テレビで何を見る?

はじめに

最近リビングルームのテレビを十数年ぶりに買い換えました。最近は若い人のテレビ離れが進んでいるなどとよく言われていて今後のテレビの動向が気になるところです。そこでこの記事ではテレビにまつわる思いなどを綴りたいと思います。

テレビの買い替え

数か月ほど前に十数年前に購入したリビングルームのテレビを最新のものに買い替えました。

パイオニアの「KURO」

今まで見ていたテレビはパイオニアの「KURO KRP-500A」で50インチのプラズマテレビです。このKUROは当時他の液晶テレビ、プラズマテレビを圧倒する自然で表現力豊かな映像が特徴で、特に漆黒の黒色の表現の素晴らしさが際立っていました。当時コントラスト比が100,000:1程度もあり他のテレビを寄せ付けないハイスペックな名機でした。

当時パイオニアは持てる技術を総動員して開発したKUROに大変な自信をもっており、噂によると赤字覚悟で一般の人の手が届くまで頑張って価格を下げて販売にいたったということです。

スピーカーはヤマハのホームシアターシステム Digital Sound Projector YSP-4000 を購入してKUROと接続しました。このスピーカーは普通は部屋の後ろに設置するリアスピーカーを不要とする疑似5.1チャンネルを実現するということで当時かなり話題になっていたものです。

このスピーカーのもう一つの特徴は音声を好きな方向へ向けてビームで出せる機能です。近くに家族がいても自分の位置へ向けてビームを出せば自分だけ音を大きく聞くことができるというすぐれものです。

また映像や音響に影響を与えるノイズができるだけ乗らないように、HDMIコードや電源コードは音響マニアが買うような専門店で高品質なものを購入しました。

特にブルーレイDVDで映画を見るときのKUROの映像は感動するほど自然で美しいものでした。このようなホームシアターの環境を作ることによりわざわざ映画館に足を運ばなくても自宅で迫力のある素晴らしい映像と音響で映画が鑑賞できるようになりました。

ところでKUROを購入するまでは映画はもっぱら映画館(シネコンプレックス)へ行って鑑賞していました。ところが当時すでに子供からお年寄りまで国民のほとんどがスマホを所有する状況になっていたので、上映中にかなり頻繁に不快なことが起きていました。

映画を鑑賞中に前の方の席の人が突然スマホを見だしてその画面の明かりがすぐに目に入ってしまったり、ひどい時には呼び出し音や音楽が高らかに鳴り響いたりもしていました。

中には自分のスマホの呼び出し音や音楽が鳴りだしてびっくりしたのか慌ててしまってすぐに音を消すことができない人もいました。せっかく映画に没頭している最中に、特に緊張する静かな場面の時にこのようなことがあると本当にしらけてしまいます。映画館ではコンサート会場などと同様に入場時にはマナーとしてちゃんとスマホの電源は切って欲しいものです。

そのような理由もあってKUROを購入して以降は映画館にはまったく行かなくなりました。自宅であれば上記のような邪魔が入ることはまずないからです。また長時間の映画を見ている最中に急な用事ができた時でも動画を一時停止しておけばまったく問題はありません。

しかし、このKUROを十数年間使い続けるうちに、故障でメイン・コントロール・パネルを取り換えたり、リモコンを買い替えたりする必要がありました。また最近はプラズマディスプレイの画面にごくわずかですがムラが感じられるようになってきました。

一方テレビはこの数年で有機ELテレビの性能が格段に向上してきて、KUROの性能を明らかに超えるまでになったことが確認できたので今回最新のテレビに買い換えることにしました。有機ELテレビはコントラスト比がKUROを超えて1,000,000:1程度あると言われています。

パナソニックの「ビエラ 65JZ2000」

新しく買い替えたテレビは、パナソニックの4K有機ELテレビ ビエラ「TH-65JZ2000」で65インチのサイズです。日本の大手テレビメーカーも揃って4K有機ELテレビを出してきていますが、有機ELのパネル本体はもともとすべて韓国LG Electronicsのものを使用していますのでそれをいかに綺麗な映像に仕上げるのかという技術で競っています。

