はじめに
今年の初めに暇なときにWEBで世界各地の絶景をなんとなく探していると、「世界で最も美しい場所・島・村」としてノルウェー北部の北極圏に位置するロフォーテン諸島が紹介されていた記事を見つけました。
ノルウェーには過去に一度観光で訪れていましたが、当時はロフォーテン諸島のことは全く聞き及んでいませんでした。今でもまだ日本人を含め外国人観光客にはほとんど知られていない神秘の場所だということで絶景に関心がある自分としては是非訪れてみたいと思い早々に日本からのツアーに申し込みました。
観光で訪れるには、紅葉がとても綺麗でかつオーロラも楽しめるという9月がベストだということでいくつかのツアー会社の催行時期と内容を比較検討し今回の9月下旬のツアーに決めました。
オーロラは昨年9月にカナダのイエローナイフですでにレベル5のものを見る非常な幸運に恵まれていたので、とにかく紅葉が彩を添えた絶景を見ることを最も楽しみにしていました。
今回参加したツアー
9月下旬出発の8泊10日のツアーに参加しました。参加者は10名をきっていたので参加者の皆さんととても和気あいあいと旅を続けることができました。
今回のツアーでは、前半にスウェーデンの北にある自然豊かなラップランドを訪れることと、ノルウェーのロフォーテン諸島ではロルブーと呼ばれる特徴的なコテージに宿泊することが魅力のポイントになっていました。
旅行中のお天気は雨、晴れ、曇りそして晴れとなりましたが、各観光地で、特にフィヨルド地域では期待していた以上の絶景を堪能することができたと思います。
旅程概要
訪れた場所を下のGoogle地図に示しました。旅程の前半はスウェーデンの北部で後半はノルウェーの北部です。青色は航空機のルート、オレンジ色は観光バスのルートで、宿泊地は四角で囲み、また観光スポットは黒字で示しています。

羽田からまずスカンジナビア航空(SAS)にてスウェーデンのストックホルムへ行き空港近くに一泊し、次の日に国内線でキールナに移動しました。
自然豊かなラップランドの生活や文化を見学した後、バスでナビスコ国立公園へ行きハイキングなどを楽しみました。その後国境を越えてノルウェイーのナルビックへ行き、港町ハシュタへ向かいました。ハシュタに宿泊後ロフォーテン諸島へ入り、へニングスバーを観光した後に観光の拠点としてスヴォルヴァーへ移動し宿泊しました。
スヴォルヴァーでの1日目は北欧のアルプスロフォーテン諸島のナショナル・ツーリスト・ルートをドライブし、レーヌと最西端の村オーを観光してスヴォルヴァーへ戻って宿泊しました。
スヴォルヴァー滞在2日目はトロルフィヨルドでボートツアーを楽しみました。次の日は朝空港へ向かい、ボードー乗り継ぎでオスロへ飛びました。オスロ市内観光の後、空港付近で宿泊し、翌日スカンジナビア航空でコペンハーゲン経由で羽田まで帰って来ました。
今回の旅行では、ハシュタ出発以降は期待通りバスの両側はフィヨルドの絶景の連続で車窓の風景を見るのに忙しい状況が続きました。湖のように波が静かなフィヨルドの海面から直接切り立った山々が連なる風景はまさに海のアルプスでした。
旅程1日目
朝羽田に集合した後、提携しているANAのラウンジで朝食と飲み物を楽しみました。そしてお昼頃にスカンジナビア航空でコペンハーゲンへ向けて羽田を飛び立ちました。コペンハーゲン空港では乗り継ぎの時間を利用していつものように空港ビル内を7,000歩程度ウォーキングしました。長時間飛行機に乗る場合にはフルフラットベッド仕様でもやはり血行が滞るのでウォーキングは重要だと考えています。
下はコペンハーゲン空港での乗り継ぎ時によく利用するウォーキングコースの内で最も人が少ないエリアの写真です。乗り場A25~A34への素敵なデザインの直線通路です。いつもめったに人が通らないので人を気にすることなく気楽に歩けるお気に入りの場所です。

コペンハーゲンで乗り換えてストックホルムへ行きました。ストックホルムでは空港そばの近代的なクラリオンホテルに1泊しました。ストックホルムでは観光はなく、乗り継ぎのための宿泊でした。左下はホテルの外観で、右下はロビーの様子です。

次の日の朝にホテルの周辺を散策しましたが、下の写真のようなお洒落な花壇を見つけました。お天気も良くて気持ちの良い散歩ができました。

旅程2日目
朝ストックホルム空港から同じスウェーデンにあるキールナまで飛びました。左下は飛行機の窓から見た湖がたくさんある場所の風景です。右下はキールナ空港の小規模な建物です。

キールナ空港からバスで最初の観光スポットがあるユッカスヤルヴィまで行きました。
空港から出てすぐのあたりの車窓からの風景を動画に収めました。ほとんど何もない原野が広がっていました。紅葉も少し見られました。
ユッカスヤルヴィに到着して街並みを撮影しました。赤い壁に白い縁取りの窓やドアが良く映えて日本などの国の家々と比べてとても可愛いと思いました。
サーミ野外博物館
サーミ野外博物館ではラップランドの自然豊かな生活・文化に触れることができます。
ラップランドはスカンディナヴィア半島北部の北極圏の地域のことで、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアにまたがり、昔から唯一の原住民であるサーミが住んでいてトナカイ(Reindeer)の放牧や漁業で生活していたそうです。
左下の写真はサーミ野外博物館そばにあった教会の建物です。右下は博物館の入り口です。

まず最初にとてもウッディなレストランでサーミ人が良く食べているトナカイの焼き肉の昼食をいただきました。真ん中にある薪の火がとても良い暖かな雰囲気を醸し出していました。

