海外旅行回想録(1) ー デンマーク

はじめに

今でも趣味として海外旅行を楽しみにしていますが、まだ海外ツーリズムがそれほど一般的になっていなかった今から30~40年ほど前にも頻繁に海外旅行に行っていました。個人旅行や団体ツアー旅行、さらに仕事で海外を訪れた時にも滞在中の休日をフル活用して近郊の観光を満喫しました。

この記事のシリーズでは、その頃の色々な海外旅行の記憶をたどって思い出深い観光地の体験などを書いていきたいと思います。

当時はもちろんデジタルカメラは世の中に存在していなくて、皆アナログカメラ(フィルムカメラ)を持ち歩いていました。そのために撮影した写真はフイルムの状態であれ印画紙にプリントした状態であれ長い年月を経過し一部紛失したりまた傷んでしまいました。

ところで、これらの写真の量が膨大になりプリントした写真の保存に苦労していたので、ようやく数年前に高性能のスキャナーを購入し、プリントされた写真とフイルムのままの写真をすべてスキャンしてパソコンに取り込みハードディスクへ保管しました。

さらに近年光・熱・温度などによる経年劣化に強く、数百年はデータが保たれるというM-DISKというブルーレイディスクが三菱化学メディア(株)から発売されましたので、早速これを購入しすべての写真データを最終的に保存しました。

これらの移管作業には数か月を要しました。

このようにすれば写真の保管のスペースもほとんど必要なくなりまた同時に膨大な写真からあっという間に目的の写真を探し出すことができるようになりました。もちろん一つひとつの写真には検索用のキーワードを付与しています。

そのような理由でこの記事でも昔の写真については残念ながら豊富な量の美しい写真をお見せすることはできませんが雰囲気はできるだけ伝わるようにしたいと思います。

1.デンマーク

デンマークと言えば、デンマーク王室御用達の磁器のロイヤル・コペンハーゲン、装飾品のジョージ・ジェンセン、リッチなオープンサンドなどでよく知られています。

面積は日本の九州くらいで人口は約600万人の比較的小さな国です。九州くらいといえば確か台湾やスイスもそのくらいの広さだと思います。

日本との貿易など特にあまり知られていませんが当時日本は特に豚肉をたくさんデンマークから輸入しているとのことでした。

少しびっくりしたことは周りをたくさんの国に囲まれながら独自のデンマーク語を話すということです。この国を最初に訪れて、ホテルでテレビを見ていてデンマーク語に初めて接した時には軽い感動を覚えました。

私は英語、中国語そしてちょっとかじったドイツ語しか分かりませんので、もちろんデンマーク語はまったく理解不能でした。独特な発音やアルファベットの文字に大変興味を覚えました。

デンマークは街並みや人々の生活の雰囲気が、派手さはないがお洒落で清潔でこじんまりと心地よくまとまっているという感じがします。そのためヨーロッパの国々ではフランスやイタリアも素敵ですが、デンマークもとても気に入っています。

デンマークには今までに3回ほど旅行で行きました。

ストロイエ

デンマークのコペンハーゲンに行くと必ずとよいってよいほど訪れるのは、中央駅から徒歩約5分の場所から約1キロメートルに及ぶ歩行者用道路であるストロイエです。

世界初で、またヨーロッパ最長の歩行者専用道路と言われています。そのため世界中の観光客が訪れるいつも賑やかな楽しい通りになっています。

通りの両側にはロイヤル・コペンハーゲン、ジョージ・ジェンセンなどのブランドショップ、カフェ、レストランなどがたくさん集まっています。

ロイヤル・コペンハーゲンのお店に立ち寄った際にはまずイヤープレートを鑑賞するのが一番の楽しみでした。年度ごとに違った絵柄で焼かれていてその年の限定生産になるとのことです。

ロイヤル・コペンハーゲンは白地にブルーの絵柄が典型的だと思いますが、私が大好きな日本の有田焼の源右衛門でもこの白地にブルーの絵柄の皿や茶わんが見うけられます。これらはけっして色彩的に派手さはありませんが、清楚で落ち着いた雰囲気を醸し出していて、長年飽きずに日常使いができる素晴らしい磁器だと考えています。

