園生活などを観覧できる観光地です。

中国の「桃源郷」の境地を表していて、遊覧船に乗って少数民族の田舎の村や樹林などを見て回ります。ところどころに舞台が設置されていてそこでは少数民族の踊りや歌が披露されていました。

  

川縁の日光に照らされて美しく輝く柳      舞台で踊る少数民族の人々

  

桃源郷の遊覧船から見たカルスト地形の奇峰

最後に

今回の桂林と龍勝棚田への観光旅行では、天気は桂林ではかなり雲が出ていましたが、それ以降はうす曇時々晴れという状況で、主要な観光スポットを十分に満喫できました。

漓江下りは噂どおりの水墨画風の絶景の連続で、遊覧船の上では約4時間のほとんどを最上階のデッキで過ごし、周りの風景を存分に堪能しました。すばらしい撮影スポットが次々とたくさん現れてくるので常にカメラを抱えている状況でした。

龍勝棚田も予想以上の景観の素晴らしさで、また展望台へ歩いて登る途中に見た少数民族の家々や飼っている鶏や犬、垣間見た人々の生の生活がとても興味深かったです。

桂林へはまたいつか再度訪問したいと思っています。

最後にお遊びで、今回漓江下りの時に撮影した写真の一枚を青色強調処理したものを掲げておきます。青色ですが少し水墨画風になったと思います。

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