はじめに
3月上旬に8日間のタスマニアの大自然に触れるツアーに参加しました。この記事では旅程1日目と2日目の日本からタスマニアへの飛行機での移動と、旅程3日目のタスマニア半島、リッチモンド、ホバートなどでの観光の様子をご紹介します。
観光内容をご紹介する前にここで少しタスマニアについて触れておきたいと思います。
タスマニアへの観光旅行
タスマニアと言えばタスマニアデビルが有名ですがタスマニアについてその他のことはほとんど知られていないようです。実際に場所さえ知らない人も多いです。
かなり前になりますが、タスマニアは空気がとても綺麗なので地球上で唯一雨水が飲めますということがテレビで紹介されていました。このように以前から色々なメディアでタスマニアのことが紹介されていたので、自分自身は一度は訪れてみたい場所だと思っていました。
ところで2月上旬にパタゴニアの14日間のツアーに参加しました。参加者の皆さんとの夕食の席で「3月にタスマニア旅行へ行きます」と話したら、一瞬席が静かになってしまいました。パタゴニアツアーに参加していた十数名の人たちは皆さん世界中の色々な国々をたくさん旅行してきた人ばかりでしたが、タスマニア旅行の経験も予定もない様子でした。
そのうち一人の男性が「タスマニアには何があるのですか?」と私に尋ねました。私は大自然が美しいだろうということや雨水が飲めることなどを話しましたが、皆さんタスマニアには特に関心はないようでこの話題で盛り上がることはありませんでした。
タスマニアの魅力
タスマニアはオーストラリア大陸の南東に位置する島で広さは北海道より少し小さいくらいです。この広大な土地に人口は54万人くらいですのでかなりのんびりした場所になっています。島の約37%が国立公園や自然保護区になっていてまさに大自然が残っています。
実際に今回タスマニアへ観光に行って分かったことを挙げておきたいと思います。
第一に、野生の珍しい動物を動物園ではなくまさに自然の状態のままで観察できるということです。ウォンバット、パディメロン、カンガルー、ワラビー、ペンギン、カモノハシ、タスマニアデビルなどをすぐ目の前で見ることができます。ウォンバットなどは人間を全く警戒しておらず、体を触ろうと思えば触れるほどでした。野生の珍しい動物が好きな人にとっては感動的な体験ができる貴重な場所です。
またタスマニア固有の植物も豊富に自生していて可愛い、美しい花を探してタスマニアを訪れるのも貴重な経験になると思います。
散策中に野生の動物を見つけるとすぐに観光客が集まってきますが、動物が怯えて逃げないように皆息を殺して静かに見たり写真に収めたりしていました。
第二に、ユーカリ、南極ブナなどの固有の植物が自生する林や森、草原や山々、湖や川など独特の美しい手つかずの大自然が広がっていて自然の中をトレッキング・ハイキングしたりすることが好きな人には特にお勧めできる場所です。自分自身も移動中の観光バスの窓から見える様々な珍しい風景を十分に楽しむことができました。
第三に、タスマニア最大の街であるホバートをはじめ、家並みが綺麗で美しい街がたくさんあります。特にホバートではイギリスのビクトリア時代からの歴史あるレンガ・石造りの建物も多くあり、落ち着いた街の雰囲気を醸し出しています。ここを訪れる前はタスマニアは田舎のイメージがありましたが、比較的広くよく整備された庭を有する大きめのお洒落な立派な家が多いのに驚きました。
第四に、ムール貝やタスマニアロブスターなど新鮮な海鮮、放牧で育てられた牛のタスマニアンビーフ、チーズ、チョコレート、高品質ワインなどグルメももちろん楽しめます。
さて今回のツアーは8日間でしたがタスマニアの主な観光スポットは回れたと思っています。今回の旅行のルートを下にGoogle地図で示しておきます。青色が航空機の移動で、オレンジ色が観光バスでの移動を表しています。
成田空港からカンタス航空でまずオーストラリア本土の南にある都市メルボルンへ行きました。メルボルンに到着後国内線に乗り換えてタスマニアの州都であるホバートへ行きました。ホバートには2泊してタスマン半島やマウントフィールド国立公園などを観光しました。
その後バスで約4時間かけて東側のビチェノという街へ移動しました。ビチェノに1泊して、次の日に約2時間かけてタスマニア第一の観光地・景勝地であるクレイドルマウンテンへ行きました。
クレイドルマウンテンには2泊して、ダヴ湖ハイキングやウールマーズエステートなどを観光し、その後ロンセストン空港へ行って、国内線でまたメルボルンへ戻ってきました。メルボルンに1泊した次の日の早朝にメルボルン空港から成田空港へ帰って来ました。
旅程1日目
成田発のカンタス航空のフライトは夜でしたので夕食後は席でほとんど寝て過ごしました。下は座席の様子です。カンタス航空の場合は席の左側下に手荷物がすっぽりと入るスペースがあり、離着陸時でもそのままでOKですのでいつも便利に使わせてもらっています。
旅程2日目
