団体ツアーあるある(5)ー 添乗員・現地ガイド

はじめに

国内・海外旅行が趣味で数十年ほど前から色々な団体ツアーや個人ツアーを楽しんでいます。団体ツアーに参加すると旅行そのものの体験と同時に団体ツアーならではの面白くて興味深いことがらに色々と遭遇することになります。

この記事ではこれらの興味深い実際の体験を「団体ツアーあるある」としてご紹介していきます。

6.添乗員・現地ガイド

団体ツアーの場合は取り扱い旅行会社の受付や、電話対応、申し込みなどのサービスの質は最近ではどこもそれほど差があるとは思いません。

最もツアーの満足度に関係するのは、訪れる観光スポットもさることながら、やはりどのような添乗員さんや現地ガイドさんに当たるかということだと思います。最近では旅行会社の正社員の添乗員さんに混ざってフリーの契約添乗員さんも増えてきています。

またツアーによって添乗員さんだけだったり、添乗員さんと現地ガイドさんのWサポートだったり、格安ツアーのように現地ガイドさんだけだったりします。

添乗員さんや現地ガイドさんはツアー後のアンケートで参加者に直接評価されることもあり皆さん総じてとても一生懸命にお仕事をしてくださっています。

添乗員さんによってもっとも違うのは細かい日々の旅程情報提供の方法です。以前はホテルのロビーでホテル内情報や次の日の細かな旅程などを口頭で伝えることが多く、参加者は皆筆記用具が必要でした。

最近ではあらかじめ紙に書いてコピーを参加者に配ってくれる方法が定着しています。このほうが間違いがなくて良いと思いますが、添乗員さんの中には手書きのテンコ盛りのコピーを渡してくれる人もいます。重要な情報とどうでもよいような情報がごっちゃまぜで見ただけで読みたくないようなものもあります。

ホテル出発時の注意

観光バスで朝ホテルを出発するときには現地ガイドさん、添乗員さんが忘れ物がないように必ず車内で皆さんに注意をうながします。

中国ツアーに参加した時のことですが、朝の出発時にバスの車内で現地ガイドさんが参加者を軽く笑わせてくれました。

「皆さんお忘れ物がないように十分にお気を付けください。」

「パスポート、携帯電話、お財布、洋服、眼鏡」と言ってそのあとに「入れ歯、かつら」と続けました。

ここで車内がどっと盛り上がりました。

このネタは実は中国ツアーでは多くの現地ガイドさんがほぼ間違いなく使っています。多分中国人ガイドの間で日本人観光客に受けるネタということで広まっているのだと思います。実際中国以外ではまだ聞いたことがありません。

いずれにしても朝一番で笑いを取って一日の雰囲気を盛り上げるということでは十分に成功していると思います。

うれしいサービス

添乗員さん、現地ガイドさんの中には、当日観光するスポットの地図や詳しい情報のコピーを比較的たくさんバスの中などで配布して、説明してくれる人も多くなってきました。今から訪れる所の事前情報はとてもありがたいです。

また、かなりまれですが、バス休憩の時に付近のお店で現地の珍しい果物を買って、参加者に少しずつ分けてくれる人もいます。意外にもとてもおいしい果物に遭遇したうれしい経験もあります。最近では現地の銘菓をバスの中で配ってくれる人も増えてきました。

これは比較的多いですが、観光バスで長距離を移動中に現地に関係する歌や曲をバスで流してくれる人もいます。例えば、私自身は今までにフィンランドではシベリウスの曲、ウィーンではウィーン合唱団の歌、アメリカ西海岸ではカントリーミュージック、台湾では日本でも有名な台湾人歌手の歌などを経験しました。

添乗員さんはお客さんの昼寝の邪魔にならないように気を使いながら曲や歌を流してくださっていると思いますが、私はこのサービスがとても気に入っています。このような簡単なサービスでもツアーの満足度がかなり上がると思います。

