海外旅行回想録(11) ー スイス

はじめに

この記事のシリーズでは三十数年前に行った海外旅行を中心に特に思い出に残っている観光の回想録をご紹介しています。

この記事ではスイス旅行の体験をご紹介したいと思います。

11.スイス

三十年ほど前の夏休みにヨーロッパの数か国を巡る団体ツアーに参加しました。そのうちの1か国がスイスで、主にジュネーブとヨーロッパ・アルプスの観光を楽しみました。

スイスと言えば子供のころから色々な場面で話題になることが多く、日本でも老若男女を問わずとても良く知られた国だと思います。

まずは雪をいただいたアルプスの絶景、アニメの「アルプスの少女ハイジ」、スイスチーズにスイス発祥のミルクチョコレート、スキーの本場、ロレックスやオメガで有名なスイスの高級腕時計、スイスのアーミーナイフ、製薬会社のロシュ(2019年売上高世界一位)やノバルティス(2019年売上高世界三位)、金融業のプライベートバンク、そして永世中立国など話題には事欠きません。

しかも話題が幅広い分野に及んでいるのは国の知名度を高めるという意味でとても素晴らしいことだと思います。

観光という観点からは、昔からスイスアルプスの雄大な風景が日本でもテレビや雑誌などで頻繁に紹介され多くの日本人も海外旅行先として絶対に外せない場所になっています。

以前テレビで旅好きな日本人夫婦のインタビューを見たことがありました。

お二人はご主人の定年退職を機にできるだけ色々なたくさんの海外の国を訪れる予定にしていましたが、たまたま最初に行ったスイスがとても気に入ってその後何度も繰り返しスイスだけを訪れるようになってしまったということです。

さて私たちの団体ツアーは夜あたりが暗くなってから観光バスでスイスのジュネーブに入りました。

実はこの夜に宿泊する予定のホテルが何かの手違いで宿泊できなくなってしまい、急遽別のホテルに行くことになりました。

このようなケースでは多くの場合、担当旅行会社は参加のお客様へのお詫びを兼ねてよりグレードの高いホテルを手配してくれます。このときはレマン湖に面した一等地にあるフォーシーズンズホテル「デス・ベルゲス・ジュネーブ」を手配してくれました。

ホテルが変わるのはかなり稀で、よくあるのは同じホテルだけれど部屋が変わるというケースです。この場合も旅行会社は部屋のグレードを上げてくれます。デラックスルームをスイートルームにアップグレードするようなことです。このようなことも今までに2~3度経験しています。

   

左上は宿泊したホテル「デス・ベルゲス・ジュネーブ」の正面からの写真で堂々とした姿でレマン湖に面して建っています。1834年築の歴史的建造物のようでインテリアも非常に優雅な造りになっていました。右上はレマン湖の眺めです。なおここでは高さ140mを超える大噴水を見ることができます。

このホテルで最も印象的だったのは朝食です。

私たちのツアーグループは小規模な10名程度でしたが、よくある大部屋でのバイキングではなく、ほぼ全面ガラス張りで綺麗な庭が良く見える六角形のサンルームのような特別な1階の個室に通されました。

朝日が燦燦とあたる部屋には中心に大きな丸テーブルが1つあり、純白のテーブルクロスの上にちゃんと朝食の食器が準備されていました。また近くの壁際のテーブルには色々なパンや牛乳などの飲み物などと共に各種のフルーツジャムがプラスティックの小さな容器ではなく、それぞれちゃんと一人分用の可愛いガラスの小瓶にたくさん準備されていました。

海外のホテルで、このような「特別感」たっぷりで大満足の優雅な朝食をいただいたのはこれが初めてでした。その時の様子は三十数年以上たった今でもはっきりと覚えています。

ジュネーブ観光ではまず英国式庭園にあるジュネーブ屈指の有名な花時計を見に行きました。

この花時計は、世界的に高名なスイス時計製作者たちを記念して1955 年に製作されたそうです。直径約 5 m ありますが実際に時を刻んでいる時計です。季節によって花の種類を変えているとのことでした。

現在はかなりモダンにリニューアルされているようです。

   