メルボルン空港には朝到着しました。国内線への乗り換えでなにげなく駐機場に止まっているカンタス航空の飛行機を見ていたら尾翼に書かれているカンガルーの絵柄が違うものがあることに気が付きました(下の写真)。
向こう側の2機はカンガルーに小さな手が描かれていますが、一番手前の機体には手が描かれてはいません。ネットで調べてみるとカンタス航空は過去にロゴを何度か変えてきていて、手がないカンガルーの絵柄が最新のロゴだということが分かりました。
メルボルン空港からは国内線でタスマニアの南に位置する州都ホバートまで約1時間20分で到着しました。ホバートはオーストラリアではシドニーに次いで2番目に古い都市だそうです。ここは天然の良港があることで有名で、また主に鯨油の採集を目的として行っていた捕鯨の南太平洋の基地として急速に発展した街です。
左下はホバート空港の到着ロビーの様子です。右下は2連泊したホテル「レストポイント」を正面から見た姿です。この建物がなんとホバートで最も高さが高いそうです。このホテルにはカジノが併設されていました。
ここでホバートの空港からホテルへ行くまでの道中にバスの窓から撮影した風景の動画を4本掲載します。バスから見える風景を見ているとタスマニアがどのような場所かが良く実感できると思います。
まずは空港を出てすぐの場所の風景です。なぜか広い空き地が目立っています。
次は郊外の風景です。丘の上にはたくさんの住宅が点在しています。
港町のホバートが見え始めた頃の海の美しい風景(後半)です。長い橋を渡って行きました。
ホバートの街中の比較的賑やかな風景です。イギリス統治時代のレンガ・石造りの建物も残っています。
下の写真はホテルの部屋から見た風景です。海岸と小高い丘に点在する住宅のゆったりとした美しい風景は以前ハワイ島で宿泊したホテル「ロイヤル・コナ・リゾート」の窓からの風景にとても似ている気がしました。
当日の夕食はホテルの近くのシーフードレストラン「ブルー・アイ・シーフード」でいただきました。左下はレストランの入り口で右下は部屋の内部の様子です。部屋には巨大魚の魚拓が壁に飾られていました。タスマニアでは豪快なフィッシングも楽しめるようです。
左下はカキのグリル料理ですが、もちろん生ガキも選択できます。真ん中はメインのシーフードミックスの料理、右下は2種類のアイスクリームのデザートです。海に囲まれて海鮮が豊富なタスマニアらしくどれもとても美味でした。
左下は、ホテルの食堂の脇にあるウッドデッキから見た朝の港の風景で、右下は庭から見た夕日です。
旅程3日目
朝ホバートのホテルをバスで出発してタスマン半島の観光へ向かいました。下の写真はタスマニア島の南にあるタスマン半島の案内図です。半島の北部を見ると半島ではなくて海を隔てた島のように見えますがごく細い陸地でつながっています。
次の動画はタスマン半島の観光スポットへ向かう途中のバスの窓から見えた風景です。ユーカリの林の中に住居が点在しているような景色が続きます。
海岸近くに到着すると林の中の遊歩道を少し歩いて美しい海岸線が見える展望台へいきました(下の写真)。
この時の林の中の散策と展望台に到着するときの様子を動画でご紹介します。
見晴らしの良い海岸線の風景を楽しんだ後、海岸にあるタスマンアーチとデビルズキッチンを訪れました。
タスマンアーチ
海岸線の断崖絶壁に大きな穴が開いていました。なかなか大規模な自然のアーチができていました。
左下の看板では、波の浸食によって岩が削られてアーチ状になっていく様子が説明されていました。
デビルズキッチン
谷の下の方を覗くと平らなテーブル状の岩が見えました。
左下は波に岩が削られてデビルズキッチンができる様子が説明されている看板です。
下の写真は、ツアーグループの人たちがデビルズキッチンを見学している様子です。ほかの観光客は見かけずゆっくりと見学や散策ができました。展望台の周囲には色々な種類のユーカリの木が生えていました。
ここの林の中の遊歩道では小鳥を見かけたり、また耳に心地よい小鳥のさえずりを聞いたりしながらゆっくりと散策を楽しむことができました。
次にバスで向かったのはポートアーサー流刑場跡です。
世界遺産ポートアーサー流刑場跡
ポートアーサー流刑場は1830年代から1877年まで使われて、12,000人以上の囚人たちがここで刑に服し、船、家具、靴、衣服、レンガなどを生産していたといわれています。
ポートアーサー流刑場跡の入り口の建物はとてもシンプルな色と造りになっていました(下の写真)。
入り口のそばには左下のようにオーストラリアにある11か所の流刑場跡の名札が並べられていました。よく知られているように昔イギリス本土から流刑者がたくさんオーストラリアへ送られていました。
建物の内部には右下の写真のようにそれぞれの流刑場跡がどこにあるかを示すパネルがありました。地図を見るとこの小さなタスマニアの島には5か所もあることが分かります。海に囲まれた小さな島なので脱走しにくいということが理由なのでしょうか。
下はポートアーサー流刑場跡で最も大きな建物の遠景写真です。
