パタゴニアの絶景を巡る旅(1)

はじめに

パタゴニアとは、南米大陸の南緯40度付近を流れているコロラド川より南側で、アルゼンチンとチリにまたがる日本の約3倍の面積の地域のことを言います。

多くの人には「パタゴニア」は、1957年に登山家のイヴォン・シュイナードが創立したアウトドアウェアのブランドとしてお馴染みです。ちなみにパタゴニアのロゴのモチーフはパタゴニア地方の最高峰であるフィッツロイ山群です。

夏でも平均最高気温が10数度前後と低温で、また最高風速が60m/秒に達するなど地球上でも極めて強い風が吹く場所です。

過酷な環境ですが、南極大陸とグリーンランドに次ぐ広さの氷原を有し、多くの氷河、青く美しい氷河湖、氷河や強風に削られた鋭い峰が特徴的な山々、川や滝など他の地域とは違った絶景が見られる場所になっています。珍しい絶景の観光、登山、トレッキングなどのアウトドアが楽しめるので近年世界中からたくさんの観光客が訪れるようになっています。

なおパタゴニアの名称は、マゼランが探検していた時代に(毛皮で造った靴のため)足が大きく見えたパタゴン族が住んでいたからだとも伝えられています。

日本では海外の観光地としてはまだあまり知名度は高くはないようです。場所が日本とは地球の反対側で、飛行機で乗り継いで約30数時間もかかるのが最大の理由だと思います。時差もちょうど12時間あります。

パタゴニアまで行くのには多少体力が必要だと思いますが、とにかく一度は現地に行って自分の目で見ておきたい素晴らしい絶景だと以前から思っていました。

実は数年前に日本の旅行社4~5社がチャーター機を確保して、東京~タヒチ~南米の都市~パタゴニアの時間短縮ルート(多分10時間程度の短縮)でツアーを募集していました。待望の好機到来と考えて早速申し込みました。しかしこのツアーは新型コロナの蔓延と運悪く重なってしまい、アルゼンチンとチリが急遽日本人観光客の受け入れを中止したために何と出発の前日夕方にキャンセルとなってしまいました。

新型コロナ禍が明けて、このような時間短縮ルートのツアーが企画されるのを期待して待っていましたが、残念ながらその後そのような企画の様子はなく、今回やむなく従来の時間がかかる通常ルートでのツアー参加になりました。

今回の観光ルート

2月上旬に14日間の日程でホテル10泊の団体ツアーに参加しました。参加人数は十数名という動きやすい人数でした。

まず飛行機で成田からドバイ経由でアルゼンチンのブエノスアイレスへ行きました。ブエノスアイレスのホテルで仮眠をとった後そこからさらに飛行機で世界最南端の街ウシュアイアまで行きました。

ウシュアイアではビーグル水道のクルーズやティエラ・デル・フエゴ国立公園内を走る最南端の蒸気機関車乗車を楽しみました。次にウシュアイアからアルゼンチンのパタゴニア観光の基地であるカラファテまで空路で移動しました。そしてカラファテから陸路で国境を越えてチリ側のパイネ国立公園へ移動し、グレイ湖クルーズや山々の絶景観光などを楽しみました。

パイネ国立公園の観光を終えた後また陸路で国境を越えてカラファテへ戻りました。カラファテでは、世界遺産ロス・グラシアレス国立公園内のペリトモレノ氷河観光をし、エルチャンテンへ日帰りで行ってフィッツロイ山を望むコンドルの丘へのミニハイキングをしました。さらに再びロス・グラシアレス国立公園を訪れてウプサラ氷河やスペガッティーニ氷河を見学する氷河クルーズなどを楽しみました。

最後にカラファテから空路でブエノスアイレスに移動し1泊した翌日夕方まで市内観光を楽しみ、そのまま空港へ行き日本へ帰国しました。

立ち寄った主な観光地のGoogle地図を下に掲載しておきます。青色の線は航空機での移動、オレンジ色の線はバスでの移動を表しています。

なお今回の旅行では、まずいつものようにカメラとレンズはSONYのミラーレス一眼レフカメラα7RIII(重量:657g、大きさ:126.9x95.6x73.7mm、画素数:約4240万画素、イメージセンサー:フルサイズ)とSONYのズームレンズSEL24105G(24-105mm F4 約663g)を持参しました。

