はじめに
秋のお天気が良い日を選んで関東近郊に紅葉を見に行ってきました。
今回訪れた場所は下記の3箇所です。関東近郊では日光や箱根が紅葉の名所として特に有名ですがそれ以外にもたくさん紅葉の穴場があります。ここでご紹介する場所もその一部です。
1.昇仙峡(山梨県甲府市)
2.昭和記念公園(東京都立川市・昭和市)
3.薬師池公園(東京都町田市)
年によって秋の気候の経過・状態が異なり、紅葉の美しさや見ごろの時期がかなり違ってきます。そのために事前にお天気や現地の紅葉の進み具合などをよく観察し、ちょうど見ごろの時期に合わせて行く必要があります。
それでは今回訪れた場所の様子を順番にご紹介したいと思います。
1.昇仙峡
御岳昇仙峡は山梨県甲府市北部にあり、国の特別名勝にも指定された「日本一の渓谷美」といわれている渓谷です。花崗岩の断崖、奇岩、奇石の間を流れる綺麗な水の川が特徴的です。その渓谷沿いには整備された遊歩道があり四季折々に各自の体力に合わせた散策が楽しめます。秋の季節はこの渓谷美に紅葉が映えて特に綺麗だということです。
この紅葉の名所は数年前にネット検索していて偶然に見つけました。
昇仙峡に行くにはまず、JR東日本の新宿駅から松本行きの特急あずさに乗るのが便利です。甲府駅で下車したら後は駅の南口バスターミナル4番から昇仙峡行きのバスが出ています。
私が甲府駅に到着したときにはバスが出たばかりで次のバスまでは1時間半ほどありましたので、甲府駅からタクシーを利用しました。昇仙峡の中間地点にある県営駐車場までは約30分で運賃は3,000円~4,000円だと記憶しています。
今回は渓谷に沿った遊歩道のうち見所が集中している中間付近を約1時間ウォーキングし、各所で渓谷や紅葉を眺め写真を撮影しました。下記にそのルートを示しておきます(昇仙峡観光協会ホームページより抜粋)。
私がタクシーを降りたのは上の地図の左下付近にある県営無料駐車場(グリーンライン昇仙峡バス停付近)です。そこにはトイレもありますのでここで済ませておくとよいと思います。
まずこの県営無料駐車場から渓谷の遊歩道へと下って行きました。遊歩道に入ったあとゆっくり景色を楽しんだり写真を撮ったりしながら滝上エリアまで約1時間ほど歩きました。
このコースでは終始坂を上って行くことになり少し息が切れますが、渓谷は川の下流から上流へ向かって歩いたほうが水がより綺麗に見えると言われていますのでお勧めです。
滝など傾斜を流れ落ちる水の景色はもちろん川下から見たほうがよく見えます。
県営無料駐車場付近から見た渓谷方面の景色(左)と渓谷へ下っていく道(右)
遊歩道入り口付近のお店(左)と途中で見かけた紅葉(右)
県営無料駐車場から下りていく道の両側には食べ物屋さんやお土産物屋さんが何件か並んでいます。
遊歩道に入るとすぐに昇仙峡一番の見どころである覚円峰(かくえんぽう)が見えてきます。昔、覚円という僧侶が畳が数畳敷ける広さの頂上で修行したことがその名に由来します。
昇仙峡の主峰である覚円峰(左)と付近の岩山(右)
私が訪れた時には残念ながら覚円峰周りの紅葉はすでに見ごろを過ぎて木の葉がかなり散ってしまっていました。昇仙峡は各所高度差があるために紅葉のピークがそれぞれ違ってきます。そのため全体としては紅葉の見ごろの期間は長く続くということです。
上の写真は覚円峰と反対方向で見かけた渓谷の崖に映える紅葉です。夕日(逆光)に照らされて美しく輝いています。
渓谷の紅葉(左右)
富士川の支流である荒川と紅葉(左)と川沿いで見た紅葉(右)
上の写真は川の流れと岩と紅葉の風景です。
上の写真も川と岩と紅葉の風景ですがこの日見た最も素敵な紅葉の風景です。
川と紅葉の風景(左)と川の傍にある簡単な休憩所付近の紅葉(右)
