はじめに
6月中旬に8泊10日の行程でバスでアイスランドを一周しながら観光をするツアーに参加しました。この記事では旅程7日目のシンクヴェトリル国立公園、ゲイシールやストロックルの間欠泉、グトルフォスの滝、ブルーラグーンなどのゴールデンサークルの観光、旅程8日目のレイキャビック市内、パフィン観察クルーズなどの観光の様子をご紹介します。
旅程7日目
ホテルで朝食をいただいた後、まずシンクヴェトリル国立公園へ行きました。ここではアイスランドで最も大規模な地球の割れ目ギャウが観察できます。
下の写真は地球の割れ目ギャウで、東側(写真上側)がユーラシアプレートで西側(下側)が北アメリカプレートです。毎年数センチずつ引き裂かれているそうです。
右下は割れ目が最も広くなっている場所で遊歩道になっています。
下の写真で国旗のポールの横に人が集まっている場所が見えますが、ここが世界最古の議会である「アルシング(全島集会)」が930年に開催された場所です。集会は1798年まで続きアイスランド共和国樹立の宣言も1944年にこの地で行われたそうです。高い岩の壁を背にして声を遠くまで響かせたようです。
昔の集会の様子が描かれた絵がパネル展示されていました。
左下は昔罪人に対する様々な処刑が行われていた川だそうです。
この観光スポットで3本の動画を撮影しました。
最初の動画はギャウを撮影したものです。
次の動画は、高台の展望台から下の幅広いギャウへ降りていく様子です。
最後の動画はアルシング(全島集会)が行われていた場所から周囲を見渡した風景を撮影したものです。
シンクヴェトリル国立公園の観光を終えて次に向かったのは間欠泉で有名な地熱エリアです。
間欠泉
アイスランド南西部のハウカダール渓谷の地熱地帯には複数の間欠泉があります。世界ではアイスランドと米国のイエローストーンの間欠泉が有名です。
アイスランドではゲイシール間欠泉が最も有名で1万年前から活動していたと言われ、噴出が高さ70m程度にもなる巨大な間欠泉だったそうです。ただし残念ながら今は活動を停止しています
ゲイシール(Geysir)という言葉の由来は古ノルド語の動詞Geysa(噴出する)からきているそうです。また英語で間欠泉を意味するGeyser(ガイザー)はゲイシールが由来です。
現在はゲイシールの近くにあるストロックル間欠泉が定期的に20m~40mの噴出を続けています。
遊歩道を歩いて地熱エリアの高台まで行くと全体を見渡せる展望台があります。そこから眺望した風景が下の写真です。
左下は活動を休止しているゲイシール間欠泉で、右下は現在も活動中のストロックル間欠泉です。
エリアの中には活動していない間欠泉らしきもの(緩やかな噴出?)もいくつかあります。
地熱エリアでは4本の動画を撮影しました。
最初の動画は地熱エリアの中心へ向かって遊歩道を歩いていく様子です。
次は高台の展望台からエリア全体を眺望した動画です。
3本目は間欠泉というよりは常時ぼこぼことお湯が噴出しているような場所の様子です。
最後の動画は現在最も観光客の注目を集めているストロックル間欠泉が威勢よく噴出する様子です。間近で見ると思わず後ずさりしたくなるような迫力があります。5~10分おきに噴出する様です。
間欠泉の噴出を間近で見学した後は近くのレストランで昼食をいただきました。
左下はスープで、右下はメインの鶏のから揚げ(骨付き)のほぼ食べ放題でした。
昼食の後は、豪快なグトルフォスの滝の見学へ向かいました。
グトルフォスの滝
グトルフォスの滝は、アイスランド南部のゴールデンサークルを代表する二層からなる名瀑でアイスランド随一の規模を誇り、最も人気がある滝です。ラング氷河の溶けた水が流れるヴィータウ川にあります。
最大幅約70m、最大落差約45mの滝は段々畑のように流れ落ちる勇壮な眺めが魅力で、1段目の落差は約15m、2段目の落差は約30mです。
グトルフォスは「黄金の滝」という意味です。流れ落ちるときの水煙には晴れた日には虹がかかり黄金色に輝くことからこの名前がつけられたそうです。また夕日に照らされても黄金色に輝くと思われます。
この滝ではある少女の物語が語り継がれています。20世紀初頭にイギリスの企業がこの地域一帯に水力発電所を建設する計画を立てましたが、シグリットという少女が「もしもダム建設を強行するなら滝壺に身を投じる」と抗議して工事を撤回させたと言われています。
