北イタリア世界遺産ドロミテ観光(1)

はじめに

3年半にも及ぶ新型コロナウイルスの世界的蔓延に耐えてようやく再び海外旅行へ行ける日が戻ってきました。最初はせいぜい1~2年でパンデミックは収まると楽観していましたがあまりにも長くなってしまいました。

2020年の1月中旬に行ったカンボジアへの旅行を最後にしばらく海外旅行は休止状態になっていました。当時とても残念だったのは、2月下旬から行く予定をしていたパタゴニア観光ツアーがなんと成田空港出発前日の夕方に急遽中止になったことです。

理由は訪問先のチリとアルゼンチンが日本人観光客の受け入れを突然中止にしたからでした。参加者はみな各自あらかじめ近くの内科医院に行って診察を受け熱などの症状がないという証明書を発行してもらっていましたが全く役に立ちませんでした。

さらにその年の年末年始に家族で個人旅行で行く予定をしていたオーストラリアのシドニー湾のカウントダウン花火見物旅行も中止せざるを得ませんでした。3年前から香港、台北、シンガポールと毎年年末年始のカウントダウン花火を楽しみにしていましたので家族も落胆しました。

ホテルやシドニー湾カウントダウン花火見学クルーズ船の予約はほぼ1年前に早々と済ませていました。約半年前になって予約先業者に「新型コロナウイルスの世界的パンデミックによりシドニーへ行くことができないのでキャンセルしたい」という旨を伝えましたが残念ながらホテルだけは全額のキャンセル料を請求されてしまいました。

さて今回の北イタリアドロミテ観光は最初は個人旅行で行こうと思いいろいろと調べましたがドロミテ地方の訪問先がかなり田舎で交通機関やホテルなどの状況が分かりにくく結局断念しました。かわりに、ある旅行会社のホームページで自分が是非訪れたい場所を含む適当な観光ツアーを見つけたので、半年以上前の2022年の11月にとりあえず予約を入れておきました。

当時はまだ新型コロナウイルスの流行状況がどうなるか見通せず、最悪20%のキャンセル料を支払う覚悟で出発3日前ぎりぎりまで判断を遅らせました。日本でも2023年5月以降、いろいろな活動が急速にコロナ前の状況に戻ってきたので、旅行中自分なりに新型コロナウイルス感染防止の努力をするということで結局今回の7月下旬からのドロミテ観光ツァーに参加することにしました。

世界自然遺産ドロミテ観光

はじめてドロミテという言葉を聞いたのはコロナ禍が始まる数年前くらいで確か日本人観光客の間でクロアチア・スロベニア観光がブームになっていた頃だと記憶しています。

北イタリアに広がる山峰ドロミテは昔から山岳や丘の絶景に恵まれた素晴らしいトレッキングルートがたくさん整備されている有名な場所で世界中からトレッキング(ハイキング)愛好家を集めているようです。

日本の旅行会社でもドロミテツアーをたくさん出していますが、参加者に主にトレッキング・ハイキングを十分に楽しんでもらおうとする企画が多いように思います。そのために自動車で行ける場所でもあえて歩いて行ったり、またいくつかあるハイキングルートでも敢えて少し歩くのに負荷がかかるようなルートを選んだりしているようです。

面白いことに逆にトレッキング・ハイキングに慣れていない観光客を集客するために「あまり歩かなくてもよいドロミテ観光」を売り文句にしているツアーを見かけることもあります。

今回のドロミテ観光ツアーでもトレッキング・ハイキングに主眼が置かれていたようでくるぶしまで隠れるようなハイカットのトレッキングシューズ、ハイキングポール(ストック)、帽子など持参推奨となっていました。

今回のドロミテ観光ツアーは大きめの観光都市をいくつか訪れるような他の観光ツアーとは違って、田舎のこじんまりとしたリゾート地に宿泊しながらとにかく毎日よく歩くという観光スタイルになっていました。

そのために必ずしも健脚ではない一部の参加者の方々は一定の場所に留まり、皆が歩いて帰ってくるのを待つという状況も多々見られました。皆さんそれぞれに自分の体力に合った方法でハイキングや観光を楽しんでおられたようです。

今回訪れた観光スポット

今回の10日間のツアーではドロミテ地域だけで4日間もかけて主な観光スポットをゆっくりと散策するという機会を得ました。

主な観光スポットは、ドロミテ地域(プローゼ、サンタ・マッダレーナ、アルペ・ディ・シウジ、カレッツア湖、サッソポルドイ展望台、ドロミテ街道、トレ・チーメ・ディ・ラバレード、ミズリーナ湖)、ガルダ湖地域(シルミオーネ、ガルダ湖)およびモンブラン・マッターホルン地域(エルブロンネ展望台、ブルー湖、チェルビニア)でした。

