脱炭素社会へ向けて

脱炭素社会

最近「脱炭素」についての報道や解説がTVや新聞などのメディアを賑わせています。
「脱炭素」以外にも、「グリーンエネルギー」、「再生可能エネルギー」、「ゼロエミッション」、「CO2ゼロ」、「カーボンニュートラル」、「カーボンネガティブ」などの類似のキーワードが飛び交っています。

近年、社会・経済活動により排出される二酸化炭素が原因で、地球温暖化が地球環境に大きな影響を与え、世界的に気候変動、異常気象が続く深刻な状況になりつつあり世界がようやくその抜本的な対策へ向けて具体的に動き出したようです。

その対策の基盤となる国際協定が2015年に採択されたパリ協定です。これは2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際的枠組みです。

パリ協定は、産業革命前に比べて気温上昇を2度未満に抑える(可能な限り1.5度未満に抑える)ことを目的として、「21世紀後半に世界全体で温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という目標を世界全体で共有する協定です。2018年開催のCOP24会議ではパリ協定の実施ルールが採択されました。

脱炭素社会を実現するための最も有望なエネルギーは、風力、太陽光、水力、地熱、海洋、バイオマスなどに代表される環境にやさしい再生可能エネルギーとされています。

再生可能エネルギーによって発電された電力を使えば二酸化炭素の排出を実質ゼロにすることができます。たとえば自家用車は蓄電池に蓄えられた電力で駆動する電気自動車が広く普及するのではないかと思われます。

最近世界の国々が2030~2050年までの脱炭素化の具体的な目標を発表してきています。再生可能エネルギーの発電比率の目標やガソリン自動車やハイブリッド車など排気ガスを出す自動車の販売を禁止したりする時期などです。

産業界、経済・金融界では人々が近い将来の脱炭素化を活動の基本要件だと認識をし始めて、銀行も火力発電所の新規建設のための融資を渋るようになったり、世界の有名企業が自社で消費する電気をすべて再生可能エネルギー由来の電気に切り替えたり、さらにはアップル社のようにサプライチェーンの部品供給企業にも同じことを要求するようになってきました。

たとえばマイクロソフト社はカーボンゼロを達成するだけでなくその先のカーボンネガティブ(CO2を排出しないだけでなくさらに CO2を減らす)を目指しているそうです。さらに株式市場でも機関投資家、個人投資家を問わず二酸化炭素を排出する企業には投資資金が回りにくくなっているようです。

世界的に特に若年層を中心に脱炭素への関心が高まってきているようです。

私たち個人でも小さなことですが色々な貢献ができます。たとえば、再生可能エネルギー由来の電気を供給する電力会社と契約したり、新聞は紙をやめてデジタルにしたり、スーパーのレジ袋を使わないようしたり、またペットボトルの飲料を極力買わないようにするなどです。

近年各国はこのグリーンエネルギー革命をあらたな主要成長産業に位置付けて本格的に巨額の投資をし始めています。コロナ禍で落ち込んだ経済を立て直すためのグリーンリカバリーと位置付けている国もあります。特に2020年からの10年間がどの国が主導権を握るかのとても大切な時期だと言われています。

現時点で再生可能エネルギー由来の発電量が最も多い国は中国で、特に太陽光と風力による発電を積極的に推進しているようです。

ちなみに2018年の世界の太陽光発電の導入量は国別ランキングで、中国、アメリカ、日本、ドイツ、インドの順となっています。特に中国はこの10年程度で急激に導入量を増やしてきています。

2018年の世界の太陽光パネルの生産量は中国、マレーシア、台湾、ベトナム、韓国という順位になっています。日本は2000年頃は世界一の生産量を誇っていた時期もありましたが、現在はわずかに1%程度だそうです。

水素燃料の活用

脱炭素社会を実現するためのエネルギーインフラとして水素も注目されています。水素は燃料として使われると水しか排出しない理想的なクリーン燃料です。

また再生可能エネルギーで発電した電気を使って水を電気分解し水素を作り、エネルギーロスを最小限に抑えて長期保管蓄積、輸送をすることができます。電気が必要な場合は逆に水素を燃料電池で酸素と反応させて直ちに電気を起こすことができます。

電気自動車(EV)と共に水素を使った燃料電池車(FCV)も将来の有望な乗り物として注目されています。燃料電池車は水素を燃料として燃料電池で電気を起こして電気自動車として走ります。

