紅葉(もみじ)狩り - 京都(4)

はじめに

先月秋の京都に3泊4日で紅葉を見に行ってきました。「紅葉(もみじ)狩り - 京都」ではその様子を詳しくご紹介しています。

2日目(午後)

この記事「紅葉(もみじ)狩り - 京都(4)」では、旅程2日目に訪問した醍醐寺、宝泉院、寂光院、瑠璃光院、蓮華寺の5カ所のうち午後に訪問した瑠璃光院、蓮華寺の紅葉の様子をご紹介します。

大原三千院近くの宝泉院、川を挟んで少し西にある寂光院を訪れた後、寂光院を出て少し歩いたところにある和風のレストランで少し遅い昼食をとりました。

レストランでは外国人観光客のグループが食事をしていました。さすがに国際観光都市京都だけあってこのような山奥にも足を延ばしているのだと思いました。

昼食後タクシーを電話で呼びました。大原にはタクシーの稼働台数が少ないこととこの山奥まではなかなか観光客がタクシーで来ないということもあり、たっぷりと30分ほど待たされました。

   

タクシーを待つ間に撮影した付近の紅葉の風景です。

   

紅葉したモミジの葉は下に落ちていてもやはり「絵」になります。

ようやく来たタクシーに乗車し、お昼前に来た叡山電鉄本線の「八瀬比叡山口」駅前まで一気に戻り、次の訪問先である瑠璃光院へ向かいます。

実は驚くことにこの瑠璃光院は訪問するのに大変な場所でした。

話は時間を3時間ほど遡りますが、そもそもの当日の予定では、午前中に醍醐寺を出た後、電車で移動しお昼前に叡山電鉄本線の「八瀬比叡山口」駅から歩いてすぐのところにある瑠璃光院を訪問することにしていました。

ところが、駅前にあった「瑠璃光院参拝受付」という看板の案内に従って橋を渡り川沿いを少し歩いていくと広場にテントがいくつか設えてあって、そこで何と瑠璃光院参拝「予約」の受付をしていました。

私がその場に着いたときは12時少し前でしたが一番早い参拝時間はすでに午後3時だということでした。この周りには何もない京都の北の端で突然3時間も待たされる羽目になってしまいました。下の右の写真は予約受付に並ぶ観光客の姿です。

   

「八瀬比叡山口」駅近くの川原の紅葉(左上)と予約受付に並ぶ参拝客(右上)

しかも瑠璃光院の拝観料は驚きの2,000円でした。京都のお寺などはほとんどが拝観料は500~800円程度ですのでこれは破格です。

とにかく思ってもみなかった3時間待ちに戸惑い、周りに何もないところで時間をつぶすのはもったいないと思い、結局すでにご紹介したように、「八瀬比叡山口」駅前から8キロメートルほど北にある大原の宝泉院と寂光院を急遽先に訪問することにしました。

午後3時には予約通り集合地点に戻ってこないとまたさらに30分以上待たされることになりますが、宝泉院と寂光院を訪れて昼食を済ませ戻ってくるのに3時間で間に合うだろうと判断しました。

大原地区でタクシーを呼んでタクシーがくるまでの待ち時間がもっとも心配でしたが2度ともに予想通り約30分で来てもらえましたので大丈夫でした。

ただ寂光院から乗ったタクシーの運転手さんがなぜか道を間違えてしまいひやひやする場面がありましたが、結果として何とか午後3時ちょうどには集合地点へ戻ってきました。

戻って来るとまさにちょうど係りの人が締め切りのロープを張っていたところでしたが、駆け込みで50人ほどの3時出発のグループの最後尾に並ぶことができました。

3時間という待ち時間をとても有効に活用できてとても幸運でした。

さて集合の列に並んでほどなくして団体で瑠璃光院まで歩いて移動です。下に途中で撮影した川沿いの綺麗な紅葉の写真を掲載しておきます。

       

