はじめに
3月上旬に8日間のタスマニアの大自然に触れるツアーに参加しました。この記事では旅程4日目のマウントフィールド国立公園、ワイングラスベイ展望台、ビチェノでのペンギン見学などの観光、旅程5日目のクレイドルマウンテンへの移動、シェフィールドの街の散策、クレイドルマウンテン到着後のウォンバットとの遭遇、キングビリーウォーキングコースでの散策などの様子をご紹介します。
旅程4日目
朝ホテルを出発して、約1時間20分かけてタスマニアで最も古いマウントフィールド国立公園へ行きました。
途中バスの車窓から遠くの方にタスマニアで有名なMONA美術館が見えていました。下の動画の一番最後の場面で見えてくる海の向こう側の小高い丘の上にある白と赤のツートンカラーの建物です。
MONAは、カジノの賭けを数学的に分析しギャンブラーとして巨万の富を築いたディビッド・ウォルシュ氏が私財を投じて2011年に建設した現代美術館です。彼は自閉症でとびぬけた記憶力を持っていたと言われています。
「破壊的な大人のディズニーランド」と言われているように普通の美術館とは全く違う刺激的なコレクションが展示されているそうです。
バスがさらに進むと雄大な風景が広がっていたので動画に収めました。
マウントフィールド国立公園に到着後まずビジターセンターに立ち寄りました(下の写真)。
ビジターセンターの中にはこの公園に関する色々な展示がありました。
公園内にあるラッセル滝を目指して、ユーカリとシダの森の中のウォーキングを楽しみました。
ラッセル滝までのウォーキング
下の写真は森の散策路入り口付近の風景です。
滝までのウォーキングでは下の写真のようにユーカリの木とシダがたくさん茂っていました。
ユーカリの木は巨木もいくつかありました。
散策の開始から撮影した動画を掲載します。
途中で見つけた野生のタスマニアン・パディメロン(カンガルーの仲間)です。毛の色は茶色ではなく濃い灰色です。
この時に撮影した動画も下に掲載します。このパディメロンはすぐには逃げませんでした。
約30分ほど歩いてラッセル滝に到着しました。当日は水量は少な目で段差も小さく迫力こそありませんが、森の中にひっそりと佇む繊細で趣のある滝という雰囲気でした。水量が多い時にはかなり豪快に水が流れ落ちて迫力もあるようです。
左下はラッセル滝の上に回り込んで崖を覗いた風景です。右下はついでに立ち寄った近くにあるホースシュー滝です。
下の写真もホースシュー滝です。少し周りの景色を入れてズームアウトして撮影しました。
上記の2つの滝のそばで撮った動画を掲載します。周りの雰囲気もよく分かると思います。
オーストラリアのユーカリとシダの森の中のウォーキングと言えば、1月に家族旅行で訪れたオーストラリア本土のメルボルン地区でも2度経験しました。
1度目は、グレートオーシャンロード1日観光ツアーの時に訪れたオトウェイ山脈にある古代の熱帯雨林のウォーキングで、2度目は蒸気機関車パッフィンビリー&ダンデノン 半日観光ツアーの時の朝一番の森の中のウォーキングです。
地理的にはオーストラリア大陸の南東にあるメルボルン地区とタスマニア島はとても距離が近く、太古からの生い立ちや気候的にもほぼ同等だったと考えられるので、そこにある森もほぼ同じような植生・景観を呈しているのだと思います。
1月のオーストラリア旅行のブログに掲載したユーカリとシダの森の写真や動画と見比べても見分けがつかないほど良く似ていることが分かります。それにしても上記の別々の3か所の森で、なぜユーカリとシダが常にセットで出てくるのかその植生が不思議です。
ラッセル滝の森のウォーキングを終えた後、約4時間かけて次の宿泊地であるビチェノへ行きました。途中で現地ガイドさんがお勧めするお洒落なレストランに立ち寄って昼食をとりました。
左下はサラダとキッシュ系のメイン、右下はデザートのチョコレートケーキとカフェラテです。どれもなかなか美味でした。
このレストランの裏側には小川が流れていました。良い雰囲気の場所でしたので写真に収めました。こんな場所にも時々カモノハシが出現することもあると聞いて驚きました。
バスでの移動の途中で美しい果樹園の風景が見られましたので動画でご紹介します。タスマニアではイチゴなどのベリー類、チェリー、アプリコットやアップルなどの果物の栽培が盛んに行われているそうです。