昇仙峡の遊歩道は舗装されたとても歩きやすい道で、上の右の写真にあるように休憩所も整備されていて子供からお年寄りまで安心して楽しめる場所になっています。
上の写真のように自然の大きな岩が迫る日本では珍しい遊歩道になっています。そして紅葉も綺麗です。
遊歩道の途中にある石門(左)と遊歩道の橋の上から眺めた渓谷の風景(右)
上の写真は昇仙峡のシンボルである覚円峰の麓にある仙娥滝(せんがたき)です。豪快に音を響かせながら水が流れ落ちていました。落差は約30メートルですがこちらも昇仙峡では有名な見所になっています。このあたりも紅葉のピークは少し過ぎていたようでした。
仙娥滝の横の石段を上り詰めたところは休憩所やお店が沢山あるちょっとした広場になっていました。昔はこのあたりでは水晶がたくさん産出したということで今でも水晶のお店がいくつかありました。
ここを抜けて遊歩道をさらに昇仙峡ロープウェイ方向へ進むと右側に川を渡る小規模な橋がありました。そこを渡るとJR甲府駅方面に戻るバスの滝上バス停がありました。
バスの時刻表を見ると30分以上待たなければいけません。するとタクシー運転手らしき人が近寄ってきて、「お客さん4名の乗り合いで甲府駅まで行きませんか?」と声をかけてきました。
話を聞くとバスの運賃とほとんど変わらない割り勘運賃で一人当たり1,100円でいかがですかということでしたので、すぐにOKの返事をしました。
山を越えてタクシーで甲府駅まで戻りましたが、その運転手さんは途中で甲府市街と富士山が一望できるとても景色が良い展望台で車を止めてしばしうれしい写真タイムを取ってくれました。
紅葉が美しい山の中腹にある展望台から撮影した甲府市街と富士山の眺望(上)
今日は少し慌ただしい日帰りの小旅行でしたがお天気も快晴にめぐまれ、渓谷に沿った遊歩道は常に川の水の音が耳に心地よく響き、周囲の紅葉した渓谷の絶景と相まってとても気持ちよく散策することができました。
また平日の午後遅くの時間帯でしたので観光客も少なめでのんびりと静かに過ごすことができました。
そもそも遠方の紅葉の名所をタイミングよく訪ねるのはなかなか容易ではありません。かなり前から現地の紅葉のピーク(見頃)の時期の情報と同時に天気もチェックしなければなりません。
現地の見頃情報が正確に把握できないことも多く、また天気が良い日を選んで日にちを決めないといけないので、実際に現地に行った時にはすでにピークを過ぎていたということも多く経験してきています。
今回も上で書いたように昇仙峡の一部や昇仙峡へ行く途中の峠にある「もみじ街道」ではすでに紅葉のピークを過ぎていました。
しかしもともと昇仙峡は場所によって紅葉のピークがずれてきます。今回場所によってはまさに見頃のところも多々ありましたので結果としてはとても満足できました。
また今回紅葉は逆光に晒されると木の葉の赤や黄色の色がとても明るく輝いて素敵だということを改めて実感させられました。
2.昭和記念公園
国営昭和記念公園は、全国17の国営公園のうちの一つで、昭和天皇御在位五十年記念事業の一環として戦後米国軍が使用していた立川基地の跡地を利用して作られた公園です。場所は東京都の立川市と昭和市にまたがっています。
広さは160haほど(東京ディズニーランドの約3倍)もあり関東では有名な国民の憩いの場になっています。年間450万人ほどの人たちが訪れているそうです。
入園料金は大人が450円、子供(小・中学)は無料、シルバーは210円となっています。また一年のうち昭和の日(4月29日)など6回ほど入園料が無料になる日があります。
ここではよく整備された広い花壇に一年中色々なお花が咲き乱れ、訪れた人たちを楽しませています。春の桜・チューリップや秋のコスモスなどが特に素晴らしいです。
もちろん秋の紅葉も名所になっています。紅葉の見所スポットは公園内各所にありますが、特に日本庭園やイチョウ並木の紅葉がお勧めです。