実際にはドロミテ地域の観光が中心で、ガルダ湖地域とモンブラン・マッターホルン地域の観光は「おまけ」の位置づけだと感じました。

全旅程10日のうち、実質の観光は7日間程度でしたが最後の一日を除いてすべて好天に恵まれドロミテの美しい風景を期待どおりに堪能することができました。

実際の10日間の行程を地図(Google)で示しておきます。青色の線が航空機でオレンジ色の線はバスでの移動を表しています。

初日は羽田空港をフィンエアーのビジネスクラスで出発し、まずフィンランドのヘルシンキへ行きそこで航空機を乗り換えてドイツのミュンヘンまで行きました(上記地図の右上)。旅程3~6日目の4日間は観光バスでドロミテ地域の各観光スポットを巡りました。

そのあと旅程7日目にバスで少し南下してガルダ湖地域へ行き、旅程8日目に西へ移動してモンブラン・マッターホルン地域へ観光に行きました。旅程9日目はミラノの空港から航空機で帰路につき、再びヘルシンキを経由して羽田空港まで戻ってきました。

ちなみにフィンエアーのビジネスクラスの座席の様子は左下の写真のとおりです。

すべての席からすぐに通路に出られるといううれしい配置になっていました。フルフラットベッドは進行方向に対して斜めになっていましたが長さも十分にありなかなか快適でした。

食事のお味ですがほかの航空会社のビジネスクラスのものに比べてもう少し工夫の余地があるのではないかと感じました。

なおカメラは、SONYのミラーレス一眼レフカメラα7RIII(重量:657g、大きさ:126.9x95.6x73.7mm、画素数:約4240万画素、イメージセンサー:フルサイズ)とSONYのズームレンズSEL24105G(24-105mm F4 約663g)を持参しました。

SDカードは128GBのものを4枚用意し最多約4,500枚のRAWデータおよびJPEGデータを同時に撮影できるようにしていましたが、今回のような団体ツアーの場合は撮影時間が十分に取れないこともあり結局660枚程度しか撮影しませんでした。

スマホのカメラはいつもはレストラン、ホテル、食事などを写すための補助用カメラとして使っていましたが、今回の旅行では初めて動画の撮影に多いに活用しました。現在のスマホはiphone 13 miniで一般のテレビより高精細でしかもはるかに滑らかな60fps(1秒間に60フレーム)の4K動画が撮影できます。

今回のブログでは初めての試みですが写真以外に動画を掲載しています。すべて4Kの60fpsで撮影した動画で十数本あります。これらの動画の保管と再生はYouTubeに任せています。なお、動画は動画編集ソフトDaVinci Resolveを使って編集しました。またバックグラウンドミュージック(BGM)は著作権フリーで自由に使えるものを利用しています。

この旅行中にはここで紹介する十数本以外にももっとたくさんの動画を撮りましたが、他人の顔がはっきりと写っているシーンが含まれているために個人情報保護の観点からブログでの紹介は避けています。

最近、動画に写っている複数の人の顔を自動で検出・追跡しかつ自動でモザイクやぼかしをかけてくれるというAI技術を使ったありがたいソフト(例えばAVCLabs Video Blur AIなど)が出始めていますのでそのうちに使ってみたいと思っています。

なおスマホで動画を撮影するときには手振れ防止のためにジンバル(スタビライザー)を使う方がより好ましいと言われています。iphone 13 minでジンバルなしの手持ち撮影を事前に何度か試しましたがiphone自体の手振れ防止機能がうまく働いてくれてスムーズな動きの映像がとれました。そこで今回の旅行ではジンバルは使いませんでした。

旅程1~2日目

羽田空港を出発してフィンランドのヘルシンキで航空機を乗り換え、ドイツのバイエルン地方にある観光都市ミュンヘンへ行きました。ミュンヘンでは観光の中心地であるマリエン広場に行き周辺を少し観光しそこにあるレストランで昼食をとりました。

また広場では、ネオ・ゴシック様式の歴史的建築物である新市庁舎(下の写真)の仕掛け時計「グロッケンシュピール」のカラクリ人形のショーを見学しました。この仕掛け時計が動くのを見るのは30数年ぶりのことで当時の個人旅行がなつかしく思い出されました。

下の写真はマリエン広場にある昼食をとったレストランの入り口付近の写真です。

下の動画はカラクリ人形のショーの一部を収録したものです。前半のシーンでは鐘の音が荘厳でとても素敵です。また後半のシーンでは最上段のカラクリ人形が行進(回転)している様子がうかがえます。

ミュンヘンでの昼食と少しの観光をを終えた後バスでほぼ南下しオーストリアを経由してイタリアのドロミテ地方にある中世の面影が残る小さな街ブレッサノーネへ行きました。宿泊先はゴールデンクローネというホテルでした(下の写真)。

ブレッサノーネのホテルに着いたとき、時間がまだ早かったので夕食までの間に街の散策をすることにしました。

街の中心はドゥオーモのあるドゥオーモ広場です(下の写真)。右下の写真は広場に面した古そうな建物ですが壁にツタが絡まっていてとても良い雰囲気を醸し出していました。やはりブレッサノーネは小さな街なので街の中心地であるこの広場でも写真で分かるようにあまり人影はありませんでした。