左上はジュネーブ宗教改革記念碑の遠景で、右は中心部にある4人の像のアップです。

この記念碑はローマのキリスト教会に対抗した宗教改革の中心人物たちを記念して造られた長さ約100mの大きな壁像で、緑に囲まれたジュネーヴ大学の敷地内にあります。

中央に並ぶ4人の像は左からファレル、カルヴァン、ベーズ、ノックスです。ジュネーブを本拠地として活動したカルヴァン生誕400年にあたる1909年から1917年にかけて作製されたものだそうです。

上の写真はジュネーブにあるロッククライミング練習場だとのことです。かなり大規模な岸壁で人があまりにも小さいので、この写真ではほとんど判別不可能ですが、当日も2~3グループのクライマーたちが崖にロープを垂らしてクライミングの練習に汗を流していました。

市内観光などの後、昼食をとるためにレマン湖近くの人気レストラン「パルク デ ゾービーブ (Parc des Eaux-Vives)」へ行きました。

ここはレマン湖を見渡せる広い芝生が美しい人気レストランで、フレンチ料理の昼食を美味しくいただきました。食事の後、広いお庭を少し歩きましたがとても爽快でした。

   

左上はレストランの入口の看板と正門の様子です。右上は芝生を見渡せる場所にあるオープン席の様子です。

上の写真はすぐ近くに迫る山岳氷河を眺望するとても雄大な風景です。ジュネーブの街の麓からこのような素晴らしい景色が楽しめるのはまさにスイスならではと感動しました。

   

上の2枚の写真もジュネーブから見た山の風景です。スイスを訪れたのは真夏でしたが高い山は雪ですっぽりと覆われていました。

次の観光地はお待ちかねのモンブラン眺望の観光です。まず観光バスでフランスのシャモニーまで行きました。シャモニーの街を少し観光した後、そこからロープウエイに乗ってエギュイユ・デュ・ミディ展望台へと向かいました。

途中で一度ロープウエイを乗換えて標高3,777mのエギュイユ・デュ・ミディ山頂駅へ到着しました。当日はほぼ晴天に恵まれたので途中でも素晴らしい雪山の風景を堪能することができました。

エギュイユ・デュ・ミディ展望台から見える標高4,810mのモンブランは雪に覆われたなだらかな稜線の山です。フランスとイタリアの国境に位置するヨーロッパアルプスの最高峰です。写真の左側の方に登山者が歩いたと思われる痕跡の筋が良く見えています。

展望台のテラスに出ていると高い雪山に囲まれて別世界にいるような不思議な感動を覚えました。麓からわずか20分程度でロープウエイで簡単に登ってきたのがうそのようでした。

最初、みんな高山病が心配でしたが、私たちのツアーグループの人で気分が悪くなる人は誰もいませんでした。ガイドさんには展望台ではゆっくりと歩くように言われていました。

上の写真はモンブランの少し左側を撮影した風景です。

  

上の2枚の写真は展望台から別の方向の山々の景色を撮影したものです。マッターホルンも遠くに見えるはずですが見つけられませんでした。

展望台からの雄大な絶景を十分に楽しんだ後またロープウエイに乗って麓のシャモニーの街へ下って行きました。

   

上の写真はジュネーブ観光中に見つけた花の写真です。

花と言えばスイスの国花はオーストリア同様にエーデルワイスだそうです。「スイスアルプスの妖精」とも言われ白い毛で覆われた可憐な小さな高山植物です。

何かのガイドブックにこのエーデルワイスの押し花がちょっとしたスイスのお土産として喜ばれると書いてあったのでそれに倣って何点か購入しました。

ところで当時日本では実際の花というよりも昔日本でも大ヒットしたアメリカのミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌である「エーデルワイス」の方が広く知れ渡っていました。

スイス腕時計

ロレックスやオメガなどの高級腕時計で世界的に有名なスイス時計産業ですが、ある推計調査によると2017年4Q頃からスイス全体の腕時計出荷個数をアップル社のスマートウォッチが上回り始め2019年には年間で1.5倍ほども差がついてきていると見られているそうです。