先月お天気の良い日を選んで紅葉狩りに行ってきましたのでその様子をご紹介します。下の図は国営昭和記念公園管理センターのホームページより抜粋した案内図です。
上の案内図のように公園の入り口は全部で8か所もありますが、今回はJR西立川駅を出て目の前という便利な位置にある西立川口を利用しました。
西立川口の様子(左)とゲートを入ってすぐ目の前に広がる水鳥の池(右)
水鳥の池の周囲の紅葉の様子(左右)
西立川口のゲートを入ってまっすぐ進むとすぐにこの公園内で最も広い水鳥の池があります。その池の周囲には色々な紅葉が見られました。ボートに乗って紅葉を鑑賞している人も見うけられました。
また池の傍らでは、アマチュア画家でしょうかスタンドにキャンパスを広げて紅葉の池の景色を描いているご婦人もいました。
大きなモミジの木(左)とそのモミジの木を内側から見たところ(右)
みんなの原っぱ(左)と公園内の遊歩道の傍の紅葉の様子(右)
昭和記念公園の中心部にある広大な芝生の「みんなの原っぱ」にも立ち寄りましたがこのあたりには紅葉している木があまりありませんでした。
右上の写真にあるように公園内の遊歩道はまるで自動車道のように幅が広く、またよく舗装されていてとても歩きやすくなっています。
遊歩道の両側にも各所に美しい紅葉が見られました。
公園内の遊歩道の傍の紅葉(左)とサイクリング・ロードの傍らの紅葉(右)
紅葉が美しい日本庭園の入り口付近(左)とそこにあったモミジの木(右)
西立川口から入ってかなり歩いてようやく日本庭園に到着しました。日本庭園の入り口付近には毎年綺麗に赤く紅葉するモミジの木が3本ほどあり、いつも写真を撮る人で賑わっています。
上の2枚の写真は日本庭園の中にある池を望む紅葉の風景です。この池の周りにたくさんの紅葉の木が植えられています。
日本庭園らしい池の岩や遠くに見える日本式家屋などなぜか紅葉ととてもマッチした素敵な風景になっていると思います。
上の写真は日本庭園の中でも最も紅葉が美しいスポットです。ここも常にたくさんの写真撮影をする人々で混雑しています。色とりどりの紅葉が美しさを競い合っているようです。
日本庭園の中にある家屋の傍に置かれた手水鉢(左)
手水鉢の水面には可愛いモミジの葉が3枚浮かんでいました。なかなか風情のある素敵な光景ですがこれは自然に偶然にこうなったのか、または写真マニアの人が敢えてこのように演出したのかは定かではありません。
よく植物園などのバラの花を撮影するときに写真マニアの人は霧吹きを持参していて、撮影するバラの花びらに霧吹きで水滴をつけている光景に出くわすことがあります。
色とりどりの紅葉が美しい池のほとりです。
上の写真は紅葉が池の水面に映る素敵な光景です。私が今回昭和記念公園で見た最も好きな風景の内の一つです。
本格的な日本庭園と紅葉のコラボはとても魅力的で特に池の周りをゆっくりと歩いて散策しながら景色を眺めるのが最高です。
立川口近くにあるイチョウ並木です。こちらの紅葉スポットも常に多くの人で賑わっています。
遊歩道の周辺の紅葉(左)と立川口を出たところから振り返って公園を見た風景(右)
昭和記念公園を訪れた時はお天気は全般として薄曇りでした。それでも時々雲の合間から太陽の光が差すと紅葉の葉がとても美しく輝いていました。
公園の中心部にある「みんなの原っぱ」の付近をはじめ何か所かに軽食の屋台がかなりの数出ていました。お弁当を持参せずにこれらの屋台で温かい昼食をとるのもよいかもしれません。
私はこの公園に秋に紅葉を見に来るのは数回目ですが、訪れるたびにいつも美しい紅葉が迎えてくれます。またこの公園は非常に広大であるために遊歩道を一日中かなり長時間歩き回らなければならず、かえってそれがとても健康に良いウォーキングになっています。