何社かの有機ELテレビを比較し、最後にソニーの4K有機ELテレビ ブラビア 「XRJ-65A90J」とこのビエラが選択肢として残りましたが、結局正統派的な映像の素晴らしさ、放熱の仕組みやインターネット対応を含む各種機能の安定性からこのビエラに決めました。

このビエラはもちろんインターネット対応ですのでそのままネットに繋げて動画配信サービスで映画、ドラマ、ドキュメンタリーなどを楽しむことができます。

動画配信サービスとしては現在NetflixとAmazon Prime Video、そして一時的にU-NEXTに加入しています。海外ドラマや海外映画の量が豊富なサービスを優先して選びました。

このビエラは「Netflix映像モード」を選ぶことができてNetflix作品をとても自然で表現力豊かな最適な映像で見ることができます。Netflix作成のオリジナル作品には内容、映像、音楽が素晴らしものがたくさんあり驚いています。なお、インターネット対応でブラウザも使えるのでもちろんYouTube、各種ニュース、過去のテレビ番組などの動画も楽しめます。

実は過去30年間ほどケーブルテレビに加入していましたが、最近動画配信サービスに全面的に切り替えました。これで好きな時に好きな作品を見ることができる大変便利な環境になりましたが、さらにうれしいことにケーブルテレビに比べて月々の利用料金が思いがけず三分の一ほどに安くなりました。

ところでケーブルテレビではアメリカや世界の経済・金融・株式の情報番組であるCNBCを毎夜(アメリカ東海岸は朝)欠かさず1時間ほど見ていましたが、ケーブルテレビを解約してからはビエラのブラウザでhttps://123.news.tv/cnbc-live-streamというサイトへ行ってアメリカから直接配信される無料のCNBCライブTV番組(英語)を楽しんでいます。

なお、この123.news.tvではFree Live TV Channels として各種ニュース、映画、ドキュメンタリー、ディズニー、スポーツ、アニメなどたくさんの無料チャンネル(英語)が配信されているので英語が大丈夫な人には色々と楽しめるのでお勧めです。

テレビの役割の変化

一般家庭にテレビが普及してきた頃は、テレビはお茶の間に置かれて家族団らんのお供として
重要な位置を占めていました。ニュース、ドラマやドキュメンタリーなどは同じ番組を家族全員で見ていたものです。

もちろん家族のメンバそれぞれに好みが違うので、いつもすんなりとテレビのチャンネルが決まるわけではなく家族の間でしばしばチャンネル争いが勃発しましたが、最後は高価なテレビを購入したその家のご主人がチャンネルの主導権を握ることが多かったようです。

テレビのチャンネル数は最初のころはそれほど多くはなく、多くの国民が人気の同じ番組を同時期に視聴することも多く、いわゆる世相の形成に影響を与えていたと思われます。家族で同じ番組を見ることで家族の間のコミュニケーションも促進されていたように思います。

各家庭で購読している新聞には必ずテレビ番組欄のページがあり、そこだけ抜き出したり、またそのページを表に出したりして活用していたものです。テレビ放送はもちろん番組表に従って放送されていたので番組表はとても大事なものでした。あらかじめ番組表で見たい番組の時間とチャンネルを確認しておいてそれに合わせて生活の活動のタイミングを調整するというようなこともありました。

番組は決まった時間に放送されていたので他の用事で視聴ができないときにはレコーダーに自動で録画しておいて休みの日など時間が取れた時に再生して楽しむという方法が現在でも盛んに行われています。

近年は地上波放送に加えて、BS、CS放送や一部の地域ではケーブルテレビも普及してきて、チャンネル数が飛躍的に増えてきました。番組表も種類がたくさんに増えて毎日確認するのが次第に面倒くさくなり、結局テレビを見たいときにはリモコンで盛んに「ザッピング」して好きな番組を探すということがよく行われるようになってきました。

最近になって、番組表に基づかずに、テレビで好きな時に好きな動画(映画、ドラマ、その他の番組など)を見るという新たな使い方が広まりつつあるようです。これはケーブルテレビの中でオンデマンドで映画やドラマが見られるサービスが充実し始めたことや、レンタルビデオを自宅にいながらネットで注文し、ポストに投函して返却するというお手軽な宅配サービスなどが普及してきたからです。

