はじめに
1月の中旬に4泊5日でカンボジアの世界遺産を巡る旅へ行ってきました。
今回の主な観光スポットはアンコール・ワット、タ・プロム寺院、アンコール・トム、バンテアイ・スレイ、ベンメリア遺跡そしてサンボープレイクック遺跡です。ほとんどが世界遺産です。
カンボジアはTVニュースや新聞、雑誌などでかなり前からその光と影が良く知られていました。
上にあげたような素晴らしい歴史的な石の建築物の世界遺産をたくさん有している一方で、紛争や貧困、蚊によるデング熱やマラリアなど国民の生活面での影が長く続いていたと思います。
アンコール・ワットはテレビで特集として過去から何度も詳しく放送されてきて多くの人がその魅力に気づいていたと思います。私もそのうちの一人です。
しかしどうしても影の部分の印象が強かったためにいままで実際に現地を訪れて観光するというところまでは気持ちが至りませんでした。
最近ある記事で「日本人観光客が行ってみて最も良かった場所」のランキングでカンボジアのアンコール・ワットが1位になっていました。
多くの日本人はテレビでアンコール・ワットの紹介は何回も見たと思いますがそれでも現地へ行って自分の目で見ると「行って見てとても良かった」となるということだと思います。
このことがきかっけで最近私も再度アンコール・ワットに関心が湧いてきて今回の観光旅行を思い立ちました。
今回は4泊5日の団体ツアーに参加しました。現地の正確な情報がなかなか把握できにくいと判断して個人旅行は避けました。ツアーの参加人数は多からず少なからずでしたが団体行動に支障が出るほどではありませんでした。
なお、蚊対策としては半袖シャツはやめてすべて長袖とし、また念のために日本から蚊よけスプレィを持参しました。
今回の旅程
まず成田空港からカンボジアのプノンペンまでANAの飛行機で行きました。そこで国内線の飛行機に乗り継いでシェムリアップまで行きました。
シェムリアップではエンプレス・レジデンス・リゾート&スパというホテルに3連泊し近郊の世界遺産を観光バスで巡りました。
観光最終日は昼間の観光を終えてそこから観光バスでプノンペンまで戻りました。プノンペンで夕食をとった後プノンペン空港へ行って夜遅くに出発するANAで成田空港まで帰ってきました。
なお成田~プノンペン間のフライト時間は約6~7時間ですのでビジネスクラスを選択しました。
下のGoogle地図上で青色の線は飛行機での移動、オレンジ色の線は観光バスでの移動を表しています。
1日目~成田からシェムリアップへ移動
朝早く成田空港に集合でした。朝食をANAのラウンジで済ませて飛行機に乗り込みました。
ANAのカンボジア路線の機材はボーイング787であったためにビジネスクラスは残念ながらスタッガードシートではなくて左下の写真のように窓際の席は簡単には通路へ出られず、またシートもフラットまでは倒すことができない古いタイプでした。
行きは昼間でしたので特に横になることもなくほとんど映画を見て過ごしました。2週間ほど前にシンガポールから日本へ戻るときに途中までしか見られなかった映画の続きを最後まで見ることができました。
この映画は「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」という題のアメリカ映画です。日本では今年の2月7日から全国で上映開始されます。ダウン症の青年が主人公のロードムービーでとても心温まる素敵な作品です。
右上の写真のような昼食をいただき約7時間でプノンペン空港へ到着しました。
プノンペン空港からさらに飛行機を乗り継いでシェムリアップまで行きました。
乗り継いだ飛行機はなんと最近では珍しいプロペラ機でした。ATR社製のターボプロップ機だと思います。思ったほど振動はなく乗りごごちは悪くはなかったです。
シェムリアップ空港のロビーには左上のようなアンコール・ワットの模型が飾られていました。右上は夜に到着したホテル エンプレス・レジデンス・リゾート&スパのフロントの様子です。
その日はホテルにチェックイン後すぐに就寝となりました。
2日目~アンコール・ワットやタ・プロム寺院などの観光
翌朝明るくなってからこのホテルの写真を何枚か撮影しました。
ホテルの正面アプローチにはかなり立派な仏像が安置されていました。人々の信仰の深さが伺えます。
ホテルの中庭にはプールもあります。
このホテルは造りはとても立派で部屋も広く内装も豪華な感じで、フロントの係りの人の対応も良かったのですが、残念ながらホテルとしての「快適さ」は機能面・環境面で必ずしも満足とはいえないレベルでした。
観光を始める前にまずは最初に観光バスでアンコール遺跡群への入場パスを取得しに行きました。