下の動画はサーミの人がナイフを上手に使いながら肉を調理してくれている場面です。
左下は出来上がったトナカイ料理です。初めての素朴なトナカイの肉でしたが赤いリンゴンベリーのジャムを付けて、ナン、ベリージュースと一緒に食べてとても美味しかったです。このような珍しい環境で興味ある体験ができるのが旅の魅力です。右下はサーミの人が腰の素敵なデザインのベルトにぶら下げていたご自慢のナイフの様子です。

サーミの人々は自然に溶け込んで生活しているので色々な用途ごとに自分のナイフを取り揃えているとのことです。ナイフの愛好家にはたまらない魅力があると思います。

サーミの生活用品などが展示されていました。

左下はサーミの人がトナカイのそりを連ねて移動している風景の写真です。右は野外博物館に再現されていた複数台連ねたトナカイのそりです。

下の写真は5~8万人いると言われているサーミの人々の居住分布図(色付けされている部分)です。それぞれ方言があるようです。

サーミの人々の民族衣装です。実は三十数年前にノルウェーのトロムソを訪れた時に街中で民族衣装を着たサーミの人に偶然出会いました。今回の旅行では残念ながらこのような民族衣装を着た人には出会いませんでした。

下の写真は昔のサーミの人々の移動用住居(左下)と固定住居(右下)です。住居はとてもワイルドで素朴な造りでした。

下の写真は食べ物を保管しておいた棚や小屋です。小動物や湿気を避けるために高床式になっています。

左下は羊の小屋で右下は昔から使われてきた可愛い色柄の教会です。

この野外博物館での人気のアクティビティはここの牧場で飼っているトナカイの餌やりの体験です。係の人がトナカイの最も好きな食べ物である苔を準備してくれました。
下の動画に今回の餌やりの様子が写っています。大柄のトナカイが近寄ってきて餌をねだるので皆少し怖がっているようでした。
なおこの苔は自然界では木の肌や地面に繁殖しているようです。
サーミの博物館を後にして次は氷でできた幻想的なホテルであるアイスホテル365へ向かいました。
アイスホテル
アイスホテルは以前TVで紹介されていたのでその存在は知っていました。
このホテルは、毎年12月~4月の間ここに設置され、建物の壁、内装やベット、テーブル、イスなどの備品がすべて氷で造られたホテルです。春になって暖かくなると氷は全て溶けてそばのトルネ川に溶けだしていくそうです。
敷地内には毎年氷の部屋がたくさん作られ、壁はトルネ川の氷を切り出したブロックで作られています。ホテル内部は-5℃以下に維持されているそうです。毎年作り変えられる氷の部屋は、世界中からアーティストが招かれてそれぞれ独特な内装を競っています。
さすがに部屋が寒いのでベッドでは毛皮を敷いた上に寝袋に入って寝るそうです。また氷の部屋は隣にサウナ部屋が設置されているので寒くなったらすぐサウナで暖をとれるようになっていました。係の人に聞くとホテルは毎年大人気で宿泊料は一泊約3~6万円のようです。
サウナが好きな人にとっては一度は泊まってみたいホテルではないかと思いました。
今回私たちが訪れたのは9月でしたのでまだこの冬季限定のホテルは作られてはいませんでしたが、2016年に一年中楽しめるICEHOTEL365という施設がオープンしていたのでそちらの方を見学することができました。
左下はアイスホテルの敷地の入り口にアーチです。右下は一年中楽しめるアイスホテル365の入り口です。

左下はアイスホテル365の入り口にある看板です。右下はホテル内の廊下の写真です。この廊下の両側に色々な部屋が作られていました。

最初の部屋は宇宙をイメージした内装になっていました。

恐竜のような動物の彫刻もありました。

ある部屋のベッドの様子です。厚いマットレスと毛皮が敷かれていました。

各部屋はそれぞれの担当のアーティストによって芸術的にデコレーションされていました。色々と見比べると面白いと思います。

ホテルの中は-5度以下に保たれていて寒いので、施設で見学用の防寒ジャケットを借りることもできますが、短時間であれば着ている服装のまま入っても大丈夫でした。もちろん足元の床も氷ですので歩行には注意が必要です。
アイスホテル365の直ぐそばには氷を切り出しているトルネ川が流れていました。写真の画面左側に写っている白い壁はアイスホテル365の外壁です。

左下はアイスホテルの敷地内の施設で、右下はトルネ川と向こう岸の風景です。周辺はこの施設以外は人家もなくとても静かでのどかな場所でした。

アイスホテル365を見学した後は、バスでさらに北上し、ノルウェーとの国境に近い地域に広がる自然豊かなアビスコ国立公園へ向かいました。
途中で車窓から見た風景です。一面の紅葉を見ることができました。
途中で休憩した場所に静寂に包まれた美しい湖がありました。波がない湖面に向こう側の山々が綺麗に反射していました。

この湖の周りも紅葉が進んでいました。

この湖の岸辺に立って周辺を見渡して撮影した動画です。
近くの林にはこのあたりで良く採れて食用になる赤いリンゴンベリーがたくさん自生していました。ジャムやジュースにして楽しむことができるそうです。

バスは、アビスコ国立公園付近にあるアビスコ・マウンテン・ロッジというホテルへ行きました。低層の木造のロッジ風ホテルでした(下の写真は翌朝撮影)。ここに連泊してアビスコ国立公園の観光を楽しみました。

その日の夕食は肉料理でホテルのレストランでいただきました。

この旅行記は「北極圏の絶景ロフォーテン諸島への旅(2)」へ続きます。