私も一時期数年間ほどは、ぽすれん、楽天、Geoなど3~4社のネットによる宅配レンタルビデオ・サービスを利用していましたが、半年ほど前にサービスを急拡大してきたネット動画配信サービスへと全面的に切り替えました。

今後テレビは、ニュース、情報番組、ドキュメンタリー(時事ネタ)、ライブ中継などに関しては即時性と品質でテレビ放送を視聴するが、映画、ドラマ、ドキュメンタリー(時事ネタ以外)、ライブ中継録画などは動画配信サービスを利用するという使い方になるのではないかと思われます。

動画配信サービスの場合、家族別々にテレビ、PC、タブレット、スマホなどで同時に利用できることが多いので、昔のように家族揃って同じ作品を見ることは少なくなり、むしろそれぞれの好みに応じて別の時間帯にそれぞれ異なる作品を見るというスタイルが主流になってくるのではないでしょうか。

若い人がテレビをあまり見なくなったといわれていますが、「テレビ」を見なくなったのではなくて「テレビ放送」を見なくなったというほうが正確です。上で書いたようにテレビは今後動画配信サービスを見るために使う人が増えてくるものと予想しています。

現在ゲームを楽しむ人の中にはより迫力あるシーンを求めてゲーミングモニターとして大型テレビを使う人もいるようです。

将来的には米国メタ社(旧フェイスブック社)やマイクロソフト社などのようにメタバースに力を入れるIT企業も増えてくるでしょうし、メタバースのディスプレイとしてヘッドマウントディスプレイと同様に臨場感や迫力が出しやすい大型テレビも多用されるのではないかと思っています。

そのためテレビ受像機自身は今後さらに映像の品質機能強化や音響改善とともに本格的なOSやブラウザを導入するなどしてインターネットテレビとしての技術展開があり、大いに需要は拡大していくものと思われます。

一方、テレビで、放送局が作成した「テレビ放送」をあまり見なくなる傾向が続くとテレビ放送自体の意義や真価が問われてくるのではないかと思います。

このように将来的にはテレビは昔と違って、世相の形成や家族間のコミュニケーション促進などへの貢献がより薄くなって行くのではないかと考えられます。

テレビ放送、DVD宅配レンタル、動画配信サービス

テレビで映画やドラマなどを視聴する場合、現在はテレビ放送、DVD宅配レンタル、動画配信サービスなどが主な手段となります。これらのそれぞれのメリットやデメリットを上げてみたいと思います。

1.テレビ放送(ケーブルテレビを含む)

メリットは何といっても地上波放送、BS・CS放送の場合は無償で映画やドラマなどを視聴できることです。しかし放送局が選定したものしか放送されませんので必ずしも自分の好みに合うとは限りません。また番組表に従って放送されるためにその放送時間に生活の活動が制約を受ける不自由な状況に甘んじなければなりません。

また放送時間が都合が悪いからと言って頑張って自動録画しても結局は後日再生することはまれで、録画番組がどんどんたまるだけという悲しい状況にもなりがちです。

テレビドラマについては最も早く見ることができるのはもちろんテレビ放送です。翌日などに友人や職場の同僚と昨日見たドラマの話で盛り上がるなどということもあります。

DVD宅配レンタルや動画配信サービスでは数日から数か月のタイムラグが生じてしまいます。また早めに見ようとすると高い追加料金がかかってしまうこともあります。

デメリットの一つとしては、無償で見られるがゆえに番組の途中でたくさんのCMが流されるということがあります。民放はCMを効果的にするために人気が出る番組を作成しているかのようにも見えますのでドラマなどのストーリー展開で次の場面がとても気になるそのタイミングでびっくりするほど多量のCMが挿入されます。

余談ですが、日本のドラマは脚本、俳優やストーリー展開など本質で勝負するというよりは、予算を抑えたいのか、その時々の人気タレントを主役に据えることで視聴率を稼ぐような風潮が時々見えていて少し残念です。

