海外旅行回想録(4) ー モロッコ

はじめに

この記事のシリーズでは、三十数年前に行った色々な海外旅行の記憶をたどって思い出深い観光地の体験などを書いていきたいと思います。当時撮影した写真は長年の間にネガであれプリントであれ一部紛失したり傷んだりしましたができるだけ雰囲気は伝わるように掲載していきたいと思っています。

この記事ではモロッコへの旅行の体験をご紹介したいと思います。

4.モロッコ

モロッコの最大の都市であるカサブランカはかなり前に大ヒットした米国映画「カサブランカ」の舞台として世界的に有名です。

映画「カサブランカ」は1946年公開のアメリカ映画で、第二次世界対戦中のフランス領モロッコのカサブランカを舞台にしたハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマン主演のラブロマンス映画です。

この映画は名作だと高く評価され日本でもこの映画の影響が強かったために、モロッコと言えばカサブランカの映画を連想するまでになっていました。

自分もモロッコというよりカサブランカには是非一度行って見たいと思うようになっていました。

今回はモロッコやスペインの各都市を巡る12名ほどの団体ツアーに参加しました。モロッコのカサブランカおよびモロッコ観光の目玉である古都フェズの観光を主に楽しみました。なお、イスラム教国およびアフリカ大陸を訪れるのは今回が初めての体験となりました。

カサブランカ

カサブランカは映画「カサブランカ」での印象が強く影響し、近代的な洗練された都市だというイメージが先行していました。

実際に現地に行って街並みを見るとやはりモロッコ最大の都市ということで中心部はお洒落な近代的な建物がたくさん見うけられました。宿泊したホテルも設備も整っていてヨーロッパの他の近代的なホテルとほぼ同等でした。

下に中心部の街の様子を写した写真を2枚掲げます。

市内観光では何といってもまずモスクだということで何か所かのモスクを観光しました。

どこのモスクもとても立派な造りで建物全体に美しい装飾もほどこされていました。イスラム教では女性が肌や顔を露出することはご法度になっているということで、特にモスク観光ではあらかじめガイドさんからツアーグループの女性の参加者に対して注意が行われていました。

モスクではイスラム教のお祈りの光景を初めて目にし、仏教、神道、キリスト教とも違う新鮮な感動を覚えました。

左下の写真はモスクの内部の天井付近を撮影したものです。このように壁や天井も隙間なくびっしりと彫刻のような見事な装飾がほどこされていました。

下の右2枚の写真は、観光とお買い物で立ち寄った食器屋さんと絨毯屋さんの店内の様子です。

      

カサブランカ市内の街角にあった果物屋さんの店頭風景です。

カサブランカの街角を少し散策する時間がありました。特に驚いたのは街角で見かけた水売りとタニシ売りでした。

水売り屋さんは、ある程度の量の水と真鍮製らしき空のコップをたくさん持った男の人で、街ゆく人に声をかけて水を勧めていました。お客さんが小銭を払うとその真鍮のコップに水を注いで渡していました。どうもそのコップは繰り返し再利用するようでした。

一方、タニシ売り屋さんは、鍋のようなものに山盛りにタニシを盛っていてそこからは白い湯気が立ち上っていました。どうもタニシは蒸されたもののようでした。

これらのような街角の水売りやタニシ売りの様子は日本では昔も今も見かけない大変独特な風俗であると軽い感動を覚えました。

お昼に街のレストランで昼食をとった際に、モロッコの国民的お茶である有名なミントティーをいただくことになりました。

ミントティーは中国茶葉と砂糖とミントの生葉を混ぜて作るそうですが、最後に大き目のガラスコップの中にミントの生葉(茎が付いたままのもの)がたくさん沈められた形で出されたので一瞬面くらいました。

味はまさに強烈なミント味でミントが苦手な人は少し厳しいだろうと思われますが、私たちは美味しくいただきました。モロッコの人はこれを一日に何杯も飲むそうです。

ところで街角をグループで歩いているときあるカフェの前で少し不思議な光景を見ました。カフェの店の前には小さめのテーブルいくつかとたくさんの椅子が配置されていて一見ヨーロッパによくあるカフェの店先の風景でした。