10.瑠璃光院

場所:京都市左京区上高野東山

アクセス:京都駅からJR奈良線で「東福寺」まで行き、京阪本線に乗換えて「出町柳」まで行きさらに叡山電鉄叡山線に乗換えて「八瀬比叡山口」駅下車、徒歩約5分

拝観時間:午前10時~午後5時、拝観料:大人2,000円

瑠璃光院は正式には光明寺京都本院瑠璃光院で、岐阜市に本坊を置く「浄土真宗無量寿山光明寺」の支院で本尊は阿弥陀如来だそうです。

もとは別荘として造営されたもので1万2000坪の敷地に数寄屋造りの建物と日本庭園を有しています。

普段は非公開ですが、春(4月~6月)と秋(10月~12月)の特別拝観期間のみ拝観が可能となります。格調高い数寄屋造りの書院からは自然を借景とした「瑠璃の庭」を望み、特に書院2階の写経机や床に映りこむ紅葉が美しいことで有名です。

「床もみじ」は最近お寺の紅葉で特に人気がある風景です。

   

瑠璃光院の山門前に到着するとまたそこでしばらく待機させられました。理由は、瑠璃光院の係りの人が、参拝客一組ずつ順番に山門の前で記念撮影をしてくれていたからです。確かに皆がそれぞれ勝手に山門前で人物を入れた写真を撮ることになると人数が多いので混乱しそうです。

山門をくぐるとあとはグループは解散でそのまま個別に自由に中へ進んで行くことができました。

   

書院の玄関へ向かうアプローチでは両側の紅葉がとても素敵でした。

   

玄関から書院へ上がったらまず最初に2階へ行きました。上の写真は2階の窓から周りを見た風景です。2階の写経部屋ではいよいよ写経机に紅葉が映る景色が楽しめます。

      

お座敷奥ではかなりたくさんの参拝客が肩を寄せ合ってカメラのシャッターを切っていました。座った姿勢で写経机の高さから出来るだけ紅葉が綺麗に机に映り込んだ写真を撮ろうと皆頑張っていました。

後ろのほうでは瑠璃光院の係りの人が「写真を撮った方はすぐに次の人に場所を譲ってくださいと」連呼していました。

当日は本当に混み合っていて好きなポジションで写真を撮ることはとても困難でした。

   

左上は2階から1階へと下る途中で見た風景で、右上は1階のお座敷から見た裏のほうの庭の様子です。

     

「瑠璃の庭」に敷き詰められた何種類もの苔が見事です。

「瑠璃の庭」というのはある条件が揃ったときに庭石が瑠璃色に光るということからその名がつけられたそうです。確かによく見ると上の写真の右側にある庭石が少し瑠璃色っぽく見えています。

それにしても赤い紅葉と緑の苔の競演が互いに引き立てあって素晴らしい情景になっています。

   

左上は1階のお座敷でお庭を眺めたり写真を撮ったりしている大勢の参拝客の姿です。右上は有名な「八瀬のかま風呂」の現存する貴重な遺構です。

壬申の乱で背中に矢傷を負われたのちの天武天皇がこの地方のかま風呂で傷を癒されたと伝わっているそうです。

裏庭のほうですが色とりどりの紅葉の風景がありました。

         

書院の1階のお座敷から見た「床もみじ」の風景です。床が綺麗に磨かれています。

赤い紅葉と緑の苔のコラボが何とも言えず幻想的でしばらく見ていても飽きません。

上の写真は瑠璃光院の境内の小道の途中から少し上のほうを見上げて撮影した紅葉の景色です。私は今までこれほど沢山の綺麗な色がミックスされた驚くほど素晴らしい紅葉の彩の風景は見たことがありませんでした。

深緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、濃い橙色、赤色、桃色、薄桃色など、そしてそれぞれの色の綺麗なグラデーションはまさに「錦織りなす紅葉」の形容に相応しい紅葉風景を呈していました。

まるでこれ以上の紅葉はないだろうと思わせるような見事な情景にしばし立ち止まって見入ってしまいました。

瑠璃光院は午前中に訪れた醍醐寺などとは違って鑑賞できた場所はごく狭い範囲でしたが、植えられて丁寧に管理された多くの種類のモミジや色々な種類の苔など見応えは十分でした。

春には青モミジがまばゆく輝くとのことです。

ここ八瀬は平安時代の昔からやすらぎの郷として、貴族や武士に愛された保養地ということですが、このような豊かな自然、日本的な風情ある建物、モミジと苔の名庭園は訪れた人に大いに癒しを与えてきたと思われます。

