海外旅行回想録(23) ー ニュージーランド(前編)

はじめに

この記事のシリーズでは三十数年前に行った海外旅行を中心に特に思い出に残っている観光の回想録をご紹介しています。

この記事ではニュージーランドへの旅行(前編)として全体の旅程、クライストチャーチ、テカポ、マウントクックでの旅の体験をご紹介します。

23. ニュージーランド(前編)

約30年前の夏休みに初めてニュージーランドを訪れる機会を得ました。是非一度は行って見たい憧れの国でした。

当初夏休みの海外旅行の計画を考え始めた頃は夏の期間がベストシーズンになるヨーロッパを検討していましたが、ヨーロッパの西側諸国20数か国はそれまでにすでに訪れていたので目的地を決めかねていました。

興味本位で日本とは季節が逆になるニュージーランドへの旅行ツアーのパンフレットを眺めていたら、冬のニュージーランドでそれなりにツアーが出ているのに気が付きました。

当時は運が良いことにニュージーランドが数十年ぶりの暖冬であることが分かり観光で十分に楽しめることが確認できたので、日本の大手の旅行会社に夫婦2名でさっそく申し込みました。

シーズンオフということでそのツアーにはやはり申し込む人が少なく、結局申し込んだのは私たち2名だけとなりました。その会社に問い合わせると2名でもツアーを催行してもらえるということでとてもラッキーでした。

私たち2名だけ参加の団体ツアーということは、実際には個人旅行と同等で、しかも交通機関やホテル、アクティビティ、食事、ガイドなどほとんどすべてのことを旅行会社が手配してくれるので特に優雅な「個人旅行」になりました。

このツアーは日本からの添乗員さんはいなくて、ニュージーランドの各地域ごとに現地ツアーガイドさん達が入れ替わりでお世話してくれるというスタイルでした。朝ホテルのロビーでその観光地のガイドさんと待ち合わせて終日観光を楽しみ、夜にホテルに戻ってからそのガイドさんとお別れするというような段取りでした。

他の参加者がいないので旅行会社に特別な要望を出すことができました。「現地のガイドさんはできるだけニュージーランド人にしてください」というような要望です。英語での説明・会話で構わないので現地のことを良く知っているガイドさんに案内してもらいたかったからです。

結局お世話になった5~6人の現地ガイドさんのうち日本人は1人だけでした。他のガイドさんたちは皆ニュージーランドなまりの英語をしゃべっていました。

さて今回のニュージーランド旅行は約2週間の日程で北島と南島の見所を回りました。訪問先と順序は下のGoogle地図のようになっています。

青の線は航空機での移動でオレンジ色の線は車での移動です。

まず日本からのフライトで北島のオークランドへ行きました。そのまま国内線に乗り換えて南島のクライストチャーチまで移動しました。クライストチャーチ観光の後、テカポ経由でマウントクックへ行きました。その後クイーンズタウンへ行き観光後にミルフォードサウンドへ移動しました。

ミルフォードサウンドのクルーズを楽しんだ後は、セスナの小型機でミルフォードサウンド遊覧飛行の後そのままテアナウまで飛びました。テアナウ観光後、国内線で北島のロトルアに戻り、最後にオークランドまで車で移動して日本へ帰国しました。

ツアー参加者2名の場合の観光用自動車

今回のように参加者が少ないと団体ツアーでも一般の観光バスを使うわけにはいかないようです。現地ガイドさんに聞いたところでは、20名以上では大型観光バス、10~20名だとマイクロバス、3~10名だとリムジンまたはバンタイプの車、そして2名だと4ドアセダンの自動車を使うとのことでした。

私たちの場合には結果としてほとんどセダンの車に乗せてもらいました。ベンツなどの高級車を使うこともあり乗り心地はとても良かったです。前席には運転手さんとガイドさんが乗り、私たちは後部座席という配置になりました。