下の写真はドゥオーモの正面の姿です。2本の高い鐘楼と立派なファサードを誇るドゥオーモは13世紀に建立されたロマネスク様式の建築物だそうです。

上の写真はドゥオーモの内部の祭壇の様子です。小さな街のドゥオーモにしては規模・装飾ともに大変立派なつくりになっていました。

ドゥオーモの奥には、回廊付き中庭があります(下の写真)。これは13~14世紀のロマネスク・ゴシック様式だそうで、2本の対の柱が並ぶ回廊のアーチ状の天井や壁面には美しいフレスコ画がたくさん残っています。フレスコ画は傷みやすいと思いますが十分に管理が行き届いているようでした。

ドゥオーモ広場の南側には、16世紀に建築が始まり17世紀に完成した大司教館(プリンチペスコ・ヴェスコヴィーレ宮)が建っています(下の写真)。

中庭に面した回廊の2階部分のアーチの柱をくりぬいて置かれたたくさんの彫像は、ルネッサンス時代後期のハプスブルグ家の人々だそうです。中央に噴水のある中庭は緑の芝生で覆われ、今は色々なイベントに使われているようでした。

現在館内は上階まで博物館となっており、彫刻や絵画、豪華な織物などの貴重品や司教館で使用されていたと思われる家具・調度品などが展示されていて全体でかなりの数の立派なコレクションになっていて見ごたえがありました。

下の写真は博物館の展示部屋の様子です。大きくて豪華なストーブらしき調度品が目立っていました。

ところでこの博物館の入り口には受付があり係のご婦人がいました。入場は無料でしたが、最初1階あたりを適当に見学して10分程度ですぐに帰ろうとしたところ、出入り口付近でそのご婦人に呼び止められて、「3階まで展示室がたくさんあるので是非しっかりと見ていってください」というように強く勧められました。私たちがあまりにも早く戻ってきたので全部を見て回っていないことが分かってしまったようです。

再度入場して上階までのすべての展示室をちゃんと見学したところ、予想以上の膨大な数の豪華な珍しい展示品を見ることができました。そのご婦人の声掛けに感謝です。

旅程3日目

ここから4日間はドロミテ地方をゆったりと観光していきます。3日目は朝ブレッサノーネのホテルを出発し、まずセントアンドレア村へ行き、ロープウェイに乗って丘の上に登りプローゼに観光へ行きました。

ロープウェイを降りるとそこには「Plose」の木製の大きなロゴがあるプローゼ展望台〈2447m〉がありました。下の写真のように木製の大きなロゴのうちO(オー)の部分は内側で自転車に乗ってくるくると回れるような面白いつくりになっていて男の子が遊んでいました。

展望台付近では子供たちがたくさん遊んでいて家族連れの観光客が多かったようです。実際ハイキングコースも子供でも簡単に歩けるようになだらかでよく整備されていましたのでプローゼは特に家族連れに人気がある場所だと認識しました。

この展望台からはのこぎりの歯のような有名なガイスラー針峰群などが眺望されてとても視界の開けた気持ちの良い場所になっていました。

ここではたくさんのハイキングコースが整備されているとのことですが、私たちはその中の広めの道を1時間ほど散策しました。

上の写真はプローゼ展望台付近からハイキングコースの方角を眺望した風景です。前方遠くに雲の合間にガイスラー針峰群が見えています。

3本の道が見えますが、一番左の道はマウンテンバイク専用の道のようでした。真ん中の道と右の道がハイキングコースです。私たちはその真ん中のしっかり整備された道を散策しました。

ドロミテ地方では冬はスキー、春、夏、秋はハイキングとともにマウンテンバイクによる山岳地帯縦走がとても人気のようです。バスですれ違うバカンスに行く自動車の後ろに2~3台のマウンテンバイクを載せている光景を何度も見かけました。

上の写真はハイキングコースを散策している観光客の様子です。目の前には雄大な風景が広がっています。下の2枚の写真は散策中に立ち止まって撮影した周りの風景です。

プローゼでの散策中に撮影した動画を下に掲載します。現地で感じる実際の雰囲気が写真よりリアルに伝わるのではないかと思います。

この日はお天気に恵まれ、また歩いている人も少なく静かでとても爽快な高原の散策を楽しむことができました。

私が現在最も気に入っているハイキングコースはニュージーランドのマウントクック周辺のハイキングコースです。マウントクックをはじめとする山々の遠景、変化にとんだハイキングルートの周辺の風景が大変素晴らしい場所です。このプローゼも周辺の絶景を楽しみながら気楽に歩ける良いコースだと感じました。

その後バスでプローゼを離れサンタ・マッダレーナへ行きました。その途中で下の写真のレストランで昼食をとりました。

昼食は下の写真にあるようにドレッシングたっぷりのサラダとお肉のシチューのような料理でした。旅行中はとにかくお野菜をとる機会が少ないのでこのような野菜たっぷりのサラダはとてもありがたいです。

   

レストランのすぐ前の道からは素敵な風景を望むことができましたので思わず写真におさめました(下の写真)。午後にこれから訪れるサンタ・マッダレーナを思わせるようなのどかな牧草地と山々の絶景でした。

昼食後バスでほどなくしてサンタ・マッダレーナへ到着しました。

この旅行記は「北イタリア世界遺産ドロミテ観光(2)」へ続きます。

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