また新たに買い換えたiPhone 16 Pro(512GB)も同時に持参して格段に性能が良くなったと言われているカメラ機能を十分に使ってみることにしました。もしもこのスマホだけでそこそこの撮影ができれば次の旅行からは一眼レフカメラは不要になるかもしれないと思っています。ちなみに動画はすべてこのスマホで撮影しました。

旅程1~2日目

成田空港をエミレーツ航空の飛行機で夜出発し、ドバイを経由してアルゼンチンの首都ブエノスアイレスへ行きました。

成田空港を夜出発で最初の機内食が深夜の提供となるので、エミレーツ航空のラウンジで軽く夕食を食べておきました。昨年5月にこのラウンジに来たときには「注文できる出来立ての天ぷら」はエビではなく鶏肉でしたが、今回はちゃんとエビの天ぷらに戻っていて安心しました(右下の写真)。揚げたてなのでとても美味しかったです。

 

左下はエミレーツ航空の成田~ドバイ間の座席の様子です。提供されるスリッパは柔らかい靴のように履くタイプなので普通のスリッパよりは脱げにくくて良いと思いました。夕食はお寿司にしてみました(右下)。かなり冷やされて出てくるのでネタもシャリも冷たくて硬めのこわばった食感ですがそれなりに楽しめます。

 

左下はドバイに到着する直前に提供された朝食ですが、これも和食にしてみました。特にお蕎麦とお味噌汁の味が良かったです。以前はメインにウナギのかば焼きがあってとても美味しかったのですが今回は残念ながらウナギではありませんでした。右下はドバイ~ブエノスアイレス間の座席の様子です。一時代前のビジネスクラス仕様で一部の席は直接には通路に出られませんでした。

左下は到着したブエノスアイレスの空港の様子ですが、かなり殺風景でした。右下はブエノスアイレスでの宿泊ホテル「コンチネンタル・ホテル」の入り口の様子です。

このホテルには夜の10時過ぎに到着しましたが、次の日は早朝4時にロビー集合でしたので仮眠用のホテルという位置づけでした。約30時間のフライト時間をかけてきたのでゆっくりと浴槽に使ってリラックスしていたら、睡眠時間が正味2~3時間しかとれませんでした。

旅程3日目

早朝4時にホテルを出発して空港へ行き、アルゼンチン航空で最果ての町ウシュアイアへ行きました。空港の建物には木材がたくさん使われていました(下の写真)。

空港の建物は外から見ると三角形の独特の形をしていました(左下の写真)。

ウシュアイア

アルゼンチンのウシュアイアは、南極大陸にもっとも近い世界最南端の都市で人口は約7万人です。 南米クルーズの拠点にもなっていて今回の滞在中にも有名な最新鋭の南極クルーズ船が港に停泊しているのを見ることができました。

ウシュアイアの街は山の麓に広がっていて、宿泊するホテルもかなり坂を上った場所にありました。街は夏休みのバカンス中だということで学校など閉まっているようでした。また地元の人もあまり道を歩いてはいないようでした。空港を出てホテルへ行くまでの間にバスの車窓から見た街並みを動画でご紹介します。

海岸付近は荒涼とした寂しい場所がありますが次第に建物が増えていきます。また最初の動画の中頃付近にウシュアイアの看板の立派な塔があるのが分かります。

次の動画でもよく分かるように寒い、強風の場所にしては、窓が少し小さめであること以外は家々の作りが日本のものとあまり違いがないように見えます。

ウシュアイアの宿泊ホテルへ到着です。街からは離れたところに立地するリゾートホテル「Hotel Las Hayas Resort」でした。

ホテルのロビーから街を眺望した風景です。

 

ロビーの壁には色々と面白いものが飾ってありました。左下はスキー板、ストックなどです。右下は青や赤のカラフルな船の模型や動物のオブジェです。

 

ウシュアイア付近のパタゴニアの古い地図が置いてありました。

ホテルで少し休憩したあと、昼食をとるためにウシュアイアの街へ行きました。下の写真はウシュアイア港のツアーチケット売りの小屋が立ち並ぶ観光広場に設置されたウシュアイアの看板です。SNS映えするように飾られた看板で観光客の人気の記念撮影の場所になっていました。

左下は各種ツアーチケット売りの可愛い小屋が並んでいる様子です。右下はウシュアイア港の様子です。色々なところへ行く観光クルーズ船が停泊していました。

この観光広場の様子を動画に収めましたので掲載します。

下は昼食の3点セット(野菜スープ、リブ、アイスクリーム)です。真ん中のメインは牛肉のリブを蒸し焼きにしたような料理です。とにかくアルゼンチンはニクニクしいお肉料理が名物です。

