はじめに
2月上旬に14日間のパタゴニアの絶景を巡るツアーに参加しました。この記事では旅程4日目のティエラ・デル・フエゴ国立公園の観光、蒸気機関車「世界の果て号」乗車、ウシュアイア市内観光などの様子をご紹介します。
旅程4日目
朝ウシュアイアのホテルを出発してバスでティエラ・デル・フエゴ国立公園へ向かいました。
蒸気機関車「世界の果て号」乗車観光
まず最初に小型の蒸気機関車「世界の果て号」に乗車するために「世界の果て駅」へ行きました。「世界の果て駅」へ行く途中の車窓の風景を2本の動画に収めましたのでご紹介します。
最初の動画には道路沿いの家々が映っていますが、一軒一軒の家が形や色の作りが色々と個性的でとても可愛らしく見えています。
次の動画では郊外の美しい風景が広がっています。
「世界の果て駅」の駅舎の入り口には「世界の果て列車」とその正式名称である「南フエゴ鉄道」と書いた看板が掲げられていました(下の写真)。
世界の果て号は、1909年に開業しウシュアイアの街の刑務所と森を結び、刑務所の人員や木材運搬などを担ってきました。1949年のフエゴ島大地震の被害で一旦廃線となりましたが、1994年に観光鉄道「世界の果て号」として再建され、「世界の果て」駅と国立公園駅を結ぶ8kmの路線として運行されています。全3駅で、途中にマカレナの滝駅があります。
蒸気機関車またはディーゼル機関車で牽引される世界一南に位置する鉄道で、ティエラ・デル・フエゴ国立公園内を通り、車窓からは南部パタゴニアの大自然を楽しむことができます。なお軌間は500mmと狭く、また最高速度は50Km/hのようです。
実はパタゴニアを訪れる約1か月前にメルボルンに家族で観光旅行に行っていましたが、その時に乗った蒸気機関車パッフィンビリーよりもこちらの列車の方が少しサイズが小さいと感じました。
さてまず切符を購入して駅舎の乗車順番待ちの列に加わりました(下の写真)。
改札を抜けてホームに出ようとする場所で、囚人や刑務官との記念撮影の機会が設けられていました(左下の写真)。もちろんこの写真はあとで有料にて販売となります。右下はホームに列車が止まっている様子です。
列車に乗り込むとかなり狭い室内で、昔囚人や木材を移送するのに使ったということで広さはあまり気にしていなかったものと思われます。
左下は途中の窓からの風景です。このようなのどかな風景が続きます。右下は途中の駅で停車して見に行ったマカレナの滝の様子です。小さな滝ですが、下段と上段の2か所の展望台から眺めることができます。
マカレナの滝駅で停車中に先頭の機関車部分を撮影しました(右下)。サイズも小ぶりでとてもレトロで可愛い機関車です。
滝の見物を終えてまた列車が走りだしました。下の写真のように切り株がたくさん散見される荒野を延々と進んでいきました。これらの切り株は昔この列車で移送されてきた囚人たちが苦労して木を切り倒した名残です。雪が積もっていた時期に切り倒した木の切り株は雪の深さ分だけ少し高く残っているとのことです。
なお、この地域での囚人の脱走は外の環境があまりにも寒くて過酷なために凍死の覚悟が必要だったようです。
Ensenada Zaratiegui湾
終点の国立公園駅で列車を降りた後、バスでEnsenada Zaratiegui湾へと向かいました。下の写真はEnsenada Zaratiegui湾の看板です。
湾の左側と右側の眺望です(下の2枚の写真)。向こう側にはチリの山々が見えています。
下の写真は世界最南端の郵便局です。手前に黄色のポストが見えます。現在は残念ながら閉鎖されていました。以前はここから手紙を出すのが大人気だったようです。
常に海側から強い風が吹きつけているので、下の写真のように大きな木ですがみな左側に傾いたままの姿で成長しています。
ロカ湖畔の散策
その後ロカ湖まで行って湖に沿って遊歩道を散策しました。
とても静かな風光明媚な場所でした。散策にはとても気持ちの良い場所です。
下の写真はパタゴニアではあまりにも有名で皆に愛されているメギ科のカラファテの実です。「その実を食べれば、パタゴニアを再訪する」と言われています。パタゴニアの基点となる町「カラファテ」はこの木の実から名づけられました。