また通りのあちらこちらには大道芸人が楽しい芸を披露してくれていてとにかく飽きさせない観光スポットになっています。

市庁舎前広場

中央駅の近くにはコペンハーゲンで中心の広場である市庁舎前広場があります。この広場からはコペンハーゲン市内や近郊の観光バスがたくさん発着しています。

ある日の朝、コペンハーゲン近郊の観光をするためにここから観光バスに乗車しました。そこでまた軽い感動を味わうことになりました。

出発前のバスに乗り込んで待っていると車内は間もなく満席になりました。かなり人気のツアーだったようです。

最後に中年の男性ガイドさんが乗り込んできました。すると「今日何語でガイドをするか決めたいと思います」と言うと、車内のお客さんに出身国を次々と尋ねていきました。

私は「Japan」と答えましたがその時車内でただ一人の日本人だったので日本語は採用されず、結局人数が多い順番で決められて、英語、フランス語、そしてイタリア語の3か国語で説明してくれるということになりました。

このガイドさんは何と5か国語程度は話せるとのことでした。ヨーロッパでは色々な国が隣り合っていて人々が頻繁に行きかうので、多くの国で人々は3か国語程度は普通に話せるようです。

特に有名なのがフランス、ドイツ、イタリアと国境を接するスイスではないでしょうか。スイスの人は3か国語が話せるととても重宝すると思います。

人魚姫の像

コペンハーゲンと言えば海岸沿いにある人魚姫の像も世界的に有名な観光スポットです。次に人魚姫の像の写真を2枚掲げます。少し分かりにくいですが右の写真では海岸に集まった観光客と、遊覧船に挟まれた場所に人魚姫の像が写っています。

   

人魚姫の像は写真のように予想以上に小さくてまた目立ちにくい場所に設置されています。世界的人気の観光スポットなのでいつも群衆が群がっています。そのために少し遠くから見ると群衆に視線を遮られてその存在を確認することができません。すぐそばに近づいてようやくその姿を見ることができます。

ご存じのようにこの人魚姫の像は世界3大がっかりの一つとも言われています。残りの2つはブリュッセルの小便小僧とシンガポールのマーライオンです。

確かにこの人魚姫の像を初めて観光した時はあまりにも地味でインパクトが少ないので多少がっかりしたことを覚えています。

最も大きな理由はこの人魚姫の像が小さくてかつ目立つようには設置されていないためでしょう。さらに背景の海の水面の明るさに負けて像の細部が見にくくなってしまい、写真写りも悪いというおまけつきです。

一方シンガポールのマーライオンは予想以上に大きくて勇壮で、遠くからでも十分に目立っていたので強く印象付けられました。

またブリュッセルの小便小僧は小さいですがそれなりに目立った特別な背景の中で設置がされていました。

ニューハウンの運河と街並み

コペンハーゲン市内での観光では定番の運河と街並みです。陸から見るのも良いですがやはり観光船に乗ってゆったりと運河めぐりをするのがお勧めです。

海外では川や運河のクルーズが観光の大きな楽しみの一つになっています。有名なところではドイツのライン川下り、中国の桂林の漓江下り、ノルウェーのフィヨルドクルーズ、ベルギー・ブルージュの運河クルーズ、ベネチアの運河を巡るゴンドラなど枚挙にいとまがありません。

日本の東京でも日本橋川をはじめ、神田川、隅田川などを巡る観光船はありますが船から見える自然や街並みの風景は個人的には海外の場合のほうが格段に素晴らしいと思います。

今回コペンハーゲンでは下の写真にあるように、まったく屋根がなく見晴らしがよい遊覧船に乗って運河や港内をのんびりと遊覧しました。

   