最初の展望台から眺望したグトルフォスの滝です。左側の遊歩道にいる人の大きさと比べるとそのスケールが分かります。
かなり近い位置からも滝を見学できます。凄まじい轟音を身体全体で受けて圧倒されます。
ここでは2本の動画を撮影しました。
最初は、第一の展望台まで歩いていく様子です。
次は一番奥の展望台で撮影した滝の風景です。上段の滝を間近で見ることができました。
圧巻のグトルフォスの滝を満喫した後は世界的に有名なブルーラグーンへと向かいました。
途中の風景を動画で撮りました。バスは最近溶岩が流れて被害を受けた生々しい場所を通過していきました。動画の後半ではブルーラグーンに隣接する地熱発電所も見えてきています。
ブルーラグーン
ブルーラグーンはアイスランドの首都レイキャビクから南西に約40kmのところにある巨大な温泉複合施設です。自然の温泉ではなく、隣接する地熱発電所がくみ上げた地熱海水を利用しています。
ここはアイスランドを代表する地熱温泉として世界的に知られていて、乳白色に輝く温泉水には豊富なミネラルが含まれており、美容効果も高いと評価されています。
元々地熱海水は240度以上ありますがそれを38度前後に調節しています。1987年から一般公開され、温泉に加えてサウナやレストラン、リラックススペース、ホテルなども併設されています。面積は約5000平方メートルで現在世界最大の露天温泉です。
下の写真は隣接する地熱発電所です。アイスランドは地熱発電で必要量の30%、水力発電で70%をまかなう再生可能エネルギー大国です。
下の写真はブルーラグーンの外側の風景でここで廃温水が一旦貯められているようです。
下はブルーラグーンの風景です。皆さん水着を着用して温泉を楽しんでいます。
ブルーラグーンでは1時間40分ほど温泉を楽しみました。チケットには一杯無料の飲み物が含まれていました。
場所により、温度や深さが少し違っていて、全般的にぬるいので、高温の温泉が供給されているいくつかの場所の近くでゆっくりと浸かりました。また人があまりいない場所では足元がぬるぬるになっていたので滑りやすいそのような場所は避けるようにしました。
温泉のおかげでこの日は夕方まで体がぽかぽかと温まっていました。
その後レイキャビックのホテルへ戻り夕食をいただきました。前菜のスープ、メインのローストビーフ、デザートのケーキでした。
旅程8日目
旅程8日目はいよいよアイスランド観光の最終日です。レイキャビック市内観光の後パフィン観察クルーズを楽しみました。
レイキャビック市内観光
左下の写真はレイキャヴィック北部の海沿いにある迎賓館ホフディ・ハウスです。1909年にフランス領事館として建築されましたが、1986年アメリカのレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長が冷戦終結に向けて行われた会談「レイキャヴィック会談」の場所となりました。内部は一般公開はされていません。
右下の写真は、レイキャビックのシンボルともいえるハットルグリムス教会で、高さ約74.5mの塔はアイスランドで最も高い建築物の一つです。教会の外装はアイスランド南部、スバルティフォスの滝にある玄武岩の柱状節理からインスピレーションを得てデザインされたそうです。教会前の銅像(写真右側)はレイフ・エリクソンでコロンブスより半世紀も早く西暦1000年頃に北アメリカを発見したバイキングです。
左下はハットルグリムス教会の内部です。右下は五千数百本のパイプからなる立派なパイプオルガンです。
左下は、1881年に建てられた国会議事堂です。議員の数が63名なのでこじんまりした簡素な造りになっています。右下は議事堂前の花壇で綺麗に手入れされていました。
左下は市民センターで、右下はその内部に置かれているアイスランド島のジオラマです。アイスランドの国土の約11%が氷河に覆われていることがよく分かります。
市内観光の後、パフィン観察クルーズを楽しむために港へ行きました。
パフィン観察クルーズ
パフィンの正式名はニシツノメドリです。体長30cmくらいの海鳥にしては小型の鳥で、ペンギンに似た姿で可愛い顔や滑稽な動作(飛ぶのがうまくない)で世界中の人々に愛されています。繁殖地は、ヨーロッパ北部やフェロー諸島、北極圏などですが、その中でもアイスランドは最大の繁殖地となっています。
