はじめに
先月秋の京都に3泊4日で紅葉を見に行ってきました。「紅葉(もみじ)狩り - 京都」ではその様子を詳しくご紹介しています。
2日目(午前)
この記事「紅葉(もみじ)狩り - 京都(3)」では、旅程2日目に訪問した醍醐寺、宝泉院、寂光院、瑠璃光院、蓮華寺の5カ所のうち午前中に訪問した醍醐寺、宝泉院、寂光院の紅葉の様子をご紹介します。
7.醍醐寺
場所:京都市伏見区醍醐東大路町
アクセス:京都駅からJR東海道本線(琵琶湖線)/湖西線で「山科」駅まで行き、地下鉄東西線に乗換えて「醍醐」駅下車、2番出口より徒歩約13分
拝観時間:午前9時~午後5時、拝観料:大人1,500円
総本山醍醐寺は弘法大師の孫弟子にあたる聖宝尊師によって874年に開創されました。その後、醍醐、朱雀、村上の三帝の深い帰依によって次々に堂塔が建立され、951年には五重塔が完成したとのことです。
明治の廃仏毀釈時には一切の宝物を流出させることのないよう努力し、結果として現在伝承文化財は国宝69,420点、重要文化財6,521点に及ぶとのことです。
醍醐寺は平成6年12月に世界文化遺産に登録されたそうです。
醍醐寺へは地下鉄東西線の「醍醐」駅からミニバスが運行されていて直接門前まで行くことができますので利用すると便利です。歩くと少し回り道で行くことになり思ったより遠く感じます。
醍醐寺の総門(左)と門を入ってすぐの所で見た紅葉(右)
醍醐寺へは朝一番に訪問したのでまだ他の参拝客・観光客は少なめでした。広い境内をゆっくりと散策しながら紅葉を探しました。
仁王門遠景(左)と仁王門近景(右)
仁王門を入って金堂方向を見たときの紅葉の様子(左)と金堂傍の紅葉(右)
五重塔と紅葉(左)と美しい姿の五重塔(右)
五重塔に近づいて紅葉の木と一緒に写真を撮りました。
五重塔を超えてさらに奥へ進むと弁天池が見えてきます。しかし残念ながら弁天池周辺の紅葉はすでにピークを過ぎていました。モミジも赤い色がすっかり褪せてシルバーピンクのような色合いになっていました。
弁天池の周辺にはモミジがたくさん植えられており紅葉のピークの時に来ればさらに見事な光景が見れるものと容易に想像されます。
弁天堂の周辺の紅葉はまだ見頃の木が少し残っていました。
弁天堂の横の紅葉は今まさにピークでした。少し幻想的な風情が漂っていましたのでしばらく足を止めて紅葉を眺めました。通りかかる参拝客もここらあたりで盛んにカメラのシャッターを切っていました。赤色やオレンジ色の紅葉が弁天堂の朱色と良く調和しています。
左の写真は杉の木と紅葉のコラボです。
弁天池のさらに奥のほうは無量寿苑というお庭になっていました。
右上は唐門です。周りに少し紅葉の木があります。
総門まで戻って来たところで、三宝院のお庭にも紅葉があると聞き行ってみることにしました。
三宝院の入り口の門(左)と建物の中の襖絵(右)
三宝院の庭園は思っていたよりも広くて解放感がある立派な日本庭園でした。紅葉するモミジの木は数は少なめですがほどよく秋の風情を醸し出しています。またお庭に配置されて植えられている常緑樹もその緑色を主張しており、紅葉の赤色やオレンジ色とのコントラストがまた素敵でした。
見所があくさんある庭園でしたのでしばらく佇んで眺めていました。
左上の写真はお茶室とその前の中庭の風景です。一本のモミジの木が印象的です。
醍醐寺では五重塔と紅葉の美しい風景を期待していましたが、上でご紹介した写真のように残念ながら紅葉の木は1~2本しか確認できませんでした。しかし五重塔自身は素晴らしい建築物でいつも少しの間見入ってしまいます。