3時間待たされてしかも拝観料2,000円の価値はあったかと問われれば、もちろん「十分にありました」です。今考えると瑠璃光院で見た風景はどれも素晴らしく、参拝中はまるでその時に平安時代に遡って別世界にいるような不思議な錯覚さえ覚えました。

また「お座敷越しに見る紅葉の庭」ということでは第一日目に訪問した圓光寺と並び称えられる紅葉スポットであると確信しています。

当日はとにかく参拝客・観光客の数がすさまじく書院の1階、2階を移動するときには薄暗くて狭い通路が人で埋め尽くされました。京都へ来たら是非ここを訪問したいという人がたくさんいたのだと思います。

出口に出てきた時に引き続きもう一回拝観しようかなと思いましたが、当日は夕方暗くなる前に次の蓮華寺を訪問したかったので諦めました。

瑠璃光院を後にして5分ほど歩き再び叡山電鉄叡山線の「八瀬比叡山口」まで戻ってきました。蓮華寺に行くにはここから京都方面の電車に乗り一つ次の駅「三宅八幡」駅で下車します。

駅からは歩いて7分ほどですがここは今回訪問した17カ所の紅葉スポットの中で最も小さなお寺でした。住宅街の中にひっそりと佇んでいますし、途中他の参拝客が歩いて行っているというような様子は全くありませんので、入り口を見逃さないように注意しながら歩いて行く必要がありました。

11.蓮華寺

場所:京都市左京区上高野八幡町

アクセス:京都駅からJR奈良線で「東福寺」まで行き、京阪本線に乗換えて「出町柳」まで行きさらに叡山電鉄叡山線に乗換えて「三宅八幡」駅下車、徒歩約7分

拝観時間:午前9時~午後5時、拝観料:大人400円

蓮華寺は元々は京都駅付近にあった浄土教系の古寺で応仁の乱以降荒廃していたのを1662年に加賀前田家の老臣今枝民部近義が祖父今枝重直の菩提を弔うためにここに移して再興したものだそうです。

再興の時には石川丈山、狩野探幽、木下順庵、中国から来た黄檗宗(曹洞宗、臨済宗と並ぶ日本三禅宗の一つ)の隠元・木庵禅師などの文化人が協力し、本堂、鐘楼堂、庭園などはこれらの文人が残した貴重な文化遺産となっているとのことです。

   

左上は蓮華寺の山門です。右上は山門を入ってまっすぐ前を見渡した紅葉風景です。

静かに佇む鐘楼堂付近のもみじと敷もみじの景色です。

   

裏のほうの景色(左上)と紅葉に囲まれたお庭の様子(右上)

蓮華寺の「お座敷越しに見る紅葉の庭」です。当日は参拝客・観光客が数名しかいませんでしたので、少し待てば自分の好きな位置から自由に撮影することができました。

     

庭の片隅にある手水鉢も紅葉の風景とよくマッチしよい風情を醸し出しています。

お座敷に座りゆっくりとお庭の紅葉の景色を眺めているととても落ち着いた気分になりその静けさに引き込まれそうな感覚になりました。

訪問時は夕方5時近くになり周りは薄暗くなってきて、また周りには2~3人、時には私一人でお庭を鑑賞するというまさに贅沢な静寂の中で、しばし時間が止まったようなこの風景を享受しました。

さらに空が次第に薄暗くなってくると、逆に紅葉のお庭が明るく浮き上がってくるような面白い感覚もありました。

蓮華寺はまさに京都の紅葉の穴場中の穴場だと思います。小さなお寺で、参拝客もとても少なく、それでいて予想を裏切るような素晴らしい庭園、特に見事な「お座敷越しに見る紅葉の庭」に巡り合うことができました。

ここの場所は瑠璃光院がある叡山電鉄叡山線の「八瀬比叡山口」駅から一つ京都側の「三宅八幡」駅の傍ですのでお互いそれほど離れてはいません。瑠璃光院を参拝した帰りにでも是非この蓮華寺に立ち寄られることをお勧めします。

この記事は「紅葉(もみじ)狩り - 京都(5)」へ続きます。

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