トヨタが1990年に世界初の燃料電池車MIRAIを実用化しました。また2020年にフルモデルチェンジした新型MIRAIも発売開始しました。

蓄電池を使った電気自動車はたくさんの電気を蓄えることが難しいため一度に走れる距離が短く、また電気ステーションでの充電は急速充電でも最低20~30分ほどかかってしまいます。一方燃料電池車の場合には水素が燃料なので航続距離を長くとることができる上に水素ステーションでの水素充填も数分で済んでしまいます。

寒冷地では蓄電池の性能が少し落ちてしまうと言われています。燃料電池車ではそのような心配も不要でしょう。また蓄電池は特に急速充電を繰り返していると寿命が短くなり頻繁に取り換える必要があるとのことです。

そのためトラックやバスなど長距離を走る商用車は燃料電池車が普及すると思われます。世界では燃料電池トラック、燃料電池バスもすでに実用化が始まっていますし、米国では倉庫や工場などで使う燃料電池フォークリフトもすでに数万台が稼働しています。

ノルウェーでは2021年に水素フェリーボート、ドイツでは2024年に水素列車、欧州エアバス社は2035年に水素タービンを使った航空機の実用化を計画しているそうです。

また現在人を乗せるドローンの飛行時間が20~30分程度しか取れないことが課題になっていますが水素ドローンを作ればその数倍の飛行時間を実現できることが期待されています。

また水素を燃料として大規模に発電する場合には、燃料電池を使うのではなく、従来のLNGなどを使っている火力発電所を改良し、水素タービンによる水素発電所を作ることが近道だと思われます。

たとえば中東やアフリカの砂漠地帯にギガワット級の巨大な太陽光発電所を建造し、発電した電気をその場で水素(グリーン水素)に変え、液化水素にしたり有機ハイドライド等にしたりしてタンカーで日本まで運べば水素発電所の水素燃料が十分にまかなえると思われます。

砂漠などに東京の山手線内くらいの面積に太陽光パネルを敷き詰めると原子力発電所2~3基分の電力をつくることができると言われています。いままで使い道がなく不毛だった砂漠を「金の砂漠」に変えることができます。

ちなみに中国は現在水素生産量が世界一であり、バス、トラック、商用車、乗用車など水素燃料車の開発・導入を政府の補助の元着々と推進しているようです。

ただし現在はほとんど化石燃料から水素を作っている(グレー水素)のでその過程でまだ二酸化炭素が排出されているようです。二酸化炭素は近い将来大気に放出することなくCO2固定技術により回収することになると予想されます。

なお日本の福島県浪江町では、経済産業省及びNEDOの技術実証事業で、太陽光発電を利用した世界最大級の再生可能エネルギー由来の水素製造施設が2020年3月より稼働を始めました。製造された水素は貯蔵・利用技術(Power-to-Gas)の実証、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、さらに福島県内での幅広い用途で活用されるとのことです。

再生可能エネルギー

日本の再生可能エネルギーの発電比率は資源エネルギー庁によると2018年時点で全体の16.9%で、他の先進諸国に比べてかなり低いレベルに留まっています。内訳は、水力が7.7%、太陽光が6.0%、バイオマスが2.3%、風力が0.7%、地熱が0.2%となっています。

日本のエネルギー自給率は2018年時点でわずか11.8%しかなくこれも他の先進諸国に比べて極めて低い数字になっています。現在発電比率が極めて高い火力発電の燃料として石油、石炭、LNGをほとんど海外から輸入していることが主な理由です。

自国の再生可能エネルギーの拡充は炭素社会の実現のためだけでなく日本のエネルギー自給率を上げる(エネルギーセキュリティ)という意味でもとても重要だと考えられます。

水力発電

日本は山が多くまた雨量も多いので水力発電には恵まれていると言われてきました。大規模水力発電所はすでに新たな建設場所が確保できないので、既存の大規模発電所の貯水量を増やす改良工事をしたり、中小規模、極小規模水力発電所を多数新設していけば発電量はかなり増やせると考えられます。

小規模発電所があれば、まず地元に電気を常時供給し(電気の地産地消)、余った電気は電力会社に販売することができます。

また地元に蓄電装置を設置してある程度の電気を蓄えておけば、思いがけない災害時にも電気を使えることになります。地元に大型の蓄電装置を備えたりまた各家庭に個別の蓄電装置を備えたりと色々な工夫ができると思います。