紅葉の中心スポットになったであろう弁天池周りですが今回訪問した時はすでに多くのモミジがピークを過ぎてしまっていました。一部の木が紅葉のピークだったのでなんとかその艶やかさは感じ取ることができました。
最後に見た三宝院のお庭ですが、紅葉の木の数は少なかったものの、その広い立派なお庭の秋景色の素晴らしさに感激しました。庭の一番奥にある建物にはさらに500円の追加参拝料が必要でしたがその価値は十分にありました。
お庭を色々な角度から眺めることができてとても充実した気持ちになりました。
この日は朝一番に醍醐寺を訪問・参拝したので、まだ人出はそう多くはありませんでした。弁天池の周辺では日本人より多くの中国人の観光客が来ていて盛んに写真を撮っていました。
次回は弁天池周辺が紅葉のピークの時になんとかタイミングを合わせて訪問したいと思っています。
8.宝泉院
場所:京都市左京区大原勝林院町
アクセス:京都駅からJR奈良本線に乗り「東福寺」駅まで行き、京阪本線に乗換えて「出町柳」駅でさらに叡山電鉄叡山線に乗り「八瀬比叡山口」下車、駅前よりタクシーで約8KM
拝観時間:午前9時~午後5時、拝観料:大人800円
大原三千院の参道の奥に1012年に寂源により創建された大原寺(勝林院)本堂があります。ここは天台宗仏教が栄えた大原の中心道場だということです。
宝泉院はその大原寺(勝林院)の住職の僧坊として約800年前の平安末期より使われていた場所とのことです。
宝泉院は大原の三千院傍にあり叡山電鉄叡山線の「八瀬比叡山口」駅からは北に約8キロメートル離れているので、駅前からタクシーを利用することにしました。
駅前にタクシー乗り場と書いた立札を見つけましたがタクシーは見当たらず、仕方なくタクシー会社へ電話をしました。大原地区にはタクシーはあまり走ってはいないとのことで結局30分ほど待つことになってしまいました。
三千院の参道近くでタクシーを止めてもらいました(左上)。参道を少し歩いて行くと左側に宝泉院がありました。右上の写真は宝泉院に入って玄関へ向かうところの風景です。
宝泉院は比較的小規模な建物とお庭で構成された僧坊でした。
玄関を入ってすぐにまず目に入ってくるのがこの鶴亀庭園です。江戸中期の作で池の形が鶴、築山が亀、山茶花の古木を蓬莱山と見立てた名園とのことです。一本の紅葉の木の赤色がとても印象的でした。
鶴亀庭園は左上の写真のように部屋の中から格子越しに鑑賞するのがお流儀だそうです。
部屋の中ではたくさんの参拝客がこの格子越しの風景を撮ろうとしゃがみ込んで頑張っていました。
左上は鶴亀庭園の池の錦鯉です。
お座敷(客殿)から見たお庭「額縁庭園」の樹齢700年の五葉松(縁起の良い木と言われている)がとても迫力があり立派です。「額縁庭園」は客殿の柱と柱の空間を額に見立てて鑑賞するお庭という意味だそうです。
額縁の中で存在感を放つ紅葉の風景です。晴れた日の夕方には竹林の向こうに太陽が沈んでいき庭の紅葉に夕日が当たってとても美しい幻想的な風景が楽しめるとのことです。
右のほうには水琴窟(すいきんくつ)があり、静かにこの音を聞きながらお庭を鑑賞すると気持ちが落ち着くと言われています。
実際の現場(客殿)は左の写真のように人がたくさん座っています。
このお寺では800円の拝観料の中にお抹茶と若狭屋手作りの和菓子が含まれており、皆さんお座敷に座り込んでお庭を鑑賞しながらゆっくりと過ごしていました。
皆さん、次から次へと好んで縁側に近い位置に座ることになるために「額縁のあるお庭の風景」の全体的な写真を撮りたくても撮るのがほぼ不可能でした。