また休憩の時に近くで見かけた野鳥の短い動画を掲載します。この鳥はオーストラリアではよく見かけるマグパイ(カササギフエガラス)です。人を襲うこともあるそうなので要注意です。
さらに進むと綺麗な海が広がっていたので動画に撮りました。
ビチェノに向かう途中で、タスマニアの有名な景勝地であるフレシネ国立公園内のワイングラスベイ展望台に立ち寄りました。
ワイングラスベイ展望台
フレシネ国立公園にあるワイングラスベイが見下ろせる展望台へは徒歩で片道30~40分かかります。標高差が約170mありますのでちょっとした山登りのようなハイキングコースになっていました。
左下はワイングラスベイの案内の看板で、右下はその遊歩道の入り口付近です。
途中で見た海の風景です。こちら側からはワイングラスベイは見えませんが、これはこれで絶景だと思います。
遊歩道の周囲はごつごつとした岩も多く、下のように雨宿りができそうな面白い場所もありました。
散策開始から途中までの様子を動画に撮りましたので下に掲載します。
山のほぼ頂上にある展望台に着きました。そこから眺めたワイングラスのような美しい曲線を描くワイングラスベイの絶景です(下の写真)。ここは世界の10大ビーチの一つと言われていてタスマニアでは1,2を争うほどの人気の観光スポットになっています。この展望台から下のビーチまで歩いていくこともできるそうです。
散策の終わりあたりでようやく展望台へ到着する様子を動画で撮りました。
展望台でビーチと反対側を見るとまるでディズニーランドにあるかのような岩の塊が聳えていました。なお写真で分かるように展望台は立派な鉄製の柵で造られていますがこれはごく最近整備されたそうです。
下はワイングラスベイの左側方向の景色です。
展望台からの帰りに野生のワラビーを見つけました。毛の色が茶色なのでパディメロンではなくワラビーだと思います。
下りの様子を撮った動画を下に掲載します。散策路の周辺に大きな岩がごろごろと転がっているのが見えます。これらの岩はいわゆる「迷子石」なのでしょうか。カナダの北部などでよく見かけましたが、太古の昔に氷河に削り取られた岩塊が、氷河に乗って長い距離を運ばれて来て取り残された状態だと思われます。
ワイングラスベイを楽しんだ後は、またバスでビチェノへと向かいました。
夕方にはビチェノにあるホテル「ダイヤモンド・アイランド・リゾート」へ到着しました。夕食をとったあと、夜にペンギンの観察へ近くの浜辺に出かけました。
ペンギンの観察
浜辺に出る前にまず館内でペンギンについて詳しい説明がありました。
左下はペンギンが海から上がってきて砂浜を歩くのをペンギンには見えにくいという赤い光を当てて待ち構えていましたが、当日は残念ながら一匹も上がって来ませんでした。右下は、砂浜に置いてある巣箱や穴の中にいるであろうペンギンを見ている様子です。
穴と箱の中にいる野生のペンギンを撮影しました。
結局、当日の夜は巣箱と穴の中にいたペンギンを観察することで終わりになりました。後で話を聞くとこの時期は高い確率でペンギンが海から上がってくる様子が見られる場所だったそうです。
旅程5日目
朝ホテルを出発して、タスマニア第一の観光地・景勝地であるクレイドルマウンテンへと向かいました。
ペンギンが見られるという海岸
途中で、夜になると良くペンギンが見られるという海岸へ立ち寄りました。
自然の岩の広いテラスが続く景色の良い海岸です。まだ朝早くだったので軽く歩き回って体をほぐしました。ここらあたりで早朝ヨガをすると気持ちが良いだろうと思いました。
左下は押し寄せる波によって潮吹きが起きている様子です。右下は波打ち際にたくさん浮かんでいた海藻です。
バスはシェフィールドの街にも立ち寄りました。
壁画の街シェフィールド
シェフィールドはクレイドルマウンテンへの谷越え道に差し掛かる直前にあり、クレイドルマウンテンへ向かう多くの観光客が訪れます。しかし近年過疎化に悩まされていました。
その対策のために始まったのが壁画プロジェクトで、毎年4月には壁画フェスティバルが開催され画家や絵の愛好家、観光客が集まるようになり賑やかさを取り戻したそうです。
