紅葉(もみじ)狩り - 京都(1)

はじめに

先月秋の京都に3泊4日で紅葉を見に行ってきました。

この記事ではその様子を詳しくご紹介したいと思います。

その前にちょっと脱線ですが、皆さん、紅葉狩り(もみじがり)という言葉をご存じだと思いますが「紅葉を狩る」というのは少し奇妙に聞こえると思います。

「紅葉狩り」という言葉

少し昔の日本の言葉に「桜狩り(さくらがり)」(お花見の意味)という似たような言葉もあります。

答えを先に言いますと「狩り」というのは、「山野に分け入って桜や紅葉を探し、じっくりその美しさを鑑賞する」という意味もあるそうです。

しかし本来は「イノシシ狩り」や「うさぎ狩り」のように山野で小動物などを追いかけてつかまえることを言っていたものと思われます。

そして昔は実際に山に分け入って探し当てた桜や紅葉をその枝を折って自宅へ持ち帰り(狩る意味に近い)日々鑑賞していたという話も聞きます。

桜のほうはその後自宅の庭に桜の木を植えたり、近くの土手に桜並木ができたりしたためにもはや山の中に探して出かける必要がなくなり、また桜の木の下で宴会を開いたりして、昔とは楽しみ方がかなり変わってきたのでそのうちに「桜狩り」という言葉はすたれて、現在の「花見」になったと言われています。

一方紅葉のほうは特に紅葉の木々の下で宴会をするなどということは習慣としては行われず、依然として多くは山野に出かけて鑑賞するという楽しみ方なので「紅葉狩り」が「紅葉見(もみじみ)」とはならなかったようです。

私は個人的には幼少のころ家族などと山野に行って美しい紅葉を見ながら食事をした経験が何度もありますが、世の中にはそのような風習は広まらなかったようです。

もっとも野外で紅葉を愛でながら食事をするというのは、季節柄風が吹けばかなり冷え込むと思いますのであまりお勧めはできませんが。

京都の紅葉

皆さんは「紅葉」と聞いて最初に思い浮かべる場所はどこでしょうか。

私は何といっても京都になります。もちろん日本には山々の雄大な紅葉、渓谷の紅葉、湖の岸辺の紅葉など素晴らしい名所は各地にたくさんあります。

しかしなぜか紅葉と日本的風景がとてもマッチし、京都の日本的風情と紅葉のコラボが特に際立った魅力を放っていると感じています。

またTVでお馴染みのJR東海のCM「そうだ京都、行こう」の背景に素晴らしい京都の紅葉が紹介されてきました。その映像の撮影にはとても力を入れていたとのことで、秋の行楽の季節になると思わず「そうだ京都、行こう」となったのかもしれません。

そもそも日本は地球上の微妙な位置にあることによってたくさんの落葉広葉樹、紅葉する木の種類が豊富で特に見事な紅葉を形成するモミジや楓の種類も世界で最も多いと言われています。

その日本の中で特に京都の紅葉が美しいと言われているのは次のような理由が考えられます。

1.京都は盆地になっていて昼と夜の気温の寒暖差が大きいので綺麗な色になる

2.京都の日本的風情と紅葉がとてもマッチしている

3.お寺など多くの日本庭園で昔から秋には紅葉を愛でる風習があり、住職が長年かけて紅葉の風景を大切に作り上げてきた

今回の京都での紅葉狩り

さて脱線はこのくらいにして今回の京都での紅葉狩りの様子をご紹介します。

京都の訪れたいお寺や神社の紅葉の見頃情報とお天気予報を慎重に調べて3泊4日の日程を計画しました。宿泊はとにかく機動性を重要視しJR京都駅すぐそばのホテルにしました。

今回は3泊4日で合計17カ所の紅葉スポットを巡りました。下に訪れたお寺や神社の場所をGoogle地図上に示します。

お寺などの開門時間は朝9~10頃が多くまた閉門時間が午後4時半、5時などとなっていてかなり忙しいスケジュールでした。

移動は電車と徒歩が基本で交通の便がない場所にはタクシーを利用しました。ただしこの時期はタクシーを使いたい観光客が沢山いるのでタクシーを確保するのが容易ではなく、40分以上待たされることを覚悟しなければなりませんでした。

目標とする紅葉スポットはネットで人気ランキング、お勧めなどを色々と調べて決めました。今回は特にお座敷に座った位置から眺める庭の紅葉にも重点をおいて回りました。

今年は台風や豪雨、寒い日や暖かい日が繰り返すなど、紅葉にとっては色づきなどあまりよくない年になり、場所によってまた個々の木によって紅葉のピークがばらついていました。

それでも今が見ごろという紅葉も多くとても充実した紅葉狩り旅行になりました。

1日目(午前)

旅程1日目は、圓光寺、光明院、建仁寺、高台寺、永観堂、南禅寺の6カ所を訪問し紅葉を楽しんできました。これらのうち、圓光寺、光明院、建仁寺の3カ所はお座敷から見るお庭の紅葉の景色が期待できる場所です。

この記事では1日目の午前に訪問した圓光寺、光明院、建仁寺の紅葉の様子をご紹介します。

1.圓光寺

場所:京都市左京区一乗寺

アクセス:京都駅からJR奈良線で「東福寺」まで行き、京阪本線に乗換えて「出町柳」まで行きさらに叡山電鉄叡山線に乗換えて「一乗寺」下車、徒歩約15分

拝観時間:午前9時~午後5時、拝観料:大人500円

臨済宗南禅寺派である瑞巌山圓光寺は1601年に徳川家康が、下野足利学校第九代学頭・三要元佶禅師を招き、国内教学発展のためにまず伏見に圓光寺を建立し学校としたのが始まりだそうです。現在の左京区一乗寺に移転されたのは1667年だそうです。