午後は大西洋と太平洋を繋ぐビーグル水道クルーズ観光の予定ですが、船の出航までに時間があったのでウシュアイアの街を少し散策しました。

街は高い建物はなく、地方の街というしっとりと落ち着いた雰囲気でした。お土産物屋さんが多いようで街を歩く人もほとんどが観光客のようでした。

道路わきにはスペインなどでおなじみのチュロスの可愛い屋台がありました(下の写真)。

このときの街の散策の様子を動画でご紹介します。

ビーグル水道クルーズ観光

いよいよウシュワイアの港からビーグル水道クルーズへ出発です。

クルーズ船はほぼ満席でした(下の写真)。風が強くて冷たいということで皆さん重装備の服装で乗り込んでいました。

出航時の風景を下に動画でご紹介します。この動画の30秒~1分の間に画面に白と黒と赤いラインが特徴的な船が映っていますが、この船はフッティルーテン社が2020年に就航させたエコな最新鋭探検船のMS フリチョフ・ナンセン号です。乗客530名、約2万トンで燃料と電気のハイブリッドで運航することができます。以前から南極に船で行く際にはぜひこの船に乗りたいと思っていました。

出航してすぐの周りの海の風景です。

まずクルーズ船は海鳥が群生している島に近づきました。無数の海鳥の鳴き声はなかなか経験しませんがかなり迫力がありました。

この時の動画を下に掲載します。動画の撮影は船の甲板に出て行いましたが、冷たくて極めて強い風が吹き荒れていたので、足を踏ん張った状態での撮影となりました。iPhoneで撮影しましたがストラップはつけていなかったので風で海に吹き飛ばされないかと心配になるほどでした。

エクレール灯台の島にもウミウやオタリア(アシカの仲間)が群生していました。ウミウは遠くから見ると立った状態で白いお腹を見せているので一瞬ペンギンかと思いました。

この時の動画をご紹介します。野生の生物がたくましく生きているのを見るとなぜかうれしくなります。

ウミウやオタリアの島を見学したあと、近くの無人島に上陸しました(下の写真)。カラフルな双胴船に乗ってきました。

下の写真は島の展望台から船着き場を見渡した風景です。ちょっとした遊歩道を散策しましたが、見慣れない草や周辺の美しい山々、強い風などの荒涼とした別世界の環境に興味深々で、大変面白い体験になりました。

下の4枚の写真は船着き場付近の景色です。一見殺風景ですがとても素朴な雰囲気になぜか心が休まります。

 

島への上陸と散策の様子を動画でご紹介します。船を降りてから展望台へ行き、周囲を見渡すまでのノーカットの動画です。

下の写真は帰りにクルーズ船から見た風景です。

クルーズ観光からウシュアイアの街にもどってくるとお天気がとてもよくなり、近くの小型機専用の飛行場から周囲の山々が綺麗に見えるということで行ってみることにしました。

飛行場から眺めた絶景です。ウシュアイアから見えるシンボル的な山々であるオリビア山(左側)とぎざぎざのシンコヘルマノス山(中側)が並んでくっきりと見えます。山影も青く染まっていてとても綺麗でした。ちなみにオリビア山は見かけによらず標高は1,326mしかないそうです。

綺麗な空を強調して撮影した写真です。

この飛行場のそばの広場には、アルゼンチン海軍航空隊の最後のダグラスDC-3(5-Tango-22)の「ケープホーン」と思われる機体が展示されていました。DC-3は当時南極点への到達やパタゴニア地域航空輸送でウシュアイアを含む地域に多大な貢献をしたことで記念碑として復元展示されているようです。厳しい環境の屋外に吹き曝しで展示されていて痛みが激しいだろうと気になりました。

夕方ホテルへ戻り部屋で夕食まで休憩しました。ホテルの窓からは、オリビア山とシンコヘルマノス山などウシュアイアに迫る山々が美しく夕日に輝いているのが眺望できました。

夕食の3コース料理です。前菜は名物の焼きチーズでしたがかなり塩辛い味でした。メインはビーフステーキでデザートはチョコレートケーキでした。

この日の夜は日本を出発してからようやくホテルのベッドで初めてゆっくりと休むことができました。

この旅行記は「パタゴニアの絶景を巡る旅(2)」へ続きます。

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