耳に入ってくる美しい曲や歌は車窓を流れる風景と何故かとてもマッチしていて、その情景が楽しかった記憶として心に長く残っています。

これに反して、うれしくない過剰なサービスもまれに経験することがあります。バスの中での観光地の説明の延長で、その国や地域と全く関係ない他国の詳しいお話を長々と始める人もいます。いくらバス乗車中の時間が余っても訪れている観光地とは無関係の話は不要だと思います。それよりもとにかく現地に限った色々な面白い情報や裏話を聞きたいと思います。

国内団体ツアーでよく経験することですが、ベテランの現地ガイドさんの場合、あまりにも知識が豊富でかつおじゃべり上手で、観光バスが動いている間は途切れなくしゃべり続け、上で書いたようなどうでもよいような話が色々と飛び出してきます。

少しうとうととしたり、窓の外を流れる美しい風景をのんびりと眺めたりしたいときにはかなり耳障りに思えてきます。おしゃべりのメリハリを付けたほうが参加者の満足度は上がると思われます。

その逆に添乗員さんが観光情報を何も説明してくれないということもあります。これはよく国内団体ツアーで経験します。訪れる観光スポットについては、名前だけでなくせめて一言何が有名なのかくらいは説明してもらえればありがたいです。

カリスマ?添乗員

添乗員さんの中には参加者の間で大人気になる人もおられます。情報伝達、気遣い、コミュニケーション、トラブル対応などが格段に上手にできる人だと思います。

旅行会社のツアー紹介パンフレットでは担当する添乗員さんの名前や顔写真を載せて参加者を募るということも行われています。

私が以前中国ツアーに参加した時に担当した女性の添乗員さんもこのような優秀な方でした。

成田空港で皆が解散するときにその添乗員さんの周りに何人か人だかりができていて、その中の一人の女性がその添乗員さんに次の添乗予定のツアーについて聞いていました。

添乗員さんが「来月にインドに添乗で行きます」というと、その女性が「私もそれに是非参加したいのでよろしくお願いします」と次の旅行をその場で決断し予約していました。

後でその参加者に聞くと「あの添乗員さんはとても気に入ったので是非また一緒に旅行に行きたくなりました」ということでした。このような大人気の添乗員さんのツアーはすぐに満員になってしまうだろうと思われました。

私も以前旅行中に自分自身では対応が難しい軽いトラブルがあり添乗員さんと現地ガイドさんに大変お世話になった経験があります。その時は個人旅行ではなく団体ツアーでよかったと思いました。

現地ガイド

日本人向けの団体ツアーの場合には、現地ガイドさんは現地の人でかつ日本語がうまい人が担当してくれることが多いです。

現地ガイドさんは現地に実際に住んでいるので現地の事情を細かく知り尽くしています。私は観光を有意義なものにするという意味で添乗員さんよりもむしろ現地ガイドさんに大いに期待しています。

ツアーに参加した時には頻繁に現地ガイドさんに色々なこと(観光情報だけでなく、経済、産業、輸出入、教育、生活習慣など)を質問できるのでとてもありがたいと思っています。

中国ツアーでは現地中国人ガイドが付くツアーを必ず選ぶようにしています。中国語を勉強しているのでツアー中、ガイドさんに折に触れて中国語についての質問ができることをいつも楽しみにしています。中国人ガイドの人は親切な人が多く、時間がある時には簡単な中国語で会話のお相手をしてくれたりします。

残念ながら現地ガイドさんは常にすばらしい人ばかりではありません。以前中国ツアーに参加した時、中国人の中年のベテランの女性ガイドさんに当たりました。

ガイドがとても事務的で全く融通が利かず参加者は皆困っていました。例えば、観光スポットで何人かが写真撮影し始めてもまったくお構いなく次の場所へ移動して行きます。いつも何人かが取り残されて慌てて走って追いつくという光景が繰り返されました。

あるときにはゲートのある施設でひとりを取り残したまま入場し、その参加者がゲートに入れなくなってしまったこともありました。

またある観光地で一度解散した後に勝手に集合時間を変更し参加者を混乱させたこともありました。そのガイドさんの名所での説明も通り一遍で、笑顔もなく淡々と最小限の仕事をこなしているという感じでした。

このようなあまり愉快ではない観光ツアーはこれが最初で最後の経験だと思いますが、ガイドさんの質によってはこのようなことも起きてしまうものです。

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