北極圏の絶景ロフォーテン諸島への旅(2)

はじめに

9月下旬に8泊10日でスウェーデンのラップランドとノルウェーのロフォーテン諸島を巡る旅へ行ってきました。この記事では旅程3日目のアビスコ国立公園でのハイキング、旅程4日目の「王様の散歩道」のハイキング、ナルヴィックを経由してロフォーテン諸島への玄関口ハシュタへ移動する様子などをご紹介します。

旅程3日目

旅程3日目は残念ながら朝から小雨になりましたが、レインコートなど雨具を準備して自然豊かなアビスコ国立公園のハイキングを楽しみました。

アビスコ国立公園

スウェーデンの北端の北極圏内に位置する自然豊かなアビスコ国立公園は、「王様の散歩道」と呼ばれるコースのほか7つほどのお勧めのハイキングコースがあり世界的に有名な場所です。

当日は小雨模様でしたので「王様の散歩道」には行かずに周辺の散策をすることになりました。下の写真はアビスコ国立公園のツーリストステーションです。ここで身支度を整えてから散策へ出かけました。

鉄鉱石博物館

直ぐ近くに鉄鉱石を運ぶ鉄道についての小さな博物館がありました(下の写真)。雨が降っていて室内の見学が良いだろうということで現地ガイドさんに特別に内部を見せてもらいました。

ちょっとした武器類(左下)や生活用品など(右下)が展示されていました。

左下は実際の鉄鉱石とシャベルや大型のハンマーです。右下は線路の点検のために使われていたと思われる線路の上を走る自転車です。

実はスウェーデン北部のキールナには昔から大規模な鉄鉱石の鉱山があり、そこで産出される鉄鉱石を港まで運ぶ必要性から、国境を越えてノルウェーのナルヴィクという港まで鉄道が敷設されていました。

夏期にはボスニア海に面するスウェーデンのルレオ港から海上輸送が可能でしたが、冬期にはボスニア海が凍ってしまうため、不凍港のナルヴィク港を利用する必要があり、この鉄道は非常に重要な鉄鉱石の輸送路になっていました。

キールナ鉄山は今も操業中です。最初は露天掘りからスタートしたものの、表面を掘りつくしてからは地下に向かって掘り進み、現在は地下1000m辺りを採掘中だそうです。今後更に掘り進むと、キールナの街の下を掘ることになるために、近年街の移転が実施されたそうです。

ハイキング中には何度もこの鉄鉱石を運搬する長く連結された列車を見かけました。キールナの街と産業を支えているそうです。

ナビスコ国立公園ハイキング

下はハイキングコースの途中にあるトンネルですが、壁や天井にはラップランドのサーミの伝統的な絵が描かれていました。

まずアビスコ川に沿ったハイキングコースを散策しました。紅葉のシーズンでしたので周辺の風景に彩を添えてくれていました。ここは紅葉の名所だそうです。

下は鉄道の線路工事のために水の流れを低い位置に移動させる目的で掘られたトンネルです。

美しい秋景色の渓谷が続いていました。

途中で見つけた日本のつくしのような可愛い植物です。

この時の散策の様子の動画を1本ご紹介します。

次はアビスコ川から少し離れたところにある小高い丘へ散策に行きました。下の写真は丘の上から眺めた風景です。

丘に登るときの様子を撮影した動画です。この時は今にも雨が降りそうな暗いお天気でした。

下の写真はラップランドの門と呼ばれている凹型の谷です。伝説によると男性はこの谷を通ってもよいが、女性が通ると子供が産めなくなると言われてきたそうです。このころには雨が上がり時々薄日が差すお天気になりました。

綿毛のような植物が群生していました。またトナカイの大好きな苔も木の表面や土の上で見ることができました。

少し分かりにくいですが、現地ガイドさんが立っているのは、川の上にせり出した「舌」のような板状の岩です。ちなみにこの現地ガイドさんは現地在住の若い好青年で趣味がロッククライミングというばりばりの行動派でした。

