海外旅行回想録(24) ー ニュージーランド(後編)

はじめに

この記事のシリーズでは三十数年前に行った海外旅行を中心に特に思い出に残っている観光の回想録をご紹介しています。

この記事ではニュージーランドへの旅行(後編)としてクイーンズタウン、ミルフォードサウンド、テアナウ、ロトルア、オークランドでの旅の体験をご紹介します。

24. ニュージーランド(後編)

マウントクック国立公園で2~3日過ごした後は車でクイーンズタウンへ移動しました。

クイーンズタウン

クイーンズタウンは、イギリスのビクトリア女王が「暮すのにふさわしい美しい街」としてその名が付けられたといわれています。リマーカブル山脈とワカティプ湖を望む風光明媚な世界的なリゾートタウンです。個人的にも世界で最も好きな街の一つです。

手つかずの大自然や雄大な風景、スリリングな各種アクティビティなど色々と欲張りに楽しめることで多くの観光客を集めています。2018年に再度ニュージーランドの南島を訪れた時にはこの街に最も多く宿泊し南島の観光の拠点としました。

ワカティプ湖クルーズとウォルターピーク高原牧場見学

まず体験したアクティビティは、蒸気船TSSアーンスロー号でのワカティプ湖クルーズとウォルターピーク高原牧場の見学です。TSSアーンスロー号は建造後100年を越える歴史ある船で昔と変わらず石炭を燃料としています。船内ではエンジンルームや操縦室も見学できました。

上の写真は赤い煙突が特徴的な蒸気船アローン号が波止場に停泊している様子です。

上の写真はウォルターピーク高原牧場で毛が長い種類の牛を見学している様子です。その他羊やヤギなど色々な動物がいました。船が比較的大きいので一度のクルーズで50~60名ほどの観光客が乗ることができました。

牧場見学の後は各自散策や野外のテラス席があるコーヒーハウスでお茶とクッキーをいただきました。

乗馬体験

ニュージーランドでは乗馬体験が有名です。今回の旅行を計画しているときから初めての乗馬体験にとても期待していました。

   

当時10名くらいの観光客が牧場に集まってきていたので、いつも観光客を乗せている大人しい馬の数が足らなくなり、私が乗る馬は運悪く奥の方から連れてきたあまり観光乗馬に慣れていない馬があてがわれました。

馬の名前が何と「ロッキー」ということで最初に試し乗りをした時から多少暴れるような馬だったので初めての乗馬体験で先が思いやられるような気分でした。

上の写真のように参加者は一列になって森の中、草原、川べりなどの小道を進んでいきました。乗馬体験のガイドさんは1人だけで常に先頭を進んでいたので、列の途中や後ろの方の馬にはあまり目が届かない状況でした。

最初に馬の手綱操作やお腹のけり方など簡単に教えてもらいましたが、実際にはそのさじ加減が難しく、乗馬散策の途中で私の馬が勝手に列を離れて草を食べに行ったり、川べりを歩いているときに前の馬につられて急に川の水を飲みに行ったりというようなこともありました。

とにかく馬のコントロールには何度か苦労しましたが、冷や汗をかきながらも貴重な面白い体験になりました。

2018年にクイーンズタウンを再訪した時にも再度乗馬体験に挑戦しました。姉妹で経営している小さな牧場で乗馬体験をしましたが、この時は2回目なので少し慣れてきて、牧場内、外の道など歩きましたが、丘のスロープを上り下りしたり、また軽い速歩も初めてですが余裕をもって体験することができました。この時は馬のコントロールではなく、大きな鹿の傍を通るときだけ緊張する場面がありました。

ジェットボート

川や湖を猛スピードで疾走するジェットボートもニュージーランドならではの大人気のアクティビティです。

中でも最も人気があるのが、ショットオーバー川を谷の壁面スレスレに駆け抜けるスリルいっぱいのショットオーバー川ジェットボートです。

上の写真はショットオーバー川にあるジェットボート乗り場の様子です。川原に作られたコンテナのようなとても簡単な受付所でした。ここではまず誓約書にサインをし、安全のための説明を受けて、ジャンパーを着て、最後にライフジャケットをしっかりと身に付けてからボートに乗り込みました。

上の写真は少し小さくて分かりにくいですがショットオーバー川を疾走する赤い色のジェットボート(真ん中あたり)です。手つかずの雄大な大自然の中でこのようなエキサイティングな体験ができるのはまさにニュージーランドならではと感動しました。