特に若い人たちにスマートウォッチの人気が広まり、スイス腕時計のスウォッチなどの若者向けブランドに大きな影響が出ているとのことです。

しかしスイスの綺麗な空気と水と、昔からの熟練した職人の手の高度な技によって生み出される高級腕時計ブランドは、便利な実用品というよりもステータスシンボルとして世界で愛用され続けているのでスマートウォッチがこれらをも駆逐してしまうということは当面考えにくいと思います。

アーミーナイフ

スイスのアーミーナイフは子供のころからその人気を良く知っていました。ナイフ、ハサミ、刺抜き、やすり、缶切りなど色々なものが一つにコンパクトにまとめられている姿はとても魅力的でした。

中学や高校時代に山へキャンプへ行くときには必ず携帯し愛用していました。標準サイズのもの以外にさらに小型軽量の携帯用サイズもあり、旅行へ行くときには重宝しています。

今回のスイス観光の時にも色々な場所でスイスのアーミーナイフが売られていました。思った以上に色々な種類があるのを見て驚きました。

自宅にも標準タイプのものを常備していて、宅急便の段ボール箱を解体したりする時などにほぼ毎日のように便利に使っています。

プライベートバンク

TVドラマや映画では昔からよくスイスのプライベートバンクの話がでてきます。裕福な登場人物がスイスのプライベートバンクに隠し口座をもっているというような設定です。

確かに少し前までは「プライベートバンクは各国の税務当局に対して口座の情報を開示しない」ということで世界中のお金持ちから絶大なる人気を誇っていました。

しかし近年世界の税務当局の圧力・要請が強まってきてスイスのプライベートバンクでもほとんど当局の要請に応じた口座情報の開示を行うようになってきたということです。

ところで十数年ほど前から日本でも税務当局が海外の金融機関に対して情報開示の協力を要請してきていると思われます。理由は日本人が有する海外資産に対する課税を確実にするためだということのようです。このようなことは以前からたびたびニュースで報道されてきました。

永世中立国

スイスが永世中立国だということはすでに小学校の頃に学んだように記憶しています。その頃は、永世中立国であれば戦争に巻き込まれることはないので国には軍事力が不要ではないかと思っていました。

しかしスイスには実際には数千名の職業軍人や20数万名の予備役が配備されているそうです。予備役の人の各家庭には自動小銃などの武器が常備されていて、またジェット戦闘機が高速道路のトンネルの中に格納されていて、いざというときにはその高速道路を滑走路として発着するとのことです。

スイスはどの勢力にも加わらないが自国を侵略する勢力には徹底抗戦するということのようです。

かなり前にNHKのドキュメンタリー番組か何かでスイスのトンネルに隠されたジェット戦闘機を引きだしてきて飛び立つような映像が流れていたのを見た時にはとても驚いた記憶があります。

スイスは昔からフランス、ドイツ、イタリアなど強国に囲まれた場所にあるので、まず永世中立国となり、合わせて自国を守るための相応の軍事力を整えておくというのはとても賢い選択のように思えます。

またスイスの中立性が理由で、世界貿易機関、世界保険機構、世界難民機関など多くの国際組織がジュネーブなどに拠点を構えていて、色々な世界的な貢献を行い国の繁栄につながっていると思います。

最後に

スイスは初めて観光で訪れた時はやはりそのスイスアルプスの雄大さ、美しさに大きな感動を覚えました。スイスの山岳風景は昔から写真やテレビではたびたび見ていましたが、現地ではやはり迫力が全く違うことに驚きました。自然が好きな人であればスイス旅行のリピーターになってしまう人も多いという話もうなづけます。

スイスは観光だけでなく時計産業、製薬業、金融業、国際機関の拠点など幅広い分野でも世界的に際立っておりかなり奥の深い国であると思えます。

また今回の観光旅行ではもちろん名物のチーズフォンデュも大変おいしくいただきました。チーズ、牛乳、ヨーグルトなど美味しい乳製品も豊富で健康的なグルメを楽しめる国だと思います。

スイスも是非再度ゆっくりと訪れてみたい国の一つです。

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