蓄電装置としては蓄電池を使ったり、また電気分解で電気を一旦水素に換えて水素の状態で蓄積したりできます。水素に変えておけば長期間蓄えても蓄電池と異なり保管時ロスはほとんどありません。

ところで日本のように雨や雪が多く豊富な水を利用できるノルウェーでは驚くことに水力発電だけで国内電力の約95%をまかなっているとのことです。似たような環境に恵まれた日本もまだまだ発電量を伸ばせると期待できます。

太陽光発電

日本国内では、2012年には太陽光発電の発電コストは40円/kWh程度と非常に高い水準でした。しかし2020年度にはコストは12円/kWh程度にまで大幅に低下しました。海外では現在日照に恵まれた地域に建設中の太陽光発電設備では何と1~2円/kWh程度という低コストも実現できています。

2030年までには日本を含む世界の多くの国々で平均で5~6円/kWhまで発電コストが低下すると見込まれていて、太陽光発電は、原子力発電の10円/kWh 程度や、石炭火力発電の12~13円/kWh程度よりも圧倒的に低コストとなり、最も安い電源になると期待されています。

この10年程度でここまで発電コストが下がったのは太陽光発電装置自体のコストダウンや発電効率アップのための各種ハードウェアおよびソフトウェア技術の進展によるものです。

日本は平地が少なく効率が良い巨大な太陽光発電所を建設する場所があまりなく、また日照時間が総じて短いところが多いので太陽光発電には少し不利な状況です。

ちなみに日本国内の県別発電量ランキングでは1位から山梨、長野、徳島、静岡、群馬などと
なっています。これらは主に日射時間、降水量、気温による差が原因です。南の地域では気温が高くなるので発電効率にロスがでてくるそうです。

近年は池や湖の上に太陽光パネルを設置したり、また最近増加してきている耕作放棄地を利用したり、将来的には海洋上や道路に埋め込む太陽光発電パネルも期待できると思います。

耕作放棄地を利用する場合には、パネルの下の陰になる土地を活用して他の野菜やキノコなど日照をあまり必要としない作物を育てるという活用も考えられます。また海洋上の太陽光発電はすでにモルディブで実用化が始まっています。

平地が狭い日本では道路の活用は重要で、もしも日本のすべての道路に太陽光パネルを設置できれば日本の総電力をまかなえるほどだとも言われています。発電舗装はフランスでの実証実験が有名ですし、また日本でも小規模ながらすでに各種実証が行われています。

道路で発電した電気はまず街路灯や交通表示板で使ったり、将来は上を走行中の電気自動車を充電したり、また近隣の住宅や店舗などにも送ることができると期待されています。

日本での住宅用太陽光発電は2018年時点で全体の家庭のわずか4.1%にしか普及していないようです。日本では太陽光パネルや設置費用が海外のものに比べてかなり高いなどという特殊な理由があるからだと言われています。

各家庭に太陽光発電装置および蓄電装置を備えておけば、災害時に遠くからの送電線や変電所などが被害を受けて長時間停電になるというようなリスクをかなり軽減することができます。また電気自動車を所有していればそのバッテリーも災害時に活用することができるでしょう。

ところで日本で大規模に太陽光発電による電気を手に入れる近道は、世界で日照量が豊富な地域(アフリカ、中東、モンゴル、オーストラリアなどの砂漠地帯など)に現地企業などと共同でギガソーラー発電所を建設し、現場で水素に変えて、液化水素や有機ハイドライド等として巨大タンカーで日本まで運び、日本の水素発電所で電気を起こすという方法でしょう。

ちなみに2021年1月には日本の川崎重工が世界初の水素燃料で動く液化水素運搬大型タンカーの建造の計画を発表しています。

世界の有望な砂漠地帯などではすでにいくつかのギガソーラー発電所が建設・運営されていて、将来へ向けてさらに増えていく見込みです。

アラブ首長国連邦ではすでに砂漠地域に1基のギガソーラー発電所が稼働中で、現在2基目の発電所を建設中です。

中国では、内モンゴル自治区にある砂漠に山手線内の面積に相当するギガソーラー発電所を建設中です。稼働すれば原子力発電所2~3基分の電力が生み出せる計画だそうです。

オーストラリアでは、北部の砂漠地帯に世界最大級のギガソーラー発電所を建設し、発電した太陽光発電電力を直流の海底ケーブルでシンガポールまで直接引き込んで、シンガポールの電力消費全体の25%をまかなうという巨大プロジェクトが進行中です。