街のあちらこちらに壁画の作品が展示されていました。
クレイドルマウンテンまでの道のりで3本の動画を撮りました。
最初は比較的お洒落な家々が立ち並ぶ街並みの様子です。
次は草原の所々にユーカリの木が立ち並ぶ郊外の典型的な風景です。
最後はかなり殺伐とした荒れ地の風景です。特徴的なのはユーカリの木がたくさん立ち枯れしていることです。土壌や水の変化、寿命などで枯れてしまったユーカリは根が固くまた分解されにくいのでよくこのように立ち枯れの状態で長く残っているそうです。
バスはようやくクレイドルマウンテン国立公園に到着しました。
左下はビジターセンターの外観です。右下はビジターセンターの中に展示されていたクレイドル谷の地図です。
その後バスはホテル「ペッパーズ・クレイドル・マウンテン・ロッジに」へと向かいました。
ホテルの敷地の入り口付近には国立公園の看板(左下)とホテルの看板(右下)が立てられていました。左下の写真の看板にはこのクレイドルマウンテン国立公園の公式名称である「クレイドルマウンテン=セント・クレア湖国立公園」と表示されています。
下の写真はペッパーズ・クレイドル・マウンテン・ロッジの正面の様子です。このホテルに2泊しました。
ホテルのロビーは茶色に統一されていてとてもロッジ感が出ていました。暖炉があるので暖かくゆったりと過ごすことができます。
下の写真はホテルの庭の一角で見つけた野生のウォンバットです。数名の観光客に取り囲まれていましたが人を怖がる様子もなく、触ろうと思えば触れるほどでした。もちろん野生の動物を触ったり驚かせたりすることは禁止されています。
30数年前に初めてオーストラリアを訪れた時にお土産で可愛いウォンバットのぬいぐるみを買って帰ったので、本物をまじかで見ることができたことに感激しました。
ところで四角いサイコロのような糞をするのは世界でもこのウォンバットだけだと言われています。実際タスマニアで散策中に何度か石の上に四角い糞があるのを見かけました。動物の糞でそのような奇妙な形をしたものを見るのは初めてでした。
縄張りを表すために糞が転がりにくいようになっているとか、消化管と水分摂取の関係で四角になるのだとかいうような説が有力だそうです。
ホテルには午後早めに到着したので、すぐ近くから始まるキングビリーウォーキングコースで散策をしました。下の看板には色々なコースの案内(方角と所要時間)が出ていました。
森の中の散策路の周辺は苔むした木が茂っていて薄暗い趣のある景色になっていました。今にも何か野生の動物が出てきそうな雰囲気でした。
左下の古い木はかなりの巨木で、画面の右下にいる人の身長と比べるとその大きさがよく分かると思います。
この時のウォーキングの様子を動画に収めましたので掲載します。
まず、歩きはじめてすぐに2匹のパディメロンと遭遇した場面がある動画です。
次の動画は途中の休憩ポイントで周りの景色を撮影したものです。
下の写真では遠くにこの観光地のシンボルであるクレイドルマウンテンが聳えています。標高は1,545mでそれほど高くはありませんが大人気の山です。山頂部の形が揺りかご(クレイドル)を連想させることからこの名前が付けられたそうです。当日は残念ながら曇り空で薄っすらと靄がかかっていました。
右下は良く見かけるマウンテンロケットです。
下の写真はタスマニア西部の湿原に広く自生しているボタングラスです。実はこの旅行中にたびたび不思議だと感じていたのですが、川や湖の水が赤黒く染まっているのです。
この色は主にこのボタングラスの根から染み出たタンニンによるものだということです。ボタングラスの名前は、長い穂先にできる種がボタンのように見えるということや、昔の入植者がボタン代わりに使ったという話からその名が付いたと言われています。
散策路の終わり近くの場所に可愛い連続滝がありました。
キングビリーウォーキングコースでは幻想的な深い森の中の散策となりまるで自然と一体化したような感覚になりました。
ペッパーズ・クレイドル・マウンテン・ロッジからは数十分から数日かかるようなウォーキングコースなど色々あり、ここに数日留まって周辺をゆっくり観光するのもお勧めだと思いました。
この旅行記は「大自然の宝庫タスマニア旅行(3)」へ続きます。