シルクロードの旅(4)

はじめに

10月中旬に9日間で中国のシルクロード(西安、敦煌、トルファン、ウルムチ)を観光旅行しました。この記事では旅程7日目のトルファンの交河故城、トルファンからウルムチへの移動、ウルムチの国際大バザール、旅程8日目の天池、新疆ウイグル自治区博物館などの観光、旅程9日目の日本への帰国の様子をご紹介します。

旅程7日目

朝トルファンのホテルを出て交河故城へ向かいました。

交河故城

交河故城は世界最大、最古の土で築かれた都市遺跡で、トルファン市の西方13Kmに位置する川に挟まれた島の台地にあります。遺跡の全長は約1650m、幅は最大で約300mで柳葉の形をしています。

建築物はすべて天然の土を掘って作られたもので、寺院や議会の跡地、塔群、民家など様々な建築物が集まった古代遺跡で保存状態は比較的良好です。

交河故城は、もともとは紀元前2世紀-5世紀に車師国人によって建設され、南北朝・唐代に最盛期を迎え、9世紀-14世紀に戦火によって衰えたそうです。

下の写真は入り口の様子です。城の城壁のような壁に土色の巨大な看板がありました。

左下は交河故城の観光地図です。両側に小さいですが川が流れていて、この台地は約30mの高さの断崖に囲まれた自然の要塞でした。

下の写真は遺跡の散策路の入り口の様子です。

散策の様子を動画で2本撮りましたので下に掲載します。

左下はお役所跡のようです。右下はこのお役所の一角ですが、金庫があった場所だと言われています。手前に二重の扉の溝が残っていました。

 

中心付近の展望台から周囲を見渡して撮影した動画です。

左下は東門の様子です。右下は東門の真正面にある土の壁に造られた見張り台だそうです。

左下は寺院跡の様子で、右下は上部のズーム写真です。窪みには仏像が安置されていたそうです。

柳葉の形をした敷地には畑の跡が見受けられませんでしたので、食料は周辺の畑で作っていたものと思われます。またここではすでに車輪が使われていたそうです。

遺跡の風景はなかなか趣があります。遺跡を巡る遊歩道は夜には油ランプを燃やしてライトアップされるようです。

出入り口の近くにある売店の壁にはカラフルな民族帽子が綺麗に飾られていました。

この後レストランで郷土料理のお昼ご飯をいただきました。入り口付近には大昔の車輪と思われるものが置かれていました(右下)。

 

左下はレストランの中ですが舞台にはPCの超大型スクリーンが置かれていて、観光案内の動画を見せてくれました。いつものようにたっぷりの量の郷土料理でした。

昼食の後、3時間ほどバスに乗ってトルファンからウルムチへ移動しました。

移動中の車窓から見た風景を動画で撮影しました。荒涼たる平原と山々の風景が続きました。

ウルムチに到着して街並みの風景を撮影しました。

ウルムチ

ウルムチは新疆ウイグル自治区の省都で、人口約405万人の中国北西部の重要な中心都市です。ここは「世界で最も海から遠い都市」としてギネスにも登録されています。 漢民族のほかにもウイグル族、回族、カザフ族、モンゴル族など49の少数民族が暮らしています。

ここは古代からシルクロード上の交易要所として栄え、多くの商人たちが訪れて異文化が交流・融合し多様な文化が育まれてきた場所です。

国際大バザール

2003年に竣工したウルムチ国際大バザールは、ウルムチの多民族文化を象徴するランドマークです。このバザールは単なる商業施設にとどまらず、多民族の伝統や文化の交流を促す場所だそうです。

散策中に撮影した動画を2本ご紹介します。

市場の中で撮影した動画です。やはり果物や肉類の干物が多く見られました。

下の写真はここで有名なナンの専門店です。

このナンのお店でナンを焼いている様子を撮影した動画です。

国際大バザールの中で撮影した動画をもう1本ご紹介します。

下の写真はアバンディという人形で、ウルムチの街のあちらこちらで見かけました。「アバンティ」は個人名ではなく「先生」を意味し知識豊富な人に対する敬称です。 モデルになった人の本名は「ナスレディン」で13世紀にトルコにいました。 彼は機知に富み、勤勉で勇敢で、正義感があり、王などの支配階級や腐敗したものを軽蔑しました。

何百年もの間アバンティのジョークや物語は人々の間で広まり、映画やアニメになり現在もあらゆる民族の人々に愛されているそうです。この人形と一緒に記念撮影する人がたくさんいました。

この日の夕食はレストランで新疆料理をいただきました。この時の夕食は今までのようなターンテーブルの中華料理ではなく、自分で野菜、肉、魚介類などの具材を取ってきて、自分専用の鍋で煮て食べるというスタイルでした。自分の好きなものを好きなだけ食べられるのでとても良かったと思います。このレストランの名前は「火宴山」でしたがこれは「火焔山」との語呂合わせでしょうか。