初夏の1月頃にカラファテは実を付け、少しずつ大きくなっていき、3月には熟します。
枝には鋭い棘が付いているので収穫時には気を付ける必要があります。この実はブルーベリーのような存在でジャムやアイスなどいろいろに加工されていて、特にカラファテのジャムは多くのお土産物屋さんで売られています。
下の写真はツツジ科のチャウラの実です。この実もカラファテと同様にパタゴニアでは有名で甘酸っぱくてビタミンが豊富だそうです。
この散策中に見つけたカラファテやチャウラの実は皆でほんの少しだけ枝から取って口に入れそれらの新鮮な味を確かめました。
下はティエラ・デル・フエゴ国立公園で見かけた野鳥です。
人も少なく美しい景色を見ながらの散策はとても爽快でリラックスできました。
ロカ湖遊歩道の散策の様子をたっぷりと4本の動画に収めました。
最初の動画ではカラファテの観察場面があります。
次の動画ではチャウラの観察場面があります。
次の動画では黄色い花、チャウラ、白い花デイジーの観察場面があります。
近くの観光施設で休憩したあと「世界の果て」という場所へ行きました(下の写真)。ここはアルゼンチンを南北に走る国道3号線の終点で、また同時にアメリカ最北のアラスカから南北アメリカ大陸を縦断している主要道路の終点です。看板の最後の2行に「ブエノスアイレスまで3,079Km、アラスカまで17,848Km」と記述があります。
「これ以上先に道はない」と言われると「世界の果て」という感慨がこみ上げてくるようでした。
ティエラ・デル・フエゴ国立公園の観光を終えてバスでまたウシュアイアの街へ戻ってきました。その途中に車窓から見た景色の動画を下に掲載します。
最初の動画にはパタゴニアらしくない、他でよく見かけるような風景が広がっていました。
次の動画にはウシュアイアで有名な難破船セント・クリストファー号が映っています。
このセント・クリストファー号は現在「世界の果ての沿岸にある歴史的宝物」として皆に愛されているとのことです。1943年に米国ニュージャージー州で木造船体と蒸気機関を持つ救難タグボートとして建造されました。その後イギリス海軍に貸し出されて第二次世界大戦中に活躍し、戦後民間業者に渡りましたが、1957年にウシュアイアの沿岸で座礁してそのまま放置されてきました。その結果ウシュアイアの街の象徴的な存在となったそうです。
この日の昼食は、レストランで名物のカニ料理(セントージャ料理)をいただきました(下の写真)。
左下がカニの身をほぐした輪切りレモン付き前菜で、右下がやはりカニの身をほぐした煮込み料理です。カニの身をほぐしたものはどちらも素材が同じような味と食感でしたので、さらに美味しくするためにもう少し料理に変化を持たせる余地があると思いました。
ウシュアイア市内観光
ウシュアイアの街に戻ってきました。下の写真は立地がとても良い高台ですが、宿舎のような建物がいくつも立っていました。これらはアルゼンチン海軍の下士官たちの住居のようです。
海岸にはウシュアイアの港を背景にした大きな立て看板「Ushuaia」が設置されていて、観光客の人気の記念撮影のスポットになっていました。
ウシュアイアの街の向こうにはチリの荒々しい山々がくっきりと見えていました。
世界の果て博物館にも立ち寄りました。左下がその入り口にあった看板です。右下は水鳥のはく製です。
右下は世界最大の鳥の一種であるコンドルです。このパタゴニア旅行中には大空高く悠々と舞う姿を何度も目撃しました。ただし距離が離れすぎていてちゃんとした写真は撮れませんでした。
時間があったのでウシュアイアの海岸に沿って整備されたきれいな遊歩道を散策しました。下はアルゼンチン海軍の基地のようでした。
左下は海岸にたくさん群生している海藻です。大変水が綺麗なので生育が良いようです。右下は海岸で日向ぼっこをしていたカモメのような海鳥たちです。
夕食はホテルのレストランでいただきました。下は前菜、メインのステーキ、そしてデザートのプリンです。プリン(特にキャラメルプリン)はパタゴニアでは定番のスイーツのようで今回の旅行中にデザートとしてよく出てきました。
これで旅程4日目の観光はすべて終了しました。
この旅行記は「パタゴニアの絶景を巡る旅(3)」へ続きます。