オーストラリアは広大な国土が環境的に太陽光発電や風力発電に適しており、グリーンエネルギーの膨大なポテンシアルを秘めているといわれており、今後の世界の脱炭素化に大きく貢献できるのではないでしょうか。

風力発電

風力発電は太陽光発電と共に再生可能エネルギー由来の発電の中心になる有望な手段だと考えられています。

山の多い日本では太陽光発電所ほどではなくてもある程度の面積が必要な風力発電所の建設用地は限られています。また風が常時よく吹く場所は山の頂が多いということもあり効率が良い巨大な風車を複数台設置するにはとても不利な条件になっています。

海に囲まれた日本では洋上風力発電が最も有望で、遠浅の海岸が少ないので着床式よりも風車を海に浮かべる浮体式が主軸になると思われます。洋上では海上輸送で巨大な部品を運搬できるし、広い面積が確保できるので発電効率の高い複数台の巨大な風車群の建設ができます。

現在イギリス、ドイツ、デンマークなど過去より風力発電に力を入れてきた欧州が世界の全設備容量の75%を占めるなど他の地域を圧倒しています。また最近になって中国でもたくさんの風力発電所が建設され始めているそうです。

日本での風力発電ですが2020年12月にとても残念なニュースが飛び込んできました。
政府が東京電力福島第1原発事故からの復興の象徴と位置付け約600億円を投じた浮体式洋上風力発電設備がすべて撤去されるということです。

この発電施設は日本の関連企業により2012年から福島沖合約20キロに巨大風車3基を順次設置し実証研究を続けてきましたが、機器の不具合などにより設備稼働率が商用化目標の30~35%に達せず、長期的に採算が合わないと判断され撤去が決まりました。

今まさに日本として本格的に風力発電を強力に推進していかなければならないという時期だっただけに驚きのニュースでした。

地熱発電

火山が多い日本は、活用可能な地熱エネルギーのポテンシアルがアメリカ、インドネシアに次いで多く世界第3位の「地熱大国」だそうです。この3か国は他の国を圧倒しています。そのため地熱発電も特にオイルショック以降とても期待されていましたがなかなか思うように開発が進んでいないのが実情です。

実際、地熱発電量は現在多い順にアメリカ、インドネシア、フィリピン、トルコ、ニュージーランドなどとなっており日本は第10位に留まっています。

昔から地熱発電で有名なアイスランドは国内の電力は地熱で約30%、水力で約70%で、再生可能エネルギー由来の電力でほぼ100%を実現できているそうです。

日本で地熱発電が伸びない主な理由は、掘削調査に大きな費用がかかる、多くの候補地が国立・国定公園内にあるので手続きが面倒である、海外に比べて山岳地帯に発電所を作るので費用がかさむ、周辺の温泉業者との合意が必要である、開発業者の権利の保護が弱いなど新たな開発業者が積極的に進出してくるような状況ではないということのようです。

また以前は「地球環境を守ろう」というような意識が低く、手を付けやすい火力発電所や原子力発電所の建設が優先されてきたために地熱発電は後回しにされてきた感が否めません。

このように豊富な地熱資源をまだうまく活用できていない日本ですが、地熱発電所の心臓部と言われる地熱発電用タービンは驚くことに日本製が世界のシェア約70%を占めて世界をリードしているそうです。

常時発電が可能で長期間安定した純国産の再生可能エネルギー由来の電力が得られるという大きなメリットがあるので、国として今後より積極的な主導・支援が望まれます。

海洋発電

海洋発電には、潮の満ち引きを利用する潮力発電、波のエネルギーを利用する波力発電、海流の流れを利用する海流発電、海洋の温度差を利用する海洋温度差発電などがあります。

これらの海洋発電ではまだ実用的な大型発電所を多数建設するには至っておらず、各国は色々な実証を行っている段階のようです。

海洋発電はもちろん再生可能エネルギー由来の電気を常時半永久的に起こすことができるので大規模発電手法を確立できればとても魅力的なものになると期待できます。また海に囲まれた日本では特に有利な発電手段になると思います。

現在波力発電で実用化されて活躍しているものの例としては海上に浮かべて設置される航路標識(ブイ)があります。波の力で発電してライトの光をともしたりしているとのことです。