左上の建物でひとり一人顔写真を撮られてそれがコピーされた入場パスを受け取りました。このパスはこれから3日間使用することになります。
右上はアンコール・ワットに入場するときに入場パスをチェックされた検問所です。小さな建物ですが屋根の作りが凝っています。係員が私たちの観光バスに乗り込んできて一人ひとりパスをチェックしていきました。
アンコール・ワット
12世紀前半にスールヤヴァルマン2世によって建設が始まった東西1.5Km、南北1.3Kmの堀で囲まれたカンボジアで最大規模を誇る石造りの遺跡です。
ここはヒンドゥー教における宇宙観を再現した場所だということです。
観光バスで到着したところ(左上)とアンコール・ワットへの道の様子(右上)
道路と周りの土地の境目が分からないほど赤土のほこりが一杯でした。こんなにも赤土があるとは予想外でした。私たちは左上の緑色の観光バスを今回の観光の全工程で使用しました。
少し歩くと遠くにアンコール・ワットの塔が見えてきました(左上)。また右上の写真は工事中の橋の入口にある蛇の飾りです。これはナーガと呼ばれ蛇の神、竜王、水の精で生命力と不死のシンボルだそうです。この飾りはアンコール遺跡のあちらこちらで見られます。
堀を渡る本来の橋は工事中でしたのでその横に左上のような仮の橋が設置されていました。フロートが敷き詰められていてフワフワして少し歩きにくい感じでした。
堀にはあちらこちらにパッションピンク色の蓮の花が咲いていました。ピンクの色がとても映えて綺麗です。
橋を渡るとヤシの実のジュースが販売されていました。ガイドさんがヤシの実について説明をしてくれました。
上の写真にある入口から西側の門をくぐって中に入るとかなりの広さの広場がありました。地面の草は今は真冬ということで茶色に枯れたようになっていました。もっとも真冬でもここは気温が最高30度を超えています。
ちょうど結婚カップルの写真撮影が行われていました(左上)。右上の写真は遠くに塔(地上65mの中央祠堂)が見える風景です。
塔に近づいて歩いて行くとその前に小さな池(聖地)がありたくさんの蓮の花が咲いていました。この風景はガイドブックなどでよく見かける典型的なショットです。この景色を見てようやくアンコール・ワットに来たという実感が湧きました。
お手洗いがある休憩所の傍ではココナッツジュースが売られていました。
ガイドさんに先導されていよいよ第1回廊へと入っていきます。長い廊下が続いています。
第1回廊は特にそのレリーフの素晴らしさで有名です。
西面のラーマ王子率いる猿の軍団と悪魔の戦い、古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」に登場する決戦シーン、南側のアンコール・ワット建設者スールヤヴァルマン2世と軍隊の行進、東側のヒンヴゥー教における天地創造の物語「乳海撹拌」などのレリーフを鑑賞していきました。
右上の写真のようにレリーフの所々に穴が開いた箇所が見うけられましたが、これらは元々はルビーなどの宝石が埋め込まれていたと言われています。
回廊の所々には右上の写真のように妖麗で緻密なデヴァター像(女神像)が彫られていました。また左上の写真のようにレリーフの表面が黒光りしているのは多くの観光客が手で触っていくからだということです。
第2回廊を出た広場から最も中心にある第3回廊と中央祠堂を見たことろです。
写真のように第3回廊は少し高くなっていて見学するにはかなり急な階段を上り下りする必要があります。
この第3回廊への観光は団体ツアーによっては省略されることが多いですが、私たちが参加したツアーではちゃんと見学することになっていました。
この第3回廊へ上る際観光客のかなり長い待ち行列ができていて20~30分程度待たされました。
登りきるとそこには小さな中庭がありました。
第3回廊の途中で見つけたデヴァター像(女神像)です。妖麗な女性的な曲線が見事です。右上の写真は第3回廊の窓から西門入り口方面を眺めた風景です。
上の写真は第3回廊の見学を終えてまた急な階段を降りるところです。この階段は降りるときは少し怖いので皆さん両手で手すりをしっかり掴んで気を付けて降りてきています。
中にはある女性で恐怖のためにギャーギャーと叫びながら降りてきた人もいて、その女性が下の広場まで下りきると下にいた観光客が拍手喝采をしていました。
回廊の見学を終えて帰るときに振り返って見た風景です。
そしてまた赤土にすっかり覆われた道路まで戻ってきました。約3時間のしっかりとした観光で、石造りの巨大遺跡、美しくて繊細なレリーフなど芸術的な景観に満足しました。
口コミでは気温も湿度も高いので身体の消耗がはげしく疲れやすいので観光中は水分補給など十分に注意するように書かれていましたが、今回は真冬(気温は30度を超えますが)に訪れたのでそれほどでもありませんでした。
