マレーシアに観光旅行(1)

はじめに

ロングステイという言葉はご存じかと思います。現在の住居をすべて整理して半永久的に移住するのではなく、現在の住居を残したまま数週間~数年単位で今とは違う場所・環境で生活をするということです。

もちろん日本国内の別の場所でのロングステイも考えられますが海外でのロングステイはすっかり住環境が変わるということでとても魅力的に感じられます。

一般財団法人ロングステイ財団によると2023年調査によるロングステイ希望国・地域のトップ10は、マレーシア、タイ、フィリピン、オーストラリア、インドネシア、ベトナム、台湾、ハワイ、ニュージーランド、カナダの順番になっているそうです。マレーシアはここ10数年継続してトップの圧倒的人気を誇っています。

今回のマレーシア旅行の目的は、このロングステイ(または移住)先として日本人に一番人気の場所がどのようなところかを一度見ておきたかったということです。また35年ほど前にペナン島で行われた会議に仕事で参加した経験があるものの当時は忙しくて観光は全くできなかったのでそのリベンジの意味もあります。

ロングステイ候補地としてのマレーシア

今回のマレーシア観光旅行を終えて個人としての感想を先に述べておきたいと思います。

よく言われているようにマレーシアは物価が安い(日本の1/3~1/5)、医療技術も高く設備も整っている、英語が通じる、一年を通じて暖かい、アパートやマンションの価格や賃料も安い、都市部では交通やインフラ、お店やレストランが整っている、多くの日本人が移住やロングステイしているので日本人コミュニティの活動が盛んであるなどの利点があります。また以前は長期滞在ビザの取得が他国よりも比較的容易だった点もプラスの要素でした。

しかし実際に現地に行ってわずか6日の滞在でも次のようなことが分かりました。

1.熱帯地方なので昼間はやはりかなり蒸し暑い。個人的な趣味である風景を見ながらの野外でのウォーキングを楽しむのは難しいと思います。

2.ホテルやレストランなどで働いている人はどうもインド系の人が多く話す英語が聞き取りにくい。たとえばアメリカ系、イギリス系、ドイツ系や韓国系の人が話す英語は聞き取りやすいと思いますが、インド系やフランス系などの人の英語はどうも少し苦手です。

3.物価が安いということですが、ハーゲンダッツアイスクリーム(小サイズ)はコンビニで1個約400円もしました。腕時計など輸入ブランド品は概して高いようです。マレー料理のローカルレストランは格安ですが本格的な和食や中華、洋食のレストランではやはり料金が高いようです。待たされる公立病院は安いですが、すぐに診てもらえる民間病院は料金が高いそうです。さらに個人的に大好きな乳製品も高めだと聞きました。

4.街は新しく綺麗で立派な建物がたくさん建っていますが、所々に廃屋が放置されていたり、信号機が少なく道路を横断するのに危険が伴う、花壇が少ないなど、たとえばヨーロッパのよく整備され洗練された、心地よく散策ができる街並みとは異なった雰囲気になっています。

5.今回の旅行ではマレー料理、中華料理、インド料理を食べる機会がありましたが、中華料理もマレー系にアレンジされているようで、中国旅行で各地で食べた美味の中華料理とは味が違っていました。あくまでも個人の好みの問題ですが全体的には味付けが今一つというところでした。

6.2020年から長期滞在ビザ(1年あたり累計90日以上)のハードルがかなり上がってしまった。海外で最低月約130万円以上の収入があること、また最低約3200万円の定期預金口座を持っていることなどの条件が課せられています。

上記のような理由から個人的にはマレーシアはロングステイ先候補としては優先度は低いと思っています。もちろん人により様々な感じ方があると思います。

確かにマレーシアでは大好きなトロピカルフルーツが格安で食べられますし、医療保険に加入するとか、暑さを避けてキャメロン・ハイランドなどの高地に住むとか、また滞在を観光ビザの範囲の90日以内に抑えるとか、いろいろと工夫をすればロングステイを楽しむこともできなくはないとは思っています。

ところで海外ロングステイでは日本をベースにときどき海外へ出かけるという形になります。昔テレビの司会者として大活躍した大橋巨泉さんが提唱していたのは、日本が夏の時は涼しいカナダへ行き、日本が冬の時は温暖なニュージーランドへ行くというやり方です。