重犯罪者の収容施設の内部が公開されていました。右下は放射状に造られた廊下の一つです。放射状に造ったのは真ん中からすべての廊下が監視できるからだそうです。現在の世界の収容所でも同じような放射状の廊下が多く見られます。
左下の写真は鉄格子から見たとても狭い運動場(運動区画)です。右下は囚人の部屋でとても簡素な造りになっていました。
左下は収容所内にある教会です。囚人たちは毎週一回説教を聞いてお祈りができるようになっていたそうです。囚人は顔を包帯で覆われていてお互いに全く認識・コミュニケーションができないようになっていたようです。
この収容所は海に近く、囚人たちは肉体労働として主に近くの造船所で木製の船を建造していたそうです。
下の写真は私たちも乗ってクルージングを楽しんだ近くの海域を巡る観光船です。この近くには造船所のほか、小さな島に未成年の囚人用の収容所もあったとのことです。
下の写真は、1996年に銃の乱射事件がありたくさんの観光客が犠牲になったカフェの跡です。この事件をきっかけにしてオーストラリア政府は厳しい銃規制を始めました。日本より厳しい罰則内容になっています。
左下は本館にある独房の内部です。かなり狭い空間です。右下の写真の左側の壁は男性の囚人の小用トイレだそうです。
左下は資料館に展示されていたこの流刑場跡のジオラマです。写真の右側の芝生や林の緑豊かな地域には看守や関係者たちが住んでいたようです。右下は囚人を拘束していた用具などが展示されている様子です。展示の部屋には本物の鉄の鎖の足かせが床に置いてあって、見学者は自由に自分の足首にセットして囚人の気分を味わえるようになっていました。
ここの流刑場でも脱獄の例がいくつかあったそうです。中には脱獄後に木造の船を盗んで大海を渡り、なんと日本までたどり着いた囚人もいたそうです。しかし日本は当時外国人を受け入れなかったため日本へは上陸できずまた船で他へ逃げ去ったとのことです。
ワインの試飲と昼食
ポートアーサー流刑場跡を後にして近くのワイナリーへ行きました。そこではワインの試飲を楽しみ、引き続きその場所で昼食をいただきました。タスマニアのワインは近年、高品質なワインとして注目を集めるようになっているそうです。冷涼な海洋性気候の中でピノ・ノワールやシャルドネが多く造られていて、繊細な酸味が特徴とのことです。
昼食のメインはとてもおいしいムール貝のパスタでした(左下)。ムール貝はサイズも大きく食べ甲斐がありました。
下の2枚の写真はレストランのデッキから眺めた風景です。ブドウ畑や海が見えていました。お天気も良く、風が爽やかでとても気持ちの良い場所でした。
昼食の後はバスでリッチモンドまで行きました。途中でオーストラリア4大マーケットの一つであるコールズに立ち寄り、皆さんそこでお土産などを買い込んでいました。
リッチモンド市内観光
リッチモンドは200年前のオーストラリア入植当時の古い建物が残る静かな街です。まるでイギリスの田園都市の一つのような雰囲気がただよっていました。
下はオーストラリア最古のカトリック教会であるセントジョン・カトリック教会です。規模はあまり大きくはありませんが石造りの美しい建物です。
下は教会の内部の様子です。とても簡素ですが明るい造りになっていました。
街をゆっくりと散策しながらもう一つの見どころであるリッチモンド橋の見学へ行きました(下の写真)。街の名前がつけられているリッチモンド橋はオーストラリア現存の最古の石橋です。オーストラリアの国立遺産リストにも加えられているそうです。
リッチモンドは、1823年にコール川にかけられたこの橋のおかげで、タスマニア島の東海岸と流刑場があるポートアーサーとを結ぶ道が開かれ繁栄したそうです。
この橋もそうですが、リッチモンドの街全体の開拓・開発も、イギリスから連れてこられた囚人たちの労働力を大いに活用したとのことです。
街の歴史ある貴重なシンボルである橋ということを思いながら眺めると、いっそう逞しくかつ美しく見えてきます。周辺の芝生や緑は市民の憩いの場になっているようでした。
リッチモンドを観光後は、ホバートへ戻ってきました。
途中でタスマニアで有名なチョコレート屋さん「Coal River Farm」に立ち寄りました。下は入り口とそこにあったウエルカムの看板です。お土産で日本へ持ち帰る場合は溶けないような配慮が必要です。
チョコレートは一つひとつ手作りだそうです。
タスマニアで最も有名で歴史ある市場「サマランカマーケット」は毎週土曜日にサマランカプレースで開催されます。訪れた時は日曜日でしたのでマーケットは開催されていませんでした。
ホテルへ戻ってきた後に夕食をいただきました。
夕食はスープ、タスマニアンビーフと三種の豪華なデザートでした。タスマニアンビーフは放牧で育てられた牛の肉を使っているので、味は良かったのですがそれなりに歯ごたえがあるものでした。
盛りだくさんの色々な場所を訪れた旅程3日目の観光はこれですべて終了しました。
この旅行記は「大自然の宝庫タスマニア旅行(2)」へ続きます。