観光地の駐車場に着くと運転手さんとガイドさんが先に車を降りて、私たちの後部座席のドアをそれぞれ外から開けてくれました。

常に4名で観光地を巡ることになり、昼食時にはいつも4名で1つのテーブルを囲んで色々とおしゃべりを楽しむことができました。このように車が違うだけでとても家族的な落ち着いた雰囲気で観光や移動ができました。

クライストチャーチ

クライストチャーチはニュージーランド第二の都市、南島最大の都市で、イギリスの影響が色濃く残った緑の多い「ガーデンシティ」です。

まずは市内観光ということでゴシック建築の建物、ハグレー公園やエイボン川などを観光しました。

クライストチャーチのシンボルといえば左の写真のクライストチャーチ大聖堂です。荘厳な美しい姿が印象的でした。

残念ながら2011年2月に起きたカンタベリー地震によって大聖堂の約70%が崩壊してしまいました。2017年から10年間を目処に現在修復作業が行われているとのことです。

市内観光の後は、近くの牧場に行って羊の毛刈を見学しました。

上の写真は牧場で羊の群れを見ているところです。

牧場の一角にある部屋で毛刈りの様子を実演してくれました。一頭の羊の毛を刈るのはあっという間の早業でした。あまりにも早いのでバリカンで羊がケガをするのではないかと心配したほどでした。

市内観光の次の日は、ニュージーランド南島東海岸のクライストチャーチ駅から西海岸のグレーマス駅までを結ぶトランツアルパイン鉄道に乗車しました。

この列車はクライストチャーチがあるカンタベリー大平原や南アルプス連峰を横断し、ニュージーランドの雄大な景色を堪能できる「絶景列車」と呼ばれています。

当時はニュージーランドは冬でしたので頂上付近に真っ白な雪をがぶった綺麗な雪山が楽しめました。ニュージーランドは空気が澄んでいるので遠くの山々もくっきりと眺望することができます。

   

左上の写真は途中で休憩をとった駅の様子です。右の写真は郊外の住宅の風景ですが、お洒落で豪華な感じの住宅が見られました。

次の日はクライストチャーチから車でテカポまで移動しました。

テカポ

テカポではテカポ湖畔にある有名な善き羊飼いの教会を見学しました。テカポで最も人気のある観光スポットです。

上の写真の左真ん中付近に教会が見えています。右側がコバルトブルーが美しいテカポ湖です。冬の季節なので周辺の草はみな枯れています。

ここで当時撮影した写真と2018年に再度ニュージーランドを訪れた時の写真の比較をしてみたいと思います。下の左側は当時、右側は2018年に再訪した時に撮影した写真です。

   

善き羊飼いの教会を写した当時の写真    2018年に再訪して撮影した写真

どちらも大体同じ位置から撮影しています。ほぼ真ん中に小さいですが教会が写っています。変わったのは、教会の前に駐車場が作られたことと、左の写真では3本あった大きな木のうち教会に一番近い木だけが生き残ってさらに巨木に育っているということです。

現在は教会前の駐車場建設や道路整備などでこの20~30年の間にすっかり観光地化されてしまっています。

上の写真は善き羊飼いの教会の内部の祭壇の様子です。十字架の背景にテカポ湖、山々、そして空の絶景が見えています。美しい大自然の静寂の中でゆっくりとお祈りを捧げるのも良い経験になりました。

今回の旅行ではテカポには宿泊しませんでしたが、2018年に再びテカポを訪れた時には1泊してテカポの街歩きや世界的に大人気の夜の星座観察ツアーなどを楽しみました。日程が許せばテカポに1泊しテカポ湖周辺など素晴らしい景色をゆっくりと楽しむことをお勧めします。