上の写真は川の途中でボートがサプライズで突然360度ターンをした絶妙なタイミングで主催者側が撮影してくれた写真です。当時私たちは運転手の横の最前列に陣取っていましたので迫力、スリル共に満点でした。

さてクイーンズタウン滞在中に日本で予め調べておいた面白いレストランへ夕食を食べに行きました。

そのレストランは「ツリートップ」という名前で、客席のある部屋の真ん中に大木が生えているというなんともワイルドかつお洒落なレストランです。下の写真を見れば分かるように外から見ると大木が屋根から突き出ているのが分かります。

このレストランは美味しいシーフードが自慢でまたニュージーランド産ワインを各種取り揃えていることでも有名です。夕食には白ワインと共にシーフード料理をとても美味しくいただきました。

夕食を終えてデザートを食べていると突然お洒落な感じの中年の女性がひとり私たちのテーブルへやって来ました。

その女性はそのレストランのオーナーということで、わざわざご挨拶へ来てくれたようでした。その女性も私たちのテーブルの空いていた席にすぐに座りこんでとても気楽な雰囲気で色々とおしゃべりをしました。

ニュージーランド産のワインの話から始まって終始ニュージーランドがオーストラリアより生活するのにいかに良い国であるかを宣伝していました。私たちは日本の地理、文化、日常生活などの紹介をして何と30~40分ほどの長い時間会話を楽しみました。

私たちのようなごく普通の客に対して見せてくれたオーナーの人柄と魅力的なホスピタリティにとても感銘を受けました。この時の楽しかった会話の様子は数十年たった今でも鮮明に記憶に残っています。

ミルフォードサウンド

クイーンズタウンを早朝車で出発しミルフォードサウンド1日観光を楽しみました。

ミルフォードサウンドはノルウェーのフィヨルドと並んで世界的に有名なフィヨルドです。これはニュージーランド南島のタスマン海の海岸線に連なる大小14のフィヨルドのうちの一つです。ここでは太古の昔に氷河によってほぼ垂直に削り取られた山々が1,000m以上の高さで海面にそそり立つ絶景を堪能することができます。

クイーンズタウンから車でミルフォードサウンドに向かう途中にも何か所か大自然の観光スポットがあります。

      

左上の写真は苔むした原生林の林です。上の真ん中の写真はニュージーランドでよく見かけるシダでシルバー・ファーンです。これはニュージーランドのラグビー代表オールブラックスのシンボルになっています。右上の写真は林の中を流れる小川です。

ニュージーランドの林や森の中に足を踏み入れると上のような大自然の癒しを感じるような風景をよく見かけます。

上の写真は途中の観光スポットの道路によちよちと歩いて出てきた「ケア」という野生の鳥でオウムの仲間です。人間や自動車を怖がることはなく、かなり近づいても逃げることはありませんでした。

車で山を一つ越えるとそこには雄大な冬景色が広がっていました。車はこのような絶景の谷間を縫って進んで行きました。今回はニュージーランドは異常な暖冬で、平地で雪が積もっているのを見たのはこの谷間だけでした。

   

左上の写真は途中で休憩をとった時の付近の絶景ポイントです。右上の写真はミラーレイクという観光スポットで、多くの観光バスが立ち寄る場所になっています。周囲の美しい山々が湖にミラーのように反射して写ることから「ミラーレイク」と呼ばれているとのことです。

この場所には湖に沿って木製の遊歩道が整備されていてとても歩きやすくなっていました。

ミルフォードサウンドに到着すると早速遊覧船に乗り込みました。当日はシーズンオフのせいか遊覧船に乗る観光客はそれほど多くはなくすぐに船に乗り込むことができました。遊覧船ではランチボックスが提供されてゆっくりと昼食をとりながら断崖が聳える湾内を観光しました。

上の写真のように暖冬とはいえ冬なので山の上には白い雪が積もっていて特別な美しい風景を見ることができました。

ミルフォードサウンドはとても雨が多い地域で、年間7,000-8,000mmもの降水量があり一年の3分の2にあたる約230日は雨が降るという場所です。

Webで色々な人のミルフォードサウンドの旅行記を見るとびっくりするほど多くの人が雨の日にあたってしまっていることが分かります。

雨の日は日頃見られない無数の滝が方々に発生し湾内に流れ込み、その壮大な風景が楽しめるのでそれはそれで満足できるなどと良く言われていますが、私個人的にはやはり青い空、緑の山、紺碧の海の気持ちよい絶景を見る方が好きです。