日本人に交じって中国人観光客が目立っていました。数年前と比べてあきらかに中国人観光客が急増しているように思えます。皆さん特にマナーが悪いなどということは全くありませんでした。
今回は平日に訪問しましたが土日や祝日ですとかなりの人出が予想されます。少しでも静かに紅葉を鑑賞したい人はできれば平日に訪れることをお勧めします。
3.薬師池公園
最後にご紹介する薬師池公園はかなり穴場になると思います。私も紅葉スポットとして知ったのは数年前で、ネット検索していて偶然に見つけました。
薬師池公園は、東京都町田市野津田町にある町田市立の都市公園です。新東京百景、日本の歴史公園100選に選定され、また東京都指定名勝にも指定されているとのことです。
この公園は全体が日本庭園のような落ち着いた様相を呈しています。中心部には薬師池があり、池の周りを中心に梅、椿、桜、花しょうぶ、大賀ハス、新緑、紅葉など四季折々に訪れる人々を楽しませてくれます。
また、江戸時代の古民家2棟が移築されていたり、フォトサロンや軽食が食べられる施設などもあり半日~1日ゆっくりと家族で楽しめると思います。
なお余談ですが薬師池公園と道路を挟んで向かい側には全国でも珍しい「町田リス園」もありリスと直接触れ合えます。
アクセスですが、まず新宿駅から小田急線で小田原方面急行電車に乗ると約30分で町田駅に着きます。町田駅からは駅のバスセンターからバスで約15分で薬師池に到着です。
下に町田市作成のウェブの案内ページから抜粋した薬師池公園の案内図を掲載しておきます。
それではこの公園で鑑賞した紅葉のいくつかの風景をご紹介します。
上の写真は薬師池周辺の紅葉です。右のほうには池にかかる橋も見えています。
少し谷を上った場所の紅葉(左)と薬師池の傍らにある軽食やお菓子を売っているお店(右)
上の7枚の写真は薬師池の水面に映える美しい紅葉です。特に逆光の位置から紅葉の木や枝を撮影するととても素敵な写真になります。
このあたりが最も人気の紅葉の撮影ポイントとなっていて、ピーク時には池の岸には写真マニアが5~8名ほど一眼レフカメラを取り付けた三脚を並べていることがあります。
公園の池から離れて少し山の方向へ歩いて登って行くとまた違った趣の紅葉が待っています。
下に山側の紅葉の写真を何枚か掲載しておきます。
林の中に静かに佇むモミジの木です。
山側の林の中の紅葉もまた美しいものです。
薬師池公園の紅葉は池の周りや山側、古民家が移築された場所などいくつかのスポットで鑑賞することができます。公園内の遊歩道をゆっくりと散策し、紅葉を探しながら鑑賞していくのもまたお勧めです。
なお最近ネットで知ったのですが今年から夜間の紅葉のライトアップも始めたとのことです。特に地元に人にとってはとても良い憩いの場になっているのだと思われます。
最後に
この記事では最近小旅行として訪れた関東周辺の紅葉スポットを3か所ご紹介しました。関東にお住まいの方でしたらいずれも日帰りで行ける場所です。
今回痛感したのは、紅葉は赤や黄色の葉、枝、木、木々に注目して鑑賞するのももちろん楽しいですが、やはり周りの景色、環境、雰囲気、風、光、空気と一緒に楽しむとその美しさにさらに深みと幅が出てくるということです。
そこで写真撮影をするときも周りの風景、雰囲気などをできるだけ取り込んだような写真になるように心がけています。
日本では毎年秋になると美しい紅葉を各地で楽しむことができます。日本は世界でも珍しく紅葉する木の種類が多く、特に素敵な色に変わる主役の楓やモミジ類の種類が豊富だということです。
確かに海外、例えばアメリカなどではほとんどが黄色に紅葉する木のようです。
毎年秋が来て快晴の素晴らしい小春日和が続くととにかくどこかに紅葉を見に出かけたくなる衝動に駆られるのは私だけでしょうか。