現時点では自分個人としては、英語と多少の中国語がなんとかなりそうなので、美しい温暖な季節の春と秋は日本で過ごし、暑い夏にはカナダ西部(バンクーバー、バンフ、ジャスパーなど)かハワイ、また寒い冬にはニュージーランド(クイーンズタウンやオークランドなど)かハワイに行くというのが理想です。また春には中国の昆明や台湾の高雄に行くという選択肢もあるかと思います。これらの国々には観光ビザで1~3か月程度は気楽に滞在できるので特に問題はないと思います。

今回のマレーシア観光旅行

さて今回のマレーシア旅行はお手軽に4月上旬の5泊6日の団体ツアーに参加することにしました。参加人数は10名を切る少人数で観光中も機動的に動けました。

歴史薫る世界遺産の街「マラッカ」や「ペナン」、近代首都「クアラルンプール」、マレー新行政都市「プトラジャヤ」、マレーシア第3の都市「イポー」、マレーシアで最も美しいといわれるウブディアモスクがある「クアラカンサー」の6都市を巡る旅です。

夕方ANAの飛行機に乗って成田空港を出発し夜中にマレーシアのクアラルンプール国際空港へ到着しました。機内食は搭乗して1時間後頃に夕食が提供されました。和食か洋食(ビーフまたは魚)を選ぶことができ、洋食のビーフシチュー風のものを食べましたがとても美味でした。あとは映画を見たり座席をフラットベッドにして短時間の睡眠をとったりして約7時間のフライトを過ごしました。

クアラルンプール国際空港からは、観光バスでポー、ペナン、クアラカンサーを観光し、その後イポーからマレー鉄道に乗ってクアランプールに戻り、クアラルンプール、プトラジャヤ、マラッカを観光をして、最後にクアラルンプール国際空港へ行って、早朝発のANAの飛行機で成田空港へ帰ってきました。マレーシアは日本と時差がわずかに1時間しかないのでジェットラグもなくそれなりに快適な旅行でした。

下に今回の行程の地図を掲載します。青色の線は飛行機でオレンジ色の線は観光バス、紫色の線は鉄道での移動を表しています。

以下に日程に従って、各街の観光スポットを訪れた順にご紹介します。

1日目

クアラルンプール国際空港に夜中に到着しました。出口付近でマレーシア人の現地ガイドさんと合流しました。ガイドさんは4年間ほど日本に在住し日本語を学んだそうで、ときどき単語の発音やイントネーションが微妙に違っていましたが、概ね流ちょうな日本語を話していました。

その後観光バスで約1時間かけてペタリンジャヤにあるホテル「イースティン・クアラルンプール」(下の写真)へ向かいました。ホテル到着がすでに深夜3時頃だったので明日の観光に備えてすぐに寝床に入りました。

 2日目

下の写真は次の日の朝にホテルの窓から見た景色です。緑が多い静かな場所です。

朝早く観光バスに乗って最初の観光スポットである新王宮へ向かいました。

このマレーシア国王の王宮「イスタナ ネガラ」は、クアラルンプール中心部から車で約15分のところのJalan Dutaという地区にあり2011年に完成したばかりだそうです。

門の両側にはそれぞれ2名ずつ衛兵が配置されていました。自由に写真を撮っても大丈夫でした。

中には入れませんが、豪華な門の隙間から中を覗くと黄色いドームの屋根を持つ王宮の建物が遠くに見えました(下の写真)。ここでは王室行事や授与式、晩餐会などが開催されているとのことです。さぞや豪華な宮殿だと想像されますが遠すぎてよく分からないのが残念でした。

新王宮を見た後バスでイポーへ向かいました。

イポー観光 ー 旧市街

イポーはマレーシアのペラ州の州都でマレーシア第3の都市ですが「美食の街」や「アートの街」としても有名だそうです。ここではまず旧市街の散策を楽しみました。通りは意外にも歩いている人は少なく、もう使っていないような古い家も多く街は静かな雰囲気でした。下の4枚の写真のうち一番右下の写真は非常に派手な看板を掲げたお土産物屋さんですが地元の名物のお菓子などを売っていました。

 

下の3枚の写真はこの街で有名な壁絵(ウォールアート)です。左下の写真にあるように壁の絵に合わせて実物のリアカー(荷台がフロントにあるのでフロントカーでしょうか?)を半分に切ったものが接合されていました。