紅葉と川の水の青が美しいコントラストを見せています。

近くにある滝も見に行きました。

滝の動画を2本撮影しましたのでご紹介します。

散策中に雨が止んで、綺麗な虹が出てきました。よく見ると2重の虹になっていました。

小さな教会

最後に立ち寄ったのはバスで少し走った場所にある小さな教会でした。

この教会はこの付近の鉄道の建設・維持管理に従事した人たちやその家族のために建てられたそうです。鉄道工事ではたくさんの人が亡くなったそうです。

左下は教会の内部ですが質素な造りになっていました。ここはプロテスタントだと思われます。プロテスタントは「偶像を造ってはいけない」という聖書のことばに従って特に彫刻などは置かず、あえてシンプルに十字架だけが飾られています。また懺悔室は存在しません。

右下は教会の建物ができるまで使われていた野外の教会だそうです。現在でも時々使われているとのことでした。

お天気が悪いこともあってこの日は早めにホテルへ戻りました。ホテルでの夕食はシーフードの前菜、肉のステーキ、デザートの3点セットでした。

その日の夜に空を見上げると少しオーロラが見えていました。この場所がオーロラベルトに属しているために今回の旅行中にはこれよりはるかに明るく美しいオーロラを何回も見ることができました。

 

旅程4日目

旅程4日目は午前中にヨーロッパ最北の鉄道である「ノールランストーグ鉄道」(ストックホルム~ナルヴィク間)に乗ってノルウェーのナルヴィクまで移動する予定でしたが、水害のために残念ながら列車が運休になってしまいました。

バスで移動することになり少し時間的に余裕ができたので、アビスコ国立公園の「王様の散歩道」を散策することにしました。この日も曇り時々小雨のお天気でした。

王様の散歩道

下の写真が「王様の散歩道」の入り口です。このトレイルは北極圏を全長470kmの長さで南北に貫くロングトレイルで世界的に有名です。

「王様の散歩道」ですが昨日のアビスコ川に沿った道の散策時と見える風景はほぼ同じでした。

「王様の散歩道」を歩きながら撮影した動画を3本ご紹介します。

小雨交じりのお天気でしたので足元は状態があまり良くありませんでした。

狭いですが板を敷いた歩道が整備されていてとても歩きやすかったです。

2日間にわたりアビスコ国立公園の美しい紅葉と素朴な自然を満喫したハイキングができました。

「王様の散歩道」の散策を終えた後、国境を越えてノルウェーのナルヴィクまでバスを走らせました。

ナルヴィクまでの道程で車窓から3本の動画を撮りました。紅葉が綺麗な風景、荒れた荒野、岩が多い台地など珍しい風景が続いていました。

フィヨルドに沿った道路では、フィヨルドの奥まで回り込む必要がないように途中でショートカットで横断する橋がところどころに掛けられています。

 

ナルヴィク

ナルヴィクは19世紀以降キールナ鉱山で産出した鉄鉱石の積出港として発展しました。北大西洋海流のおかげで温暖な気候に恵まれ冬でも海が凍らない不凍港として重宝されています。第二次世界大戦時にはドイツ軍と連合軍との間で激しい戦闘があった場所です。現在人口は2万人ほどでフィヨルド、湖、川、山々の美しい自然が豊かな北極圏の港町です。

左下はナルヴィクに到着して昼食をとったレストランです。右下はレストランの内部ですが、大きな窓を通してナルヴィクの街が良く見えました。

 

昼食は鶏肉がたっぷり入った前菜、ビーフステーキ、ケーキでした。

ナルヴィクの街並みです。スウェーデンのキールナから運んできた鉄鉱石はここの港で船に積み替えられます。

昼食後また100Kmほどバスを走らせて、港町ハシュタへ向かいました。

途中の風景を動画に収めました。

バスがハシュタの街に入ってきて、建物が次第に増えてきました。

ハシュタ

ハシュタはロフォーテン諸島への玄関口として人気の自然豊かな北極圏の港町です。人口約2.5万人で北部サーミ語を公用語とする自治体です。宿泊したホテルはハシュタ中心部にあるモダンなスカンディック・ハシュタです。

下の写真はハシュタの港街の様子です。街中を散策しましたがモダンな建物が多いことに驚かされました。

夕食はホテルでいただきました。前菜のスープ、鶏のもも肉、デザートでした。

旅程4日目のお昼頃から夕方まではほとんどバスの移動の時間となりました。

この旅行記は「北極圏の絶景ロフォーテン諸島への旅(3)」へ続きます。

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