   

圓光寺の山門(左)と枯山水「奔龍庭」(右)

まず山門を入って「奔龍庭」を鑑賞し、中門を抜けると苔、紅葉、敷紅葉が見事なお目当ての「十牛之庭」が現れます。

   

上の写真は池泉回遊式庭園の「十牛之庭」です。

お座敷にあがると楽しみにしていたお座敷からみる紅葉の庭園の風景が現れてきます。

私はこの上の風景が最も好きです。赤い色の毛氈(緋毛氈)に木漏れ日が当たり何とも言えない落ち着いた暖かい風情を醸し出しています。

   

上の2枚の風景は少しお座敷の奥に移動して見た広い範囲の風景です。

この圓光寺はお座敷越しに見る紅葉の美しさでは人気1、2を争うお寺です。

この日も沢山の観光客がお座敷に上がり込んでお庭を鑑賞したり、撮影したりしていましたが、みなきちんとマナーを守って、座敷の中ほどに留まって他の人の鑑賞や撮影の邪魔にならないようにしていました。

そのため上のような写真をゆっくりと撮ることができました。

上の写真は手水鉢を入れたお庭の風景です。写真のように手水鉢には住職の粋な計らいからか真っ赤なモミジの枝が置いてありました。

   

お庭の紅葉にやさしく降り注ぐ朝日の木漏れ日が最高です。

色々な色の紅葉と敷紅葉がよい風情を出しています。

   

鐘楼周辺の紅葉の様子です。

   

裏庭付近の紅葉の様子です。竹と紅葉のコラボも素敵です。

   

管理が行き届いた紅葉がとても映える素敵なお庭だと思います。特に灯篭と石の配置が見事です。

   

圓光寺はそれほど広くはありませんが、非常に整備がなされたお庭に感激しました。紅葉の風景が素晴らしくとても似合っていると思いました。

2.光明院

場所:京都市東山区本町

アクセス:京都駅からJR奈良線で「東福寺」まで行き、京阪本線に乗換えて「鳥羽街道」駅下車、徒歩約6分

拝観時間:午前8時~日没、拝観料:志納

東福寺塔頭(たっちゅう)である光明院は庭の苔がとても美しいことから「虹の苔寺」の別名をもつ寺院です。1391年に金山明昶(きんざんめいきょう)によって創建されたそうです。
このお寺の庭園「波心庭」は、白砂の枯れ池と苔をみごとに調和させ、枯れ池に三尊石(釈迦三尊、阿弥陀三尊、薬師三尊)を配した枯山水庭園だそうです。

   

私が訪れた時はちょうど中国人観光客の団体さんが門の周りで写真を撮っていました。

しかし門からお寺の中に一歩足を踏み入れると観光客はごくわずかで、とても静かに「波心庭」を鑑賞し写真を撮ることができました。

   

お庭の紅葉はまだ時期が早いのか綺麗な赤には色づいてはいませんでしたが、十分に秋の風情を感じ取ることができました。

このお寺もお座敷から見た紅葉のお庭ということでは有名な場所です。白砂と苔の様子が素敵で確かにとても明るく開放的な穏やかな風景が広がっています。何かとても心が和み安心して鑑賞できるお庭です。

       

お寺の建物の隙間から午前の日光に輝く紅葉を見た風景です。紅葉の黄色から赤色までのグラデーションが素敵です。

   

東福寺塔頭(たっちゅう)である光明院は小規模ながら立派な庭園を持つ寺院です。本寺の東福寺は紅葉の時期は観光客に大人気で境内はごった返しますがここは訪れる人も少なくまさに穴場でお勧めです。

お座敷に上がった時にも1~2名の観光客しかいなくてゆっくりと自分の好きな位置からお庭を鑑賞し、写真を撮ることができとても満足でした。

なお、京阪本線の「鳥羽街道」駅から約6分の近距離ですが、道が少しわかりにくいので地図をよく確認しながら歩いたほうがよいと思います。

3.建仁寺

場所:京都市東山区大和大路四条下る小松町

アクセス:京都駅からJR奈良線で「東福寺」まで行き、京阪本線に乗換えて「祇園四条」駅下車、徒歩約7分

拝観時間:午前10:00~午後4:30、拝観料:大人500円

このお寺は臨済宗建仁寺派の大本山で、禅の心と茶の徳を伝える栄西禅師が開山し、鎌倉時代の建仁二年(1202年)の開創です。有名な俵屋宗達作の国宝の「風神雷神図屏風」がある京都最古の禅寺です。

   

建仁寺の門(左)と外回りの小道付近の紅葉(右)

   

建仁寺の他の門(左)と付近の紅葉(右)

   

建仁寺の方丈入り口(左)と国宝「風神雷神図屏風」(高精細デジタルレプリカ)(右)

   

大雄苑(左)と納骨堂付近の紅葉(右)

派手さはありませんが納骨堂周りの紅葉が綺麗でした。

   

潮音庭の紅葉の風景です。

別の角度から見た潮音庭の紅葉の風景(左)とその他の庭の紅葉(右)

建仁寺の庭で見かけた中では最もあでやかな紅葉です。

建仁寺は思っていたほどは紅葉の木はありませんでした。庭の一部に少し秋の彩を添える程度というところでしょうか。

境内はある程度広いものの観光客は少なめで、ゆっくりと静かに回ることができました。

この記事は「紅葉(もみじ)狩り - 京都(2)」へ続きます。

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