 

下の写真は錫鉱山での採掘や運び出しを描いたと思われる巨大な壁絵です。1877年にイポーとその周辺のキンタ渓谷で産出される錫の採掘ラッシュが始まってから街が発達し、20世紀初頭には国内最大の錫鉱山開発地区となったそうです。

下の写真はビクトリア調の彫刻が施された美しい時計台「バーチ記念時計台」です。英国初代駐在官J.W.W.バーチの追悼碑で1909年に建てられたそうです。

ペラ・トン(霹靂洞)

次にバスで向かったのは、イポー市の北6㎞に1926年に建設された中国寺院「ペラ・トン(霹靂洞)」です。イポー周辺にある石灰岩洞窟の中につくられた寺院の中でも最大級の規模だそうです。12.8mの金色の仏陀座像など40体を超える仏像や壁画が多数あり、荘厳で神秘的な空間になっています。また奥の方の洞窟の狭い階段を登って行くと岩山の頂上に出て周辺の風景を楽しむことができるそうです。

右下の写真は蒋介石が書いた文字だそうです。中華民国と何かの関係があったのだと思われます。

 

下の6枚の写真は安置されている仏像のごく一部です。暗い洞窟の中なのでちゃんとスポットライトで照らされていて荘厳なイメージを醸し出していました。

一番右上は黄金の四天王像です、また一番左下は黄金の千手観音像です。

下の写真は洞窟内の鍾乳石です。

左下の写真は何日も持つような巨大なお線香です。右下の写真は出口付近を洞窟内から見た風景です。なかなかシルエットが綺麗なので思わずシャッターを切りました。

この日の昼食はインド料理でした(下の写真)。4つある小皿の一番右の料理はかなり辛くほとんど残してしまいました。それ以外の料理はそれなりにおいしくいただきました。

 

昼食後は観光バスでペナンにあるペナンヒルへ行きました。途中でバスの窓から撮影した風景です。左下の写真ではまさに熱帯地方の森という様相を呈していました。また右下の写真では山の上までヤシの木が茂っているのが分かります。とにかくどこに行ってもヤシの木の森を見かけます。

 

70年ほど前まではゴム産業がマレーシアを代表する産業のひとつでしたが、ゴム農園に比べて生産性、収益性が高いために、1960年以降代わりに急速にアブラヤシ農園が広まってきました。アブラヤシからはパーム油を生産しています。今ではマレーシアはインドネシアに次いで世界第2位のパーム油生産国になっているとのことです。

ペナン観光 ー ペナンヒル観光

ペナンヒルはペナン島の中心付近にある標高約830mほどの高地です。18世紀後半の英国領時代に英国人たちの避暑地として開拓されたのが始まりで、バンガローなどの保養施設が建設され、1923年には最初の登山鉄道も開通したそうです。

左下の写真はペナンヒル頂上へのケーブルカー乗り場で、右下の写真は私たちが乗ったケーブルカーです。

頂上から見た夕日に照らされた街の風景です(下の写真)。

下の写真の中心付近にある背の高い丸いビルはペナンで最も背が高い建物「コムター」だそうです。1985年に完成した232m、65階建ての円柱形高層ビルで、最上階にはジョージタウンを一望できる展望台があるとのことです。

夕食はペナンヒルのレストランでマレー風の寄せ鍋をいただきました(下の写真)。分量的にかなりたっぷりと食材が準備されていました。ただしかまぼこ、ちくわなどの「練り物」が大量に出てきましたが、そのような加工品ではなく新鮮な魚の切り身などの方が良かったと思いました。

夕食後にはペナンヒルからの綺麗な夜景をしばし楽しみました。もちろんデング熱を媒介する蚊が出るかもしれないと思い、日本から持ってきた虫よけスプレーを手や足に吹きかけてきました。

この夜景は香港の有名なビクトリアピークからの夜景を少し彷彿とさせるものがありました。

夜景を鑑賞後観光バスで今日の宿泊ホテル「ゴールデンサンズ・リゾートペナン・バイ・シャングリラ」へと行きました(下の写真)。ここではうれしい2連泊になります。

下の写真のような中庭からすぐにビーチに繋がっていて、軽い散歩に最適でした。

これで2日目の観光は終了です。

この旅行記は「マレーシアに観光旅行(2)」へと続きます。

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