日本は親潮、黒潮、リマン海流、対馬海流という大きな海流がすぐ近くにありますし、鳴門海峡などの力強い潮流もあります。海の底付近に複数の巨大な水車を設置してうまく海流をとらえれば大規模発電も十分に行えると思います。

現在イギリスのスコットランドでは、開発資金を助成するなど国をあげて潮流発電、波力発電を推進しており世界をリードしています。すでに大規模な実証実験施設を設置していて、海洋発電は太陽光発電、風力発電に続く有望な手段として位置付けられています。

終わりに

日本では脱炭素社会へ向けて2050年を目標としているようですが、特に2030年までのこの10年が世界に取り残されないためにとても重要だと思われます。ヨーロッパ、アメリカ、中国などはすでに国を挙げての本格的な取り組みを始めています。

ちなみに2020年1月〜10月のメーカー別電気自動車販売台数ランキングでは、テスラ(アメリカ)、フォルクスワーゲン(ドイツ)、BYD(中国)、BMW(ドイツ)、メルセデス・ベンツ(ドイツ)の順となっていて日本の日産が14位、トヨタが16位という結果でした。

世界では、日本で感じているよりも予想以上に早いスピードでエネルギー改革が起こり始めているようです。

日本では、上で述べた水力発電、太陽光発電、風力発電、地熱発電、海洋発電すべてが大きなポテンシアルを秘めていると思われます。

このような再生可能エネルギー由来の発電や水素燃料の活用を広げていくには、政府による規制緩和、再生可能エネルギー由来の発電推進のための新たな枠組みやルール作り、リーダーシップや支援・補助などが必須で官民一体となっての推進が重要だと思われます。

<参考>

近年の世界的な脱炭素化の流れは多くの資金をこの分野に呼び込んでいます。各国政府の援助金、金融機関の貸付資金、機関投資家および個人投資家の資金などが主なものです。

投資マネーは脱炭素をテーマとする投資信託やETFなどのファンド、脱炭素に貢献する企業の株式に集まってきているようです。2019年初め頃からこれが顕著になり始め、2020年夏頃にさらに増加し、特にアメリカのグリーンリカバリーを提唱するバイデン大統領候補が当選確実なった2020年11月頃からはさらに急激な変化を見せてきています。

この分野をテーマとしたよく目にする米国ETFとしては次のようなものがあります。

・iShares Global Clean Energy ETF (ICNL)
・First Trust NASDAQ Clean Edge Green Energy Index Fund(QCLN)
・Invesco Global Clean Energy ETF(PBD)
・Invesco WilderHill Clean Energy ETF(PBW)
・Global X CleanTech ETF(CTEC)
・ALPS Clean Energy ETF (ACES)
・SPDR Kensho Clean Power ETF(CNRG)
・Invesco Solar ETF(TAN)
・First Trust Global Wind Energy ETF(FAN)
・Global X Lithium & Battery Tech ETF (LIT)

これらのうちTANはソーラーETF、FANは風力エネルギーETF、LITは電気自動車などで使うリチウム関連ETF、その他はクリーンエネルギー関連の様々な銘柄を有するETFです。取扱額が大きく最も有名なのはICLNでしょう。上記にはまだ日本の証券会社が取り扱っていないETFもあります。

個別銘柄で目立っているのは、電気自動車ではTesla, Inc. (TSLA)、NIO Limited (NIO)、XPeng Inc. (XPEV)などがあります。

太陽光ではEnphase Energy, Inc. (ENPH)、SolarEdge Technologies, Inc. (SEDG)、JinkoSolar Holding Co., Ltd. (JKS)、SunPower Corporation (SPWR)、First Solar, Inc. (FSLR)、Sunrun Inc. (RUN)、Daqo New Energy Corp. (DQ)などがあります。

リチウムでは、Livent Corporation (LTHM)やAlbemarle Corporation (ALB)などがあります。

また水素関連では、Plug Power Inc. (PLUG)、FuelCell Energy, Inc. (FCEL)、Nikola Corporation (NKLA)などがあります。

その他、電力会社や再生可能エネルギー事業者を有する持株会社のNextEra Energy, Inc. (NEE)なども目立っています。

上で挙げたようなグリーンエネルギー関連のETFや会社の株を購入し応援することでだれでも気軽に脱炭素化社会実現への貢献をすることができます。なお株式投資はもちろん自己責任になります。

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