またやはり世界的な観光地ということだけあって観光の要所要所では人垣ができていて見学が大変でしたがなんとか無事に見終えることができました。
アンコール・ワット観光後はホテルの近くのレストランで飲茶の昼食をいただきました(左上)。また休憩で戻ったホテルの廊下の様子です(右上)。
昼食後はホテルまで歩いて戻りホテルで2時間程度の休憩です。ホテルに戻って自分の靴を見ると赤土の細かい土埃で靴の色がすっかり変わってしまっていました。
ホテルではシャワーを浴びて着替えたり、昼寝をしたりして皆さんくつろいでいたようです。私個人的にはこの2時間の休憩が中途半端なのでむしろ別の観光をしっかりと入れて欲しいと思いました。
午後は次の観光地であるタ・プロム寺院へ向かいました。
タ・プロム寺院
タ・プロム寺院に観光バスで向かう途中道路を気ままに横断する牛の親子を見かけました(左上)。また道路沿いのちょっとした市場の様子ですがかなりごちゃごちゃした感じです(右上)。売り物にかなり土埃がかかるだろうなと他人事ながら少し心配になりました。
タ・プロム寺院の入口付近ですが、女性の子供や大人が観光客に布製品を売ろうと待ち構えていました。ここも道路はやはり一面赤土で覆われています。
ちなみに各地の観光地では入り口や出口付近に子供の売り子がとても目立っていました。多分彼らは学校には通っていないものと思われます。
片言の日本語で話しかけてきますし、いらないと身振りで示すと「買わないとかわいそうだよ」というような趣旨の日本語が飛び出すこともあり驚きました。
さて入口の門を入るとさらにかなり向こうまで長い道が続いていました。
左上の写真のように遺跡の崩れた石が並べられています。修復を待っているようです。また右上の写真は道路わきで見かけた野良犬です。
今回のカンボジア旅行ではでとにかくあちらこちらでたくさんの野良犬を見かけました。狂犬病の予防接種など受けているとは考えにくいですが、とても大人しくまた動作も遅く、吠えることも全くありませんでした。
とても元気がないように見えましたので近寄っても危険は全く感じませんでした。
遺跡の屋根から生えているように見えるカジュマルの木が遠くに見えてきました(左上)。
カジュマルの木が絡みつく神秘の遺跡です。人と大きさを比べるとなかなか迫力があります。
カジュマルの木が絡みつく神秘の遺跡はあちらこちらにたくさんありました。皆さん入れ代わり立ち代わり記念撮影をするので人が入らない風景を撮影するのはほぼ無理でした。
ここで見学した遺跡と木のコラボは確かに珍しくて貴重だと思いますが、時間がたてば遺跡の隙間のさらに奥深くまでカジュマルの木の根が入り込んで、そのうちに遺跡をすべて破壊してしまうのではないかと心配になりました。
右上の写真は片隅に目立たずひっそりと佇むレリーフです。お祈りをしている信者(庶民)を表しているのでしょうか。
見学を終えて出口の門へ向かう観光客の一群です。遺跡や木々に柔らかい夕日が当たる風景はとてもすてきだと思いました。
出口付近の塀(左上)と出口の塔(右上)
タ・プロム寺院での遺跡とカジュマルの木の奇跡のコラボを見学した後、オールドマーケットの散策に行きました。
オールドマーケット
オールドマーケットに行く途中で観光バスの窓から撮影した街の様子です。やはり他の東南アジア同様にオートバイが目立っていました。
マーケットの中はたくさんのお店と細い通路が特徴的でした。雑貨、洋服、バッグ、装飾品、魚・肉、果物などなんでも安い価格で売られていたようです。
ここで少しの間フリータイムになり色々なお店で(ウインドウ)ショッピングを楽しみました。
オールドマーケットの傍の道路の様子です。左上の幹線道路は通勤の帰宅ラッシュでしょうかとても混み合っていました。
オールドマーケットの傍を流れている川ですが、橋や沿道のお店が綺麗にライトアップされていました。
ライトアップされた橋の出入り口付近には数名の物乞いの人がしゃがみ込んでいました。
中でも未熟児のような小さな赤子を抱えたとても小柄な20歳前後と思われる若い母親もしゃがみ込んでいて膝の前に鍋のような容器を置いていました。
こちらでも思いがけずカンボジアの影の部分を垣間見た気がしました。
オールドマーケットでしばしのフリータイムを楽しんだ後はレストランでタイスキの夕食をいただきました。
野菜、お肉、お魚などとても多くの種類の食材が入っていて、ちゃんこ鍋のような感じでした。
味はとても良くておいしくいただきました。
これで本日の観光は終了しホテルへと帰っていきました。明日は早朝にアンコール・ワット朝日鑑賞がありますので早めに就寝としました。
この旅行記は「カンボジアの世界遺産を巡る旅(2)」へ続きます。