気持ちとしては上の写真のような構図で人がまったくいないような風景をカメラに収めたかったのですがいくら待ってもそのチャンスは訪れそうにはなかったので結局あきらめてしまいました。
この「額縁庭園」は春夏秋冬の四季折々にそれぞれ独特の装いを見せてくれるので一年中楽しめるとのことです。
お座敷に座っておいしいお抹茶と和菓子をいただき、お庭を心行くまで鑑賞してこのお寺を後にしました。
次の目的地まではまたタクシーを利用する必要があるので、三千院の参道を歩いてちょっとした広場まで戻っていきました。
三千院の参道周辺の木もきれいに紅葉していて多くの参拝・観光客で賑わっていました。
次の訪問先は寂光院ですが、ここの宝泉院からほぼ西の方向へ高野川を渡って1.5~2キロメートル移動しなければなりませんでした。
実は私が宝泉院を参拝している間30~40分間ほど、叡山電鉄叡山線の「八瀬比叡山口」駅前から乗車したタクシーに宝泉院の近くで待ってもらっていました。
このタクシーの運転手さんはサービスがとてもよく、この付近でコーヒーでも飲んで休憩しているので無料で待っていてあげると言われました。
広場に着いたら運転手さんを携帯電話で呼び出して無事に次の訪問先である寂光院へと向かいました。一度タクシーを降りたら次のタクシーを呼ぶのが大変な時期でしたのでとても助かりました。
寂光院に近づくにつれて舗装はされているものの細い山道のようになり向こうから来た車と離合するのが大変な場所でした。運転手さんには行けるところまで行ってもらい少し手前の広場のような場所で降ろしてもらいました。
寂光院に向かって歩いて行く途中で見かけた紅葉の風景です。かなり田舎の山の中でしたが比較的多くの観光客が来ていました。
9.寂光院
場所:京都市左京区大原草生町
アクセス:京都駅からJR奈良本線に乗り「東福寺」駅まで行き、京阪本線に乗換えて「出町柳」駅でさらに叡山電鉄叡山線に乗り「八瀬比叡山口」下車、駅前よりタクシーで約8KM
拝観時間:午前9時~午後5時、拝観料:大人600円
寂光院は天台宗の尼寺で594年に聖徳太子が御父・用明天皇の菩提を弔うために創建されたとのことです。
第3代の住職は建礼門院徳子(平清盛の息女)で1185年に入寺し、源平合戦に敗れて壇ノ浦で滅亡した平家一族と自らの子である安徳天皇の菩提を弔い終生この地を閉居御所とされたそうです。
寂光院の山門を階段の途中から撮影した写真です。両側の紅葉が見事です。
山門を入って振り返って山門付近を見た風景です(左上)。右は山門を入ってまっすぐ前に見えてきた本堂です。
「平家物語」当時のままの庭で諸行無常の鐘があります(左上)。右上は回遊式四方正面の庭。
右上の写真は本堂を裏のほうから見た景色です。
庭の奥のほうで見かけた杉と紅葉のコラボです。
右上の写真のように苔むした屋根がとても趣があります。
少し下った場所から右に山門、左に本堂を眺めた風景です。この位置からの紅葉がとても綺麗でした。
右上の写真は山門を出てから見た下のほうの風景です。
寂光院はとても静かな山の中にひっそりと佇んでいました。
寂光院へタクシーで来るときに通った狭い山道は、やはりここが女院の閑居御所として作られた場所であるということを再認識させられました。
お寺も庭も小振りで尼寺らしく作られていて特に本堂の屋根などに女性らしさを感じます。
秋にはこのような美しい紅葉をゆっくりと愛でることが楽しみの一つだったのだと推測できます。
この記事は「紅葉(もみじ)狩り - 京都(4)」へ続きます。