チボリ公園

デンマークのコペンハーゲン市内観光ではもう一つ外せない観光スポットがあります。それは今年で開園177年目になるチボリ公園です。

この公園は世界最古の遊園地だといわれていて、あの有名なウォルトディズニーがディズニーランドを作る前に視察に来たと言われています。

公園は思ったより広くはありませんが、各所に綺麗に整備された花壇、噴水、カフェやレストラン、乗り物などがあります。世界中から観光客が訪れますが、私もコペンハーゲンを訪れた時は必ずここにも立ち寄ります。これまでに3回以上は訪れました。

綺麗に整えられた公園内をゆったりと散歩し、カフェでお茶を飲むだけで心地よい豊かな時間を過ごすことができる場所です。

夜は遅くまで開園しているので遅い時間に入園してもゆっくりと楽しめますが特に土曜日の夜12時頃の閉園前には花火が打ち上げられ多くの人で賑わいます。

市内のその他の観光スポット

コペンハーゲン市内には上で記述した場所以外にも訪れるスポットはたくさんあります。町全体がとてもおしゃれで落ち着いているのでゆっくりと歩き回るだけで満足できます。

   

牛車に乗った女神の噴水公園(左)と広場の堂々とした4体の銅像(右)

     

宮殿の入口を守る衛兵(左)と整備された前庭がある教会(右)

コペンハーゲン近郊ツアー

先ほど紹介した市庁舎前広場から観光バスが発着している近郊ツアーとしては、何といっても名城巡りが有名です。

あの世界的に有名な「ハムレット」の舞台となり世界遺産にも登録されているクロンボー城とデンマークきっての美しさを誇るフレデリクスボー城の2つの名城が特におすすめです。

ランチ付きの現地バスツアーがたくさん出ていますのでこれを利用すると道に迷うことなく1日ゆっくりと名城巡りを楽しむことができます。

美しいお城を外の色々な場所から眺めたり、また建物の中に入って豪華な部屋や調度品などを鑑賞することができます。

クロンボー城の遠景

クロンボー城の庭に並べられた大砲

赤レンガ造りの美しくて優雅なフレデリクスボー城(噴水前から撮影)

フレデリクスボー城正面の堀とアプローチの橋

コペンハーゲンには元はお城だった場所を今ホテルとして使っているところも見うけられました。下の写真がその一つです。

下の写真は観光の途中で見つけた昔風の農家です。大きな屋根と白壁、きれいに手入れされた芝生の前庭などお洒落で絵になる風景だと思い思わずシャッターを切りました。

オープンサンド

数十年前にこのコペンハーゲンを訪れた時に初めて本格的なオープンサンドにお目にかかりました。デンマークのオープンサンドは特にパンの上に乗せる具材が大変リッチなことでよく知られています。

当時バイキング形式のランチをとる機会がありましたがそのときにまさにオープンサンドのランチでした。

薄切りされたパンの種類も多く、その上に乗せる具材も、肉類、海産物、野菜、果物など非常に多様なものが用意されていました。

その時にたまたまキャビアも具材の一つとしてありましたので、キャビアのテンコ盛りのオープンサンドを作っていただきました。今までに一度にこれほど沢山のキャビアを食べたことはなく、最初はとても美味しく感じましたが、そのうちに段々と味にあきてしまいました。

今はキャビアよりもイクラや明太子のほうが自分の好みに合っていると思っています。

終わりに

デンマークのコペンハーゲンは中世の雰囲気を残しながら、デザインに統一感があり、センスが良くお洒落な街で、街歩きをしていてとても気持ちが良い場所だと感じています。

世界初の歩行者天国であるストロイエや世界初の遊園地であるチボリ公園を生んだ土壌は、決して経済的な豊かさではなく、生活をしていく上での心の豊かさを求めてきた結果だと思います。

例えば東京のように建物が雑然としていて雑踏の中をかき分けるようにして街歩きをするような状況とは程遠いと思います。

九州ほどの面積に国民の人口が約600万人というほど良い人数が、多すぎずまた少なすぎずということも影響していると思います。

コペンハーゲンは、シンガポールやバンクーバーなどと同様に最も好きな街の一つになっています

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