私たちが訪れた時は上の写真のように幸運にも好天に恵まれました。また、2018年にミルフォードサウンドを再訪した時も薄曇りでしたが良いお天気でした。2回とも幸運に恵まれたようです。

ある大きな滝の下に遊覧船がかなり接近し、滝の水しぶきを浴びるというようなお遊びの時間もありました。

上の写真は岩の上で日向ぼっこをしているオットセイたちです。野生の動物としてはそのほか遊覧船の周りに集まるイルカもたくさん見ることができました。

ミルフォードサウンドでは、海から聳える断崖や滝、野生動物の観察など大自然を十分に満喫できる観光となりました。

元々の予定では遊覧船で絶景を楽しんだ後車でテアナウまで移動することになっていました。しかし今回の旅行ではマウントクックで遊覧飛行ができなかったので、その代わりに旅行会社に特別にお願いしてミルフォードサウンドの遊覧飛行をしてその後そのままテアナウまで飛行するように予定を変更してもらいました。個人旅行のような団体ツアーでしたのでこのようなわがままな要望が通ったのだと思います。

周辺を簡単に散策して近くの小さな飛行場へ行きました。1時間ほどは待たされましたがここから飛行機に乗り込みました。

搭乗したのは下の写真の4人乗りのセスナの小型機です。何故かパイロットが2名乗り込んできましたが、一人はまだ新米で操縦の訓練をしているようでした。

ミルフォードサウンドの遊覧飛行では空からの絶景を満喫しました。テアナウまでの飛行中に強風で何度か大きく揺れることもありましたが、空から見た途中の風景もとても素晴らしく空の散歩を十分に楽しみました。

上の写真は飛行機から撮影した地上の風景です。紺碧の湖、緑の原生林、白い川の中州など面白い造形美を見せてくれていました。ニュージーランドでは人口が少ないせいかこのように人工物が全くないような地域がたくさんあります。

テアナウ

夕方近くにテアナウに到着しました。下の写真はテアナウのホテルの近くにある静かなテアナウ湖の様子です。

テアナウではテアナウ湖の対岸にある神秘的な洞窟に土ボタルの観察へ行きました。南島ではここが最も大規模な土ボタルの生息地だそうです。

湖岸から遊覧船に乗って対岸まで行き、そこから洞窟へと入っていきました。洞窟内では小型のボートに乗って洞窟の奥まで進み、天井や壁からぶら下がっている青白く光る土ボタルを観察しました。星座を眺めているような神秘的な雰囲気でした。

その日はテアナウのロッジ風のお洒落なホテルに1泊しました。そこはかなりの田舎でホテルの庭に野生のハリネズミがでてくるようなのんびりとした場所でした。翌朝早めに空港に行って国内線で北島のロトルアまで移動しました。

ロトルア

ロトルアは北島の大地熱地帯に位置し、温泉や間欠泉、またマオリの伝統文化が息づく街として一大観光地になっています。

   

左上の写真はロトルア市街の様子です。右上の写真は北島で2番目に大きなロトルア湖です。

地熱地帯

ロトルアではまず有名な地熱地帯の風景を見に行きました。

   

   

   

上の写真はロトルアで有名な間欠泉です。

ロトルアの地熱地帯の風景はアメリカのイエローストーン国立公園や日本の別府にある地熱地獄と良く似ています。温泉プールもあったので少しだけ浸かりました。

マオリ

マオリの人達は約1,000年ほど前にポリネシアン地域(南太平洋諸島)から船に乗ってニュージーランドにやってきたそうで、イギリス人入植前の先住民族でした。現在は人口の約15%を占めていてそのほとんどの人が北島に住んでいるとのことです。

世界的に有名なラグビーのナショナルゲームで披露される「ハカ」はマオリの伝統的踊りです。

マオリの伝統文化を紹介している有名なマオリ村を見学しました。そこでは下の写真のようにマオリの人によるマオリショーも見学しました。

ロトルアのその他の観光スポットしては羊の毛刈りショーなども見学しました。

上の写真はロトルアで見た羊の毛刈りショーの様子です。比較的立派な建物に観客をたくさん集めての大々的なショーでした。

タラウェラ山

ロトルアで訪れた観光スポットの中で最も印象に残ったのはタラウェラ山です。

タラウェラ山は1886年6月10日に噴火した火山です。ロトルアの中心部から車で15分ほどのところにある標高約1,100mの山で噴火後の火山の風景を残した絶景のトレッキングポイントになっています。