2.DVD宅配レンタル

このサービスは動画配信サービスよりも早く世の中に普及しました。

メリットはもちろん好きな時に好きな映画やドラマのDVDを1枚50円~400円程度で借りられるということと現在作品数は動画配信サービスの提供作品よりもたくさんあるようです。ただしネットで注文してから自宅に届くのに数日かかることや見終わった後返送用封筒に入れて近くのポストまで投函しに行かなくてはなりません。

またDVDプレーヤーを酷使するのでプレイヤーが故障しやすくなるということや、DVDによっては何枚かに1枚程度は表面に付いた他人の手垢などが原因で再生が途中で急に止まったり、映像や音がぷつぷつと途切れたりして快適な鑑賞が妨げられることもしばしば起こります。

ちなみにこのような場合には、DVDをプレイヤーから一旦取り出して、その表面を湿ったティッシュペーパーなどで拭いてあげると回復することが多いです。

さらにDVD宅配レンタルでは一度レンタルしてしまった作品を見始めた時に、思いもかけずつまらない作品だと分かった場合にはもう取り返しがつかず、そのまま我慢して見終えるか、または時間の無駄だと諦めて見ずにそのまま返却するかの選択になります。

3.動画配信サービス

ここ2~3年で急速に家庭に普及してきたのが動画配信サービスです。映画やドラマなどを配信するサービスはもちろん有料ですが、月に500円~2,000円程度の額で多くの作品が見放題になります。配信会社としてはNetflix、Amazon Prime Video、U-NEXT、Hulu、Disney+などが有名です。

最大のメリットは、好きな時に好きな作品をネットで簡単に選べてすぐに視聴を始めることができるので、とにかく待たされることもないし手間もかかりません。作品が面白くなければすぐに視聴をやめて次の作品を探すことができます。すでにパソコンの使用などで自宅に導入しているネット環境をそのまま利用できるので新たな設備費用もかかりません。

動画配信サービスはPC、タブレットやスマホなどの情報端末でも見ることできますが、お茶の間の大型テレビで臨場感、迫力ある映像と音響を楽しむ人が最近増えてきているようです。

テレビで動画配信サービスを受ける場合には、古いテレビですとネットにつなげるための装置が必要で、たとえばアマゾンの Fire TV Stick などが有名です。価格は機能により2,000円~5,000円程度で手に入ります。テレビの背面にあるHDMI端子に本体を挿して電源ケーブルをコンセントに繋ぐだけですぐに使えるようになります。

最近発売のテレビでは最初から本体がインターネット対応になっているのでそのままネットに接続することができます。家庭のWi-Fi無線接続かケーブル接続が選べます。

動画配信サービスのもう一つのメリットは、配信会社が独占配信する作品や、独自制作する作品を会員だけが視聴できることです。たとえば近年世界で大人気になっているNetflixではオリジナル作品をたくさん製作しておりその内容のレベルがとても高いと評判が良いようです。

最新のテレビ(ブラビアやビエラの最上位機など)ではNetflixモードというNetflix作品に特化した映像モードが用意されていて、Netflix作品を常に制作者の意図に沿った映像で楽しむことができるようになっています。

なお、有料の動画配信サービスではテレビ放送とは異なって全くCMが入ることはなく、落ち着いてとても快適に作品を楽しむことができるのもうれしいポイントです。

以上見てきたように、そのメリットの多さから大画面のテレビで動画配信サービスを楽しむというスタイルが今後の新たな流れになっていくと思われます。実際にアメリカでは昔からケーブルテレビがたくさん普及していましたが、近年毎年100万世帯ほどがケーブルテレビを解約して動画配信サービスに移行していっているそうです。

日本のあるケーブルテレビでは解約を防ぐためになんとNetflixも視聴できるようにして契約数を確保しようとしています。

上に書いてきたように、テレビで映画やドラマなどを視聴する場合、テレビ放送、DVD宅配レンタル、動画配信サービスは当分共存すると思われますが、メリットの多さからやはり動画配信サービスの割合が益々増えてくるものと思われます。

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