しかしその店頭でお茶を楽しんでいる十数名くらいのお客さんはその時は全員が男性で、なぜか皆椅子を道側に向けてずらーっと一列に並んだ状態で座っていました。

ツアーグループには小学校高学年の女の子が1人参加していてその街歩きの時には日本では女の子としてごく普通のスカートの服装をしていました。

そのカフェの前を通り過ぎる際にはカフェの男性のほとんどがその女の子の方を一斉に見ていたようです。どうもその服装が気になったようです。日本ではごく当たり前でもモロッコの人にとってはそれなりの驚きがあったようです。

飲み水についてはガイドさんから水や氷に気を付けるように再三注意がありましたがツアーグループの数名が水などの理由で腹痛を起こしてしまいました。

海外旅行では現在でもそうですが現地での飲料水には細心の注意が必要です。

フェズ

モロッコの北部にある古都フェズの観光の中心は幅1km奥行き2kmほどの城壁に囲まれたメディナと呼ばれる旧市街です。細い通路が入り組んだ巨大迷路で迷宮とも呼ばれている地域で一歩足を踏み入れるとガイドなしではすぐに迷子になってしまうそうです。

通路の両側には雑貨などの各種のお店、カフェ、レストランなどが立ち並び現地の人の往来と世界中からの観光客でごった返していました。

細い通路はもちろん自動車は入れませんが、自転車やなんとロバの荷車が頻繁に行きかっていました。

観光で通路を歩いていると後ろから急に荷物をいっぱいに積んだロバの荷車が迫って来るのでよける暇もなく荷車の一部に体が触れてしまうこともありました。

ロバの荷車は観光客にはあまりお構いなしにどんどんと進んでくるので散策中はかなり気を使いました。

実はここでもっとも気を使ったのは周りに纏わりついて購買を勧める子供たちの一団でした。この「迷宮」に入るや否や5~6人の子供たちが亀の甲のようなもので作られた日本の三味線のような小型の弦楽器をそれぞれ2~3個づつ手にもってツアーグループへ突進してきました。

その楽器をぜひ買ってくれというようなそぶりで入り口付近から常に纏わりついてきました。私たちが観光で移動していってもなかなかあきらめずに延々とついてきて購買を強く勧めるので、ツアーグループの一人がついに1個買ってしまいました。

すると突然すべての子供がその人を取り囲んでもう一つ買ってくれというように迫っていました。その人は子供たちに諦めてもらうのにかなり大変な思いをしたようです。

ツアーではゆっくりと色々な細い道を散策し、幾つかのお店で品物を見たりして異色の環境を十分に満喫しました。

ところでガイドさんによるとこの迷宮では生まれてから死ぬまで何と一歩も外へ出ることなく一生を終える人も少なからずいるとのことでした。とにかく驚きの場所でした。

ジブラルタル海峡

モロッコでの色々なもの珍しい観光を終えてツアーグループはジブラルタル海峡をフェリーで横断しスペインへ行く予定でした。

観光バスでモロッコのタンジールという港に着くと、今はジブラルタル海峡が荒れているのでフェリーは出航できないと知らされました。この海峡は海が荒れて船が頻繁に欠航するので特に有名だということでした。

今日は終日出港できない見通しだと言われた時、現地のモロッコ人ガイドさんがツアーグループ全員を自宅に泊めてあげると申し出てくれました。なんとも親切な人だと皆感心しました。

モロッコの港町タンジールの風景

タンジールはヨーロッパとの玄関口ということでモロッコの他の都市に比べて街並みが洗練され、モダンな雰囲気でした。

しばらく港で待機しているうちに運よく天候が急にかなり回復してきて、1~2時間遅れで何とかフェリーはスペインに向けて出港することができました。モロッコのタンジールからスペイン最南端のタリファまで1時間弱の船旅でした。

天候がある程度回復したとはいえそれなりの大型のフェリーでしたが恐れていた通り途中かなり揺れました。ひどいときにはつかまりものなしでは立っていられないほどでした。

ツアーグループの人も数名が軽い船酔いになりましたが、椅子の上に横になるほど酔ってしまったのは日本からの添乗員さんでした。

フェリーから見たジブラルタル海峡

とにかくモロッコでの観光は初めて見たり聞いたりすることや、軽いサプライズも多くとても印象深い良い体験になりました。

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