テカポ観光の後はまた車を走らせて次の宿泊地であるマウントクック国立公園へ向かいました。

マウントクック国立公園

マウントクック国立公園の入り口となるのはマウントクック村です。テカポから車で1時間ほどで到着しました。

マウントクック国立公園は、世界遺産に登録されたニュージーランドを代表する景勝地です。ニュージーランド最高峰で標高3,724mのマウントクックをはじめ3000m級の山々を23も有し、多くの登山家に愛されています。また、気軽なハイキングコースも多くアクセスも良いので高山地帯で各種アクティビティを楽しむ観光客で賑わっています。

マウントクック村にはバックパッカー用ロッジやキャンプ場から高級ホテルまで幅広い宿泊施設が用意されています。その中でも海外からの観光客に最も有名なのがザ・ハーミテージ・ホテルです。

マウントクック村に行く途中、国道80号線(通称マウントクックロード)に沿ってプカキ湖というミルキーブルーに輝くとても美しい湖があります。氷河によって砕かれた土砂の細かな粒子が水の中で光を反射してこのような魅力的なミルキーブルーの色彩を放つということです。

上の写真は車窓から見たプカキ湖の風景です。車はこの細長い湖に沿ってかなりの時間進みますのでゆっくりとこのような絶景を楽しむことができました。

私たちの宿泊先はハーミテージ・ホテルです(上の写真)。山の斜面を背景に建てられたロッジ風の比較的規模の大きなホテルです。現在はこの写真の建物の奥にさらに階数が多い宿泊棟などが追加で建設されていて当時に比べてかなり部屋数が増えているようです。

上の写真はホテルの部屋の窓から見た絶景です。このような大自然の中なので外は自動車の音など全く聞こえず静寂そのものでした。

上の写真はマウントクックの勇壮な風景です。マウントクックはニュージーランド最高峰の山で現地語 では「アオラキ」と呼ばれ「雲を突き抜ける山」という意味だそうです。

上の写真のように左側にある山脈から常に雲が流れてきてとてもダイナミックな山岳風景を見せてくれます。

   

上の2枚の写真はホテルの周辺の風景です。周辺にはこのホテル以外には建物などの人工物が全くありませんでした。

ホテルに到着後さっそく4WDのジープで巡るタスマン氷河見学ツアーに参加しました。

上の写真は私たちが乗ったジープです。真ん中の大きな岩の前に何人かの参加者が写っています。ガイドさんに勧められて何人かはこの大岩の上に這い上がっていました。

この写真でも分かるように旅行当時はとても運よく数十年ぶりの暖冬ということで、例年は雪で覆われている場所も全く雪は見当たりませんでした。

上の写真はジープで氷河に向かう途中で撮った絶景です。当時はお天気も最高でこのような手つかずの大自然の場所をウォーキングするととても爽快な気分になりました。

   

左上の写真は氷河に向かって歩いて行く参加者の一行です。周りは氷河が山から運んできた無数の石や土砂が積みあがっていました。

上の写真はタスマン氷河です。広大な氷河の上に土砂が覆いかぶさっていて、ところどころに白い氷河が顔をのぞかせています。今回の氷河見学ツアーはここが終点でした。

なお2018年に再度マウントクックを訪れた時には、タスマン氷河の終端まで行って所々に氷河の断片が浮いているタスマン氷河湖の絶景クルーズを楽しみました。

   

左上の写真はあの有名なマウントクック・リリーです。例年は春に咲く花ですが、旅行当時は暖冬だということで咲いていた花を発見することができました。

マウントクック・リリーと言えばヨーロッパ・アルプスでよく見かけるエーデルワイスを思い出しますがマウントクック・リリーの方が白くてより可憐な感じがします。

右上の写真はマウントクック飛行場です。ここは小さな飛行場で、マウントクック遊覧飛行のセスナなどの小型機だけが離着陸できる場所です。

私たちもここからのマウントクック遊覧飛行に申し込んでいましたが、お天気はとても良かったのに風が強いということで、結局2日間待ちましたが残念ながら飛べませんでした。

この記事は「海外旅行回想録(24) ー ニュージーランド(後編)」に続きます。

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