当時は私たちの他にヨーロッパや東南アジアからの観光客と一緒に約8名ほどでガイドさんと一緒に山の麓までジープで移動した後にトレッキングを楽しみました。

上の写真を見て分かるように、足元は非常にラフで歩きにくく所々で砂利で足が滑るような場所もありましたが、別世界のような周囲の絶景を眺めながらのとても爽快なトレッキングを満喫しました。

実はこの時ちょっとした出来事がありました。

トレッキングの入り口から少し入ったところで向こうから帰ってくるトレッキングのグループに遭遇しました。

するとその中の地元の人だと思われる一人の男性が私たちのグループに向かって言いました。「新しい下着の替えをもっているから差し上げますよ。汗で下着が濡れているなら着替えるといいですよ。いかがですか?」

思いもかけない申し出にとても驚くとともにいたく感激しました。このような思いやりのある親切はいままで経験したことがありませんでした。そのときは皆大丈夫でしたので結局そのありがたい申し出は丁寧にお断りしました。

ロトルアでゆっくりと3~4日観光した後最後の訪問地であるオークランドへ車で向かいました。

上の写真はオークランドの街並みの様子です。ニュージーランドの最大の都市ですのでそれなりに高い建物も多くあります。この10日間ほど大自然の雄大な風景の中にいたので、立ち並ぶビルを見ると「再び都会に舞い戻ってきた」という少し残念な気分になりました。

オークランドでは市内観光を楽しみました。

   

左上の写真は1912年に建築された重厚な雰囲気のある歴史的なオークランド・フェリー・ターミナルです。このターミナルから出ているフェリーで周辺の島々に簡単に行くことができます。

右上の写真はオークランド戦争記念博物館で展示されているゼロ戦です。このゼロ戦はソロモン諸島に配備されていたものでゼロ戦のなかでも最も速い性能を誇っていた機種だそうです。

太平洋戦争の末期に爆撃で損傷しその後修理されていたところ終戦を迎えたために無傷のまま残されたということです。無傷のゼロ戦は世界的にも珍しいとのことです。

ところでオークランドの観光の現地ガイドさんが面白いことを教えてくれました。「オークランドのような大都市でも10~20分車で郊外に行けば700万円くらいで普通の一戸建ての家が買えますよ。」とのことです。当時の日本の東京などの戸建価格に比べれば夢のように安い価格に驚きました。

やはり人口が少なく平野も多い国は住宅環境が良いということでとてもうらやましく思いました。

オークランドの観光を終えた次の日にオークランド国際空港から日本へ向けて帰国の途につきました。

終わりに

今回は以前から憧れだったニュージーランドへ行けてとても満足でした。あえて稀な暖冬のシーズンオフを狙うことで夫婦2名だけの個人旅行のような団体ツアー旅行が偶然にも実現し、また色々な観光地でも混雑は全く見られませんでした。まさにゆとりを持ったとても気楽な悠々の観光ができました。

ニュージーランドは美しいピュアな大自然があらゆる場所に満ちていてその大自然に溶け込んだ色々なアクティビティも盛んです。

またニュージーランドの人々もとてもやさしく親切で、人懐っこく、さらにシーフード、肉料理、果物やワインなどもとても美味です。果物で最も感動したのはホテルの朝食で食べたキウイです。日本で売られているものより一回り大きめですが味が素晴らしくてまるで緑の羊羹を食べているかような柔らかさと甘さでした。

またニュージーランドはこの素晴らしい大自然を背景に数々の映画のロケにも使われてきました。たとえば、ナルニア国物語、ロード・オブ・ザ・リング、ホビット3部作、ラスト・サムライなどです。

このようなロケ地を巡る旅もまた一興ですし、2回の訪問では行けなかった大自然や秘境もまだまだ多く残されています。またニュージーランドは安全で生活しやすく、大自然の中で楽しむレジャーにも事欠かないことからロングステイ先としてもとても魅力のある国だと思います。

近いうちに機会を見つけてまた是非訪れたいと考えています。

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