普通は海洋で過ごすそうですが、春から夏にかけての繁殖期には島の断崖の上などに営巣し子育てをします。ぎざぎざがある特殊なくちばしで一度に50~60匹もの小魚をくわえることができるそうです。海の中50m程度の深さまで潜ることができて、海の中をまさに飛ぶように移動しながら魚をつかまえるそうです。
パフィンをよく観察していると、まず海面をすれすれに高速で飛行し、魚を見つけると海面に一度着水し、それから海に潜るという動作を行っているように見えました。
カツオドリのように空中から海面に向かって垂直に突進、衝突し10数メートル潜って魚を捕るというような荒業をすることもないので眼球を痛めて失明することもないだろうと思います。
さて港へ行くまでにバスの車窓からレイキャビックの街並みを動画に収めました。この辺りは各国の大使館が多く集まっているようです。
次はバスが港へ到着するときの様子です。
乗り込んだクルーズ船は下のような小型船でした。行先は港の直ぐそばなので特に揺れることもなくクルージングを楽しめました。
パフィンの観察クルーズでは、主に下のGoogle地図に示したように港の北にあるアークレイ島、エンゲイ島、ルンディ島の3島からその日のその時間帯に最もパフィンが居そうな島を2島選んで接近してくれるようです。
島にはたくさんのパフィンがいました。
パフィン観察クルーズの様子を動画に撮りましたので掲載します。
最初の動画はクルーズ船が港を出航していく様子です。遠くの街の風景にはハットルグリムス教会の上部が見えていました。
次は最初に立ち寄った島にいるパフィンの様子です。カモメと仲良く島をシェアしているようですが、カモメにパフィンが採ってきた小魚やヒナをとられてしまうこともあるようです。
2番目に立ち寄った島のパフィンの風景です。
パフィン観察クルーズを終えた後、港にある可愛いブルーの壁のレストランで昼食をとりました。
昼食は名物の手長エビ料理でした。前菜は手長エビ入りスープ、メインは手長エビの料理、デザートはパフェでした。今回のツアーの中で最も豪華で美味しい料理だったと思います。
これで今回のアイスランド大周遊10日間の観光はすべて終了です。
昼食後はバスでケフラヴィーク空港まで行きました。夕方にアイスランド航空でコペンハーゲンへ向けて飛び立ちました。
左下はケフラヴィーク空港の建物です。右下はコペンハーゲンで1泊したコンフォートホテルです。このホテルはまさにビジネスホテルという感じでした。コペンハーゲンでは乗り継ぎのための宿泊だけで観光はありませんでした。
旅程9日目
朝食後、ホテルから直接コペンハーゲン空港へ徒歩で行きました。お昼ごろ発のスカンジナビア航空に搭乗して旅程10日目の朝に羽田まで帰って来ました。
おわりに
今回のアイスランド大周遊の10日間の旅では、アイスランドの国道一号線を使って反時計回りにアイスランド島を一周し、各地の観光スポットを巡ってきました。世界的に有名なアイスランドの主な観光地はほぼすべて回ることができたと思っています。
アイスランドを実際に訪れてみていくつか分かったことがあります。
1.今回は5つの豪快で美しい滝を見学しましたが、それ以外にもたくさんの立派な滝がある
2.アイスランドはどこも黒ずんだ溶岩台地で覆われていて無機質で寂しい荒野が広がっていると思っていましたが、コケや草、特に紫のルピナスなど予想以上に彩が豊か
3.訪れた観光スポットだけでなく、実は移動中のバスの車窓から見たたくさんの風景の中には、素晴らしい絶景が数えきれないほどある
4.広大な氷原・氷河を有するアイスランドでは、氷河ハイキング、氷河洞窟・クレバス探検、氷河でのスノーモービル体験など他であまり聞かない珍しいアクティビティが盛んである
5.氷河の下に火山があるので火山が噴火するとその上の氷河の氷は急速に解け、ヨークルフロイプと呼ばれる壊滅的な威力を持つ洪水を発生させる
6.アイスランドは、地球の割れ目、火山、温泉、氷河、オーロラを観光資源・基軸としてもつユニークな国
7.水道のお湯は温泉で、水は天然水(超軟水)になっていて水をそのまま美味しく飲める
8.シーフードの料理がとても美味しい
アイスランドは行ってみると地球のダイナミズムを体感し感動できる奥の深い魅力のある国であることが良く分かりました。
近年海外からの観光客の数が増えているそうですが、自然環境保護とバランスをとりながら観光業が発展していけることを期待しています。