夕食後ウルムチのホテル「海徳酒店」へ行きました。

旅程8日目

旅程8日目はこのツアーの最終観光日でした。

朝ホテルを早めに出て、ウルムチの有名な観光地である天池へ向かいました。

天池

天池は天山天池国家公園の湖でウルムチ中心部から約82Kmの距離にあります。スイスアルプスのような高山地域にあり、周りが雪山に囲まれて風光明媚な観光地です。

この湖は長さ4.4km、幅3.37kmで、湖面は半月の形をしていて最深部は373mです。湖水は透き通っており、湖面が静かなときはボグダ峰が綺麗に写り込みます。

ここは山々に囲まれ、山は杉や松などの緑の木々に覆われ、夏の避暑地の聖地として人気の場所です。

天池に行くには麓からシャトルバスに乗り換えて約1時間かかりました。

その時の車窓からの風景を撮影しましたので掲載します。大変自然豊かな場所でした。

このシャトルバスは混載になっていて、私の横の席には中国国内ツアー中の中国人のご婦人が乗ってきました。いきなり中国語で話しかけてきたので日本人だと伝えましたら、最近娘さんと一緒に日本に観光旅行に行ってきたということでスマホの膨大な写真をじっくりと見せてくれました。東京、京都、奈良の写真で特に和食に興味があり、お皿やお椀一つひとつの拡大写真も丁寧に撮っていました。和食も立派な日本の観光資源の一つだと改めて思いました。

結局バスに乗っているほとんどの時間をそのご婦人との会話で過ごしました。グループツアーでは現地の人とはめったに話す機会はないので貴重な時間でした。なお最初だけ少し中国語、そのあとは英語での会話でした。

左下はシャトルバスを降りて最後は徒歩で山を少し登っている様子です。右側の道路脇には雪が薄っすらと積もっていました。

砂漠のシルクロードのイメージが強い場所でこのような雄大な山岳の風景が見られるとは思っていませんでした。

当日はお天気に恵まれてとても爽やかで気持ちのよい散策観光ができました。

展望台で周囲の景色を撮影しました。

ところで現地ガイドさんは「ここ天池はスイスアルプスのようです!」といつも観光客に説明しているそうですが、まだスイスに行ったことはなくてアルプスのことはほとんど知らないということでした。そこでたまたま私のスマホに保管していた8月のスイス旅行時のマッターホルンの写真を見せたら、すぐに自分のスマホでその写真を撮りしげしげと眺めていました。

帰りにまたシャトルバスで麓の基地まで降りてきた時ののどかな風景です。

この日の昼食はレストランで郷土料理をいただきました。お魚料理もでてきました。

午後はウルムチ南西部にある新疆ウイグル自治区博物館の見学に行きました。

新疆ウイグル自治区博物館

この博物館では多彩な常設展示が行われていて新疆の歴史、民族、文化、シルクロードの物語をじっくりと体感できる内容になっています。

主な常設展示の一つは「新疆歴史文物展」のコーナーで、先史時代から現代までの数千年にわたる考古学的発掘品、たとえば、青銅器、陶器、交易で使われた貨幣、衣服、武器など新疆各地で見つかった貴重な芸術品・工芸品や生活用品などをじっくりと見学できるようになっています。

左下は博物館の立派なロビーです。

 

下は古いお寺から出土した絵で皆に仏教の説法を聞かせているような場面が描かれています。

左端は翼をもった天使像の絵で、右下は衣服に関する出土品です。

 

建築物や生活用品などの展示もありました。

 

この博物館はとても広く膨大な数の展示物があるので何時間もかけてじっくりと見学する必要があると思いました。

この後軽くブッフェの夕食をいただいた後、夜にウルムチ空港を発つ上海航空の飛行機で上海まで移動しました。

これで今回のシルクロードのツアーの観光はすべて終了しました。

飛行機は深夜に上海へ到着し、そのまま仮眠をとるために空港の傍のホテル「上海大衆空港賓館」へチェックインしました。

旅程9日目

このホテルで3時間弱の仮眠をとった後、翌日早朝に上海の空港から中国東方航空の飛行機で成田まで帰って来ました。

おわりに

今回のツアーでは、中国のシルクロード上の重要な都市である西安、敦煌、トルファン、ウルムチを観光しました。シルクロードはそもそも砂漠のイメージが強いですが、西安はさておき敦煌、トルファン、ウルムチも予想以上に近代的な大きな都市でした。

観光は初日だけ雨・曇り模様でしたが、あとは概ね好天に恵まれて悠久のシルクロードの雰囲気を十分に味わうことができました。

毎日のように色々な種類の遺跡・出土品などを見て回る旅でしたが、鳴沙山の夕日に照らされた雄大な砂丘、赤く燃えるような火焔山、スイスアルプスのような雄大な絶景の天池など自然の風景も満喫することができました。

今回の参加者の中には個性豊かで愉快な方が少なからずおられて、食事中や移動中などにお話が弾みとても楽しく過ごすことができました。

なお、すでに述べたように中国国内の有名観光地は中国人旅行者でオーバーツーリズム状態ですので、中国旅行をされる予定の方はかなりの混雑は覚悟しておいた方がよさそうです。

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