はじめに
海外旅行がまだそれほど一般的ではなっかった今から30~40年ほど前にも頻繁に海外旅行に行っていました。
この記事のシリーズでは、その頃の色々な海外旅行の記憶をたどって思い出深い観光地の体験などを書いていきたいと思います。当時撮影した写真は長年の間にネガであれプリントであれ一部紛失したり傷んだりしましたができるだけ雰囲気は伝わるように掲載していきたいと思っています。
この記事ではルクセンブルクへの旅行の体験をご紹介します。
2.ルクセンブルク
ルクセンブルク大公国はドイツ、フランス、ベルギーの3国に囲まれた神奈川県ほどの狭い面積に約60万人が暮らすヨーロッパの美しい小国です。
観光で訪れた時もそうですが現在でも海外からの観光客はそれほど多くはなく、日本からのヨーロッパツアーでもここへ立ち寄るものはあまりないようです。
ルクセンブルクへは当時個人旅行で行きました。以前からヨーロッパを高速鉄道で巡る旅に憧れていましたが、この時にようやく実現しました。
オランダを起点にヨーロッパ高速鉄道に乗り、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、ドイツの4か国を巡る鉄道旅でした。その3番目の訪問国がルクセンブルクでした。
ルクセンブルクは小国ですが、驚くことに1人あたり名目GDPが長年に渡って世界第1位を保つほど国民が豊かな国です。昔から特に金融業が盛んでヨーロッパでも中心的な役割を果たしているそうです。実際EUのいくつかの主要機関もルクセンブルクに設置されているそうです。
また税率が周辺の国より安いので、ガソリンを入れるために周辺国からわざわざルクセンブルクに立ち寄る車が多いそうです。
首都のルクセンブルク市は、昔ながらの街並みや森などの自然が多く狭いながらも美しい街でした。その古い町並みと要塞群はユネスコの世界遺産にも登録されているそうです。
ルクセンブルク市はとてもコンパクトにまとまっているので観光にはとても便利です。主な観光スポットは大公宮、広場、ボックの砲台などです。
ルクセンブルク大公宮は旧市街の中心にあり、それなりにこじんまりとしていますが立派な建物でした。
下の写真は市の中心にある広場の様子(左)と騎馬像(右)です。
ボックの砲台はルクセンブルクで最も人気がある観光スポットです。ルクセンブルク発祥の地と言われていて、963年にルクセンブルク家始祖のジークフロイト伯爵がここに砦を築いたのが国の始まりだそうです。
砲台は外から眺めたりまた内部に入って部屋や廊下など頑丈な要塞を詳しく観察することができました。
ボックの砲台(壁に沿って大砲を設置した穴が見えます)
ボックの砲台は川に沿った高台に築かれており強固な要塞だったと思われます。
砲台の穴の一つから外を覗いた景色(左)と砲台の見張り櫓のような塔(右)
砲台から外を眺めた風景(左右)
上の写真は観光バスの窓から撮影したある丘の風景ですが、見たところまるで小さなお城のような住宅がいくつもあることが分かります。さすがに世界一国民が裕福な国だと実感させられました。
ところでルクセンブルクは小さな国なので軍隊はあるのかなと思って興味本位で少し調べてみましたら、観光した当時で約1,000名、現在ではそれより増えていて約2,000名の軍人・軍従事者が配備されているようです。陸軍のみで海軍と空軍はないようです。小さな国でありながらちゃんと自国を守る体制を整えています。
ルクセンブルクの観光で最も印象に残ったのは実は今までにご紹介した観光地ではなく、市民の親切さ、やさしさ、思いやりの心でした。
これはこの観光中にルクセンブルクの旧市街でランチを食べたときに経験し感動を覚えました。
この話はこのブログの中の「各国皆さんのホスピタリティに感激!」の「ルクセンブルクでの体験」の節でご披露していますが、ここにそれを転記しておきたいと思います。
『市内観光の途中でランチを取ることになり、近くのハンバーガーショップへ行きました。マクドナルドやバーガーキングのようなチェーン店のようでした。
例によってカウンターには若い女性が立っていてお客様の注文を取り、出来上がったバーガーなどを渡していました。
順番が回ってきたので私はバーガーをひとつ注文しました。そのバーガーが出来上がってくるまで私は50秒~1分秒ほどそのカウンターで待たされたと思います。
出来上がるのを待っている間に、そのカウンターの女性は20秒ほど経ったときにまず「すぐにできますので、少しお待ちください。」と声を掛けてきました。
それからさらに20秒ほど経過した時に再び「すみませんが、もう少しお待ちください。」とやさしく微笑みながら声をかけてきました。
このわずか50秒~1分くらいの短い間に、待っているお客様を気遣って2回も声を掛けてくれたことは私にとっては新鮮な驚きでした。別に奥の調理場でトラブルなどがあって仕上がりが遅れたというようなわけではありません。
私がこのようなカウンターの店員の対応になぜ驚いたかと言いますと、例えばアメリカではバーガーショップのカウンターの女性は、お客様に、応対の最初から終わりまでにたった一言しか声を発しません。それは「NEXT!」です。日本語で言うと「次!」(「次のお客さん!」)です。』
そのハンバーガーショップでは店員さんが終始ニコニコと優しい笑顔でお客様を気遣ってくれていました。レストランのテーブル担当のウェイトレスさんであればそのような心遣いがあっても驚きはしませんが、他の国ではとても事務的な対応をするのが当たり前のカウンターの店員さんということで驚かされました。
先ほど書いたようにルクセンブルクは国民が世界で最も裕福な生活をしているということで、やはり経済的に豊かであると他人を思いやる気持ちにも余裕が出てくるのだろうと思いました。
もう一つの理由としては、神奈川県ほどの国土にわずか60万人ほどしか国民がいないというような空間的なゆとりも大いに関係しているものと思われます。ちなみに日本の神奈川県の人口は約900万人ですのでその違いは大きいと考えられます。
終わりに
ルクセンブルクは今でも観光客が多くはなく、ヨーロッパ観光の穴場と呼ばれることもあるそうです。実際に今回の観光でもどこも観光スポットには観光客らしい人はあまり見かけませんでした。
ゆっくりとヨーロッパの良い雰囲気、風景を